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ノリが良い人でいることは、ノリの合う人と出会うこと。

幼い頃から、母にくっついて関西のおばちゃんたちの井戸端会議(という名のコミュニケーションの英才教育)によく参加していた私は、表面的にはそこそこ社交的で、会話全般に苦手意識はない。

でも、つい数ヶ月前までは『私ってノリの悪い人かもなぁ』という小さなコンプレックスを抱えていた。

ノリが悪いといっても、リアクションが薄いとか、会話を盛り下げる発言をするわけではない(と信じたい)。スムーズに会話をキャッチボールしたり、関西人的なサービス精神で、目の前にいる人を笑わせるとか、場に応じて楽しく振る舞うことはできていると思う。

ただ、誰かの提案、例えば『週末みんなで遊びに行こう』とか、『〇〇会を企画しない?』という話題になってきたら、口をもごもご、途端にノリが悪くなる。

理由を自分なりに分析してみると、こんな感じだ。

そもそも私は、基本的に一人でいることが好きで、自然なのだ。映画・食事・買い物・国内外の旅行も、一人で楽しめる。読書も好きだし、出産前はノートとペンを持ってカフェに赴き、最近の出来事や考えたことを書くのが趣味だった。
だから、何か楽しいことをするという考えに、『人と』とか『みんなで』という発想が生まれない。

また、自分に『マイナー・コンプレックス』があるのも関係している気がする。

例えば、私は小学校2年生の時に、灰谷健次郎の『兎の眼』を読んでいたく感動した子どもだった。
小学校高学年からは、おもしろいからという理由で、誰に強制されるでもなく新聞を読むのが日課だった。当時関心のあるテーマは環境問題だった。
大学生のとき(今から十年以上前!)には、当時まだマイナーな存在だった『冷えとり健康法』を始めていて、ちなみにこれは今も続けている。

小学生が『今日の新聞読んだ?』なんてクラスメイトに聞いたら、相手はポカーンだろう。大学の友達に、『冷えとりって知ってる?靴下を重ね履きするんだよ』と言ったら、たぶんドン引きである。

自分の好きなこと、進んで語りたい!と思うことが、ことごとくマイナーで、周りにいる人と違うこと。それが普通のことだった。ありのままでいて、人と興味が重なることがなかった。

こういう悩み自体は、娯楽にあふれ、趣味嗜好が分散している今、きっとありふれたものだと思う。
興味が合わないからといって、真っ向から否定された経験があるわけではない。それだけでも十分恵まれている。

ただ、人生の大半で、共通のもので盛り上がる喜びよりも、自分と人との差異を感じた経験の方が多かった私は、
場をシラけさせないように、相手を傷つけないように、興味のないトピックに、自分を微妙にチューニングすることで、心のどこかをすり減らしていた気がする。

そんな風にすり減るのが嫌で、任意の集まりや、絶対参加ではない飲み会などに、ノリよく参加する気になれないでいた。

一方で、誰かの提案に『それいいね!』『行こう行こう!』と反応できるノリの良さに憧れ続け、
それができない自分自身に、ちいさくため息をついていたのだ。

そんな私に転機が訪れた。
この3月にSNS、主にインスタを始めたのだ。

きっかけは、エッセイスト・ライフスタイリストの小川奈緒さんのvoicyで、番組のプレミアムリスナー(サブスク放送の有料会員)になったことだ。
小川奈緒さんのプレミアム放送では、プレミアムリスナーさん同士で、インスタで交流する『部活動』がある。そこで、今まで全く触れてこなかった、インスタでの発信を始めてみたのだ。

これまでは、SNSで発信するリスクにばかりに目がいっていたけれど、
いざ始めてみたら、自分に新しい風が吹きまくっている。

もともと、小川奈緒さんを中心に集まった人たちなので、家づくり・家事全般・思考・読書・働き方など、興味のあるトピックは共通している。

それに加えて、プレミアムリスナーさんのたちの醸し出す雰囲気が、とても良いのだ。

みんな音声配信を通して出会ったからだろうか、『聴く耳』のある方が多い気がする。

好きなこと、考えたことを語ってもいい雰囲気。耳を傾けてくれる温かさ。おもしろいね、と気軽に言い合えるリラックス感。

思慮深く、思いやりもある。顔が見えないやりとりの場を、あたたかく、安心できる場にしようという繊細な言葉選び・心遣いが伝わる。

そして、やりたいこと、なりたい自分に、時に迷いながらも、勇気を出してとりくむ姿勢。

仲良くしようというムードと、決して内輪的にせず、オープンでいようという態度の両立。

プレミアムリスナーさんたちとのインスタを見るとき、私はいつも、
『それわかる!』と心の中で握手したり、
『えーすごい!』と手を叩いたり、
『なるほどなぁ』と、うなずいたり、
『よかったねぇ』と、自然とニコッと笑顔になる。

一歩踏み出す人たちの勇気に胸が震えて、うっすら涙を浮かべることさえも、ある。

そんな場で、私は、今ここに書いているように、日常の気づきを文章にしたり、
暮らしの中での好きなこと、お気に入りの瞬間などを写真におさめ、発信している。

インスタで表現されている私の世界観は、リアルな場で、私という人間と会話でコミュニケーションするより、ずっと『私という人』の本質に近い気がする。

そこで『いいね』をもらえたり、コメントで反応をもらえたりすると、舞い上がるほど嬉しい気持ちになるのだ。

インスタを始め数ヶ月間を過ごすうちに、『私ノリが悪いかも』という悩みは、いつの間にか消えてしまった。

今でも、あらゆる人にオープンで、自分と違うタイプの人からの誘いにも、気軽に『いいね』と言える人への憧れはある。
もっと自分が成熟した、人生の先の姿として、その憧れは大事にしていたい。

でも今は、自分の好きな居場所に出会えて、はしゃぐこの気持ちを、そのまま肯定してあげたい。

私は、私の『ノリたいノリ』にのれば良い。
その時、私は『ノリの良い人』になれているかもしれない。
あるいは、別に『ノリの良い人』と思われていなくても、その場に流れるノリの心地よさに浸れるだけで、もう十分ハッピーなのである。

プレミアムリスナーさんには、小川奈緒さんのご自宅でのワークショップや様々なイベント、オフ会などでリアルに会うチャンスが度々ある。
ぜひ行ってみたい!と、気軽に、でも強く思っている。

思わぬ形で自分の前に広がった、心地の良いSNSの世界。
自分らしく、ノリにのっていきたい。

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