ブラック「起業」のパターンは殆ど同じ
あなたが起業家ならブラック企業の社長にならないと言い切れますか?
志の高い起業家たちが失敗してきたポイントとは?
■起業時に社労士と顧問契約を結ぶ経営者は少ないし、それは問題ではない。
会社を設立したばかりのタイミングで社労士と顧問契約を結ぶ経営者はあまり多くありません。
特にIT関連事業の場合、設立してからしばらくは、社長一人、あるいは社長と役員だけで運営することがあります。
飲食店などの店舗運営をする事業など、すぐに従業員を雇う可能性が高い業種よりも、人をすぐに雇う必要がない業種のほうが起業時における人事・労務管理の緊急度は圧倒的に低いといえます。
IT関連事業の場合、
起業してから数年後に事業が急成長するタイミング、設立時から人事・経理を任せていたアシスタントの様な社員が辞めることになった、初めて労基署の調査を受けた、これらのタイミングで労基法について初めて真剣に考える場合があります。
なお、社長と役員は労働基準法の対象外です。
社長と役員だけの会社であれば、社労士との顧問契約はそれほど重要ではありません。
■それでも税理士と顧問契約を結ぶ経営者は非常に多い
会社を設立すれば、法人税や法人住民税を申告納付しなければならないこと、会社の経理を記帳しなければならないことは大半の人は直ぐにわかります。
簿記や税務申告の専門知識がない限り、自分一人では会社として必要な税金の手続きが完結できないと感じるのが普通でしょう。
設立間もない会社に対する税理士の月額顧問料は数万円から5万円くらいが相場と思います。
税理士への顧問料は会社を運営するうえで緊急度が極めて高い出費であると、会社の設立時から税理士と顧問契約を結ぶ会社は非常に多いです。
■社長にとって税理士は「心を開ける唯一の相談相手」
起業したばかりの社長にとって税理士は、税務会計の事務を代行している単なる業者ではなく、自社のことを心を開いて話せる唯一の相談相手かもしれません。
会社の売上がいくらで、何にどれくらいの費用がかかり、といった経済事情をすべて知っているのは社長と税理士しかいないこともあるからです。
ただし、税理士は税務会計の専門家であって、人事労務に関する専門家ではありません。
(税理士試験に、労働基準法や社会保険法に関する科目はありません。)
また、社労士でなければ作成や提出をしてはいけない人事労務関係の書類は多くあります。
社労士でなければ代行できない業務は社会保険労務士法という法律で定められています。
■税理士を信頼する社長、信頼に応えたい税理士
私には100人以上の税理士の知り合いがいます。
税理士曰く、
「税理士が社労士の業務を行ってしまうと法律違反になるので心配」
「自分を頼ってくれる社長を思うと答えられないという訳にはいかないが、専門外の労務関係についてアドバイスをするのは不安がある。」
「社長からの労務相談を断ると、何でも相談してくれていた今までの信頼関係を失ってしまうかもしれない。」
「最悪、税務会計の本業を解約されてしまうかもしれない。」
といったような話は本当に良く聞きます。
■人事労務に関する「初めての経営判断」に直面したときの対処
自分を頼ってくれる社長のために何とかして力になりたい税理士、
自分の悩み(弱さ)を税理士以外に話せない社長
この両者しかいない状況で労働基準法などの労働法に絡む経営判断に初めて直面した際に、法律に沿った対処できるかどうか。
この事は、今後その企業が労基法等の労働法に沿った経営ができるかどうかに大きく関わってきます。
特に、初めて従業員を雇うタイミングの対応が非常に重要と考えます。
単純な例一つ挙げるとすれば、
「うちの会社は残業代は支払いません」という判断を社長がしたとします。
「うちみたいな中小企業でちゃんと残業代を払っている方が珍しいでしょう?」
と社長が言うかもしれません。
社員数が何人以上になったら?、どのタイミングで残業代を払い始めるのか、その切り替えは本当に難しいです。
会社がどこかのタイミングで残業代を払い始めるとします。
私が知る限り、従業員からこう質問されなかった企業はありません。
従業員 「じゃあ、今までの残業代は払ってもらえるのですか?」
特に、創業期から会社の成長を支えてくれた従業員への説明は非常に困難です。
■ブラック「起業」のパターンは殆ど同じ
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