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クリティカルパワーで運動を「処方」する

運動が「クリティカルパワー」と呼ばれるものに基づいて個別に処方されると、持久力が大幅に向上し、より大きな長期的利益を得られるようだ、という米国ブリガムヤング大学からの研究報告。研究者らはクリティカル パワーをコンフォート ゾーンの上限と定義している。

たとえばここにいる友人同士の二人がいて、彼らの最大心拍数は似ているとする。運動についての以前の理解では、彼らが同じ速度で一緒に走れば、非常に似たような経験をすることが示唆される。だが、この二人が時速 6 マイルで走るとき、ひとりは楽にできるが、別のひとりには難しいということがしばしば起こる。同じ速度と同じ最大心拍数でのこれらの異なる経験は、時速6マイルがひとりのクリティカル パワーよりは低いが、別のひとりのクリティカル パワーよりは高いためである。

運動がその人のクリティカルパワーより下回っていると、身体はエネルギー不足を補い、快適で制御されたホメオスタシスに達することができる。けれども、運動がクリティカルパワー以上だと、身体はエネルギー需要を完全に補うことができず、疲労につながる。

従来、エクササイズの個別化は、最大酸素消費量 (VO2 Max) または最大心拍数の固定パーセンテージに基づいて推奨されてきた。研究者らは、「クリティカル パワー」を使用することが、運動を処方するより良い方法であると述べている。これは、アスリートや体調の優れた人に正確に役立つだけでなく、高齢者や座りがちな生活を送っている人にも役立つからであるという。

研究者らは、健康であるがフィットネスレベルが低い18〜35歳の22人の参加者を対象とした。参加者は、高強度の自転車トレーニングまたは中強度の継続的な自転車トレーニングのいずれかに無作為に割り当てられ、監督下での 8 週間の運動トレーニングを受けた。従来、エクササイズは個人の最大心拍数または VO2 Max に基づいて処方されていた。

研究者らは、VO2 Max を参照点としてエクササイズを処方すると、結果に驚くべきばらつきが生じることを発見した。トレーニングは個人に合わせたものだったが、トレーニング期間から大きな恩恵を受けた参加者とそうでない参加者がいた。彼らはこれを各個人のクリティカル パワーと比較し、それが調査結果のばらつきの 60% を占めていることを発見した。心拍数に対する基準点としてクリティカルパワーを使用してエクササイズが処方された場合、結果の変動は少なくなり、トレーニングセッションは各参加者にとってより効果的で有益なものになったという。

「人々が必要なだけ運動しない最大の理由の 1 つは、過去に何かを試みたが、期待どおりにうまくいかなかったためです」と筆頭著者のジェシカ・コリンズ博士は述べている。「クリティカルパワーに基づいたエクササイズの優れた点は、ほぼ常に結果を保証できることです。これにより、人々がフィットネスの目標を達成するのを助けることができます。」

個人のクリティカル パワーを計算するために、研究者らは参加者に複数の距離の運動 (つまり、ランニング、サイクリング) をできるだけ速く完了させた。次に、平均速度を取得し、そのデータを独自の式に挿入して、運動距離と運動時間の関係を決定し、クリティカルパワー数を算出した。彼らは、個人のクリティカルパワーが運動トレーニングによって大幅に増加し、以前は困難だったことが困難でなくなり、不快感が減り、疲労が軽減されることを発見した。

「運動は体にとても良いので、何をしても何らかの効果が得られます」と主任研究者のジェイソン・ギフォード教授は述べている。「この研究は、エクササイズをより完全に最適化できることをシンプルに人々に告げるものであり、その結果、彼らはより多くのことを得ることができます. 近い将来、人々が自分のクリティカルパワーをより身近に感じられるようになることを楽しみにしています。」

出典は『応用生理学雑誌


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