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LINE NEWSをデザインする。背景にある「デザイン哲学」とは

こんにちは。LINE NEWS企画チームです。LINE NEWS編集部、LINE校閲チームに続いて、企画チームも、LINE NEWSのプロダクト企画に携わるメンバーやプロダクトにかける思いについて、発信しています。

今回スポットを当てるのは、LINE NEWSのデザインチーム。普段、何気なく見ているLINEのニュースタブやバナー、パーソナルイベント枠(詳しくは『チャンスを掴むために最善の準備をやり切る。「2022 FIFAワールドカップ×LINE NEWS」』を参照ください!)など、LINE NEWSのUI、コンテンツの全てはデザイナーの目を通り、綿密にデザインされて、世に送り出されています。では、そのデザインの背景にある考えや価値観、意図は何か。LINE NEWSのデザインチームから、橋本建吾さん、JT(Choi Jungtae)さん、金周完(Kim Juwan)さんにお話を伺いました。

橋本建吾(はしもと・けんご)
2010年入社(当時はNAVER Japan)。前職ではアートディレクターとして国内大手企業のWebサイトを数多く手掛ける。入社後はNAVER検索、NAVERまとめのデザインを担当し、LINE NEWSへ。現在はLINE NEWSおよびLINEギフトのクリエイティブを統括する。

JT(Choi・Jungtae)
2011年入社。韓国NAVERの検索室でUI、UXデザインを担当したのち、LINEのグローバルカンパニーにおけるBX(ブランド体験)デザイナーに。日本のLINEに異動し、BX、フィンテックサービス、グローバルブランディングチームを担当。現在はLINE NEWSコンテンツデザインチームのマネージャーを務める。

金周完(Kim・Juwan)
2019年入社。大学を卒業後、フィットネス系企業のWebデザイナーを経て、LINEへ。現在はLINE NEWSのUIデザインチームのマネージャーとして、サービス全体のUI、UX、プロダクトのデザイン面でのディレクションを担う。

― LINE NEWSのデザインチームは、主に「コンテンツ(ビジュアル)デザイン」と「プロダクトデザイン」の2つに分かれていますね。どんな違いがあるのでしょうか。

JT:ショッピングモールや百貨店にたとえて捉えると違いが分かりやすいと思います。建物の広さや店舗の配置、エスカレーターなどの動線を設計することが「プロダクトデザイン」。対して、「コンテンツ(ビジュアル)デザイン」は、店舗の空間デザイン、中で行われるイベント、展示されている商品のVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)をデザインすることといえます。

橋本:LINE NEWSにおける具体的な役割に落とし込むと、「コンテンツ(ビジュアル)デザイン」はプロジェクトのキーとなるビジュアル・コンセプトを作り、「プロダクトデザイン」は、上がってきたキービジュアル・コンセプトをプロダクトに当てはめて最適化する、という違いがありますね。どちらも、ユーザーがサービスに価値を感じる重要な要素。役割とアウトプットは違いますが、LINE NEWSをデザインする上ではどちらにも共通するゴールがあるんです。

LINEを貫く“環境に溶け込む”デザインフィロソフィー

橋本:コンテンツ(ビジュアル)、プロダクトともに、僕たちデザイナーが目指す良質なデザインとは、環境に溶け込むデザインであること。環境に溶け込むデザインって何か、というと、デザインされていることに人が気づかないくらい“当たり前”の状態を体現するデザインです。

橋本:例えば、水という必要不可欠な資源を安定的に提供するインフラのデザイン設計は、人が生きていく上で重要だけれど、僕たちはそれがデザインされていることに意識が向かないですよね。それくらい生活に馴染んでいることが、良質なデザインかどうかを判断する重要な指標だと考えています。LINE NEWSを含有する「LINE」アプリというプロダクト自体が生活に欠かせないインフラになっていることを思うと、環境に溶け込んでいるかどうかはとても大切なポイントなんです。

Juwan:環境に溶け込むには、シンプルさも重要なカギですよね。パッと見て分かりやすく、誰にとっても使いやすいデザインであること。

橋本:そうですね。僕の好きなデザイナーの一人、ディーター・ラムスが「Less But Better」という言葉を残していますが、これは「過剰さや無用な厳格さなど、余分なものを引いたものが機能的にも優れているし、審美性もあるデザインだ」という意味。引いていくことで、環境に溶け合うベストな状態になる。僕たちLINE NEWSのデザイナーがシンプリシティを重要視するのは、こういった背景があるからです。

ディーター・ラムスがデザイン統括を務めたドイツの家電メーカー「ブラウン」の製品(橋本さん私物)。現在も「Less But Better」のデザイン哲学を貫いている。

橋本:シンプルに見せるということは、ディテールにこだわるということでもあります。「コンテンツ(ビジュアル)」と「プロダクトデザイン」、どちらにおいてもディテールは徹底的に磨き込んでいく。こうした明確なデザインフィロソフィーがあることで、「コンテンツ(ビジュアル)デザイン」と「プロダクトデデザイン」の二軸がありながらも一貫性を保ち、LINE NEWSの意思決定の速さに寄与できるのは、僕たちの組織の強みかなと思っています。

魅力的なサービスは、価値のあるブランド体験の積み重ねで作られる

― 「コンテンツ(ビジュアル)デザイン」について、さらに伺いたいと思います。「コンテンツ(ビジュアル)デザインは、百貨店でいうところの店舗の空間デザインやVMD、いわゆる箱の中身、ということでした。この「箱の中身」においても、シンプリシティやディテールへのこだわりを維持するのはなぜでしょうか。

JT:モバイルという小さいデバイスにおいて、コンテンツにはユーザーの体験を左右する大きな影響力があると考えています。しかし、一秒、二秒で離脱しうる厳しい世界でもある。情報をそのまま掲出するのではなく、美しくデザインされた情報を届けることは、価値の高いサービスとして記憶されるために必須です。例えば、コンテンツ(ビジュアル)デザインが大きく寄与するプロジェクトの一つに、「3.11企画」があります。

「3.11企画」は、2014年にヤフーが開始し、2021年からヤフーとLINEが共同で毎年実施しているプロジェクト。今年は「3.11 これからも、できること。」として、将来の災害時に被害を減らすための“防災啓発”と東日本大震災被災地の“復興支援”、震災の“風化防止”を目的に展開。

「3.11 これからも、できること。」特設サイト(2023年)

JT:2021年当初から継承しているメインカラーとハートのシンボルには、毎年その年ごとの企画趣旨を取り入れています。2023年の今年は、「3.11 これからも、できること。」のポジティブなインパクトがより広い範囲へ波及することを視覚的に表現したいと思い、ハートのシンボルを2Dから3Dへ進化させ、メインカラーにも奥行きを感じさせるテクスチャーを加えました。

JT:コンテンツデザインチームが磨いたコンセプト、キービジュアルは、バナーや記事などの様々な掲出先に合わせて最適化されます。つまり、大元のコンセプトが一つ一つの小さなデザインに落とし込まれ、それらが統一感のある大きなブランド体験となってフィードバックされる。その積み重ねが、魅力的なサービスを作り上げるのではないかと思うんです。

磨き上げたデザインで、コンテンツが加速する

JT:デザイン的に磨かれたコンテンツ例として、「3.11 これからも、できること。」の他に挙げられるのは、「2022 FIFAワールドカップ」、「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC」。ここからは、デザインを担当した孫ダウォン(Son Dawon)さんに加わってもらって、お話してもらおうと思います。

孫ダウォン (Son・Dawon)
2019年入社。前職では広告代理店にて企画とデザイン制作を経験。入社後、グローバルブランディングチームを経て、LINE NEWS、LINEギフトのデザイン制作を担う。

Dawon:まず、カタールで行われた「FIFAワールドカップ」について。試合スケジュールや速報をLINE NEWSのパーソナルイベント枠に掲出するにあたり、そのビジュアルは2パターン作ってください、というオーダーを受けました。制作したのは、日本代表の試合が行われる場合のブルーバージョンと、そうでない場合のレッドバージョンです。

日本代表ユニフォームのコンセプト「折り紙」を取り入れ、LINE NEWSがユニフォームを着たかのような雰囲気を目指した。
日本代表が試合をする日は“窓”が開き、日本代表が試合をしない時は“窓”が閉じている状態に。公式ビジュアルのキーカラーを使い、カタールの熱気と雄大さを表現。

Dawon:こだわったのは、どうやってユーザーとLINE NEWSの一体感を表現するか。ユーザーとLINE NEWSが一緒になり、リアルタイムで日本代表を応援しているというムードを、デザインを通して作りたいと考えました。それを形にしたのが“窓”です。アラブの建築やテキスタイルでよく目にするひし形を窓に見立て、窓の向こう側にいる選手たちを私たちが応援する、というイメージをデザインに落とし込みました。

Dawon:「WORLD BASEBALL CLASSIC」についても、実はパーソナルイベント枠に掲出するビジュアルを2パターン、制作したんです。一つは強化試合の期間中に使用するもので、選手たちが準備する様子をイメージしてデザインしています。もう一つはWORLD BASEBALL CLASSICの期間中に使用するもの。こちらは選手たちがボール投げ、打つ、実践の様子をデザインに取り入れています。

強化試合用のデザインではサムライジャパンの公式ロゴを参照し、赤をキーカラーとして採用。本戦用では、WORLD BASEBALL CLASSICの公式ロゴに使われている何色かをキーカラーとして使っている。

Dawon:また、WORLD BASEBALL CLASSICが開催される期間中には、このパーソナルイベント枠の下にオープンチャットへの動線を設置することが決まっていました。オープンチャットへの動線も含めて、ユーザーがWORLD BASEBALL CLASSICに参加している雰囲気を作り出すことが大きなミッションの一つだったと言えると思います。

※会話はサンプルです。

Dawon:LINE NEWSとオープンチャット、2つのサービスの間をユーザーが違和感なく行き来できるように、デザインがその橋渡しをした良い例になったかなと思っています。「FIFAワールドカップ」、「WORLD BASEBALL CLASSIC」を観戦した思い出の中に、自然とこのグラフィックも一緒にユーザーの記憶に残っていたら、いいブランド体験を作り出せたということでしょうし、デザイナーとしても嬉しいですね。

JT:ワールドカップとWORLD BASEBALL CLASSICのプロジェクトは特に、ニュースサービスの特徴でもあるリアルタイム感、即時性を感じさせる体験ですし、それがデザインの力でさらに魅力的な体験として加速できた事例だったのではないかなと思います。

橋本:何度もレビューとテストを重ねて、考え抜いた日々が懐かしいですね…(笑)。こうやって「コンテンツ(ビジュアル)デザイン」が磨き上げられている一方で、「プロダクトデザイン」も同じように検討と試行錯誤を重ねてデザインされているんです。

後半では、「プロダクトデザイン」について掘り下げます!
後編はこちら

photo / Keiko Ichihara

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