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数学理科

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中学校~高校の数学・物理・化学に関する記事。
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記事一覧

二階微分のライプニッツ表記の分数的性質

一階微分は分数と見なせることが良く知られている事実だが、実は分数であることまで良く知られていないのが残念な事実である。さらに、二階微分は分数と見なせないことも事実だが、あまり論じられてないのが寂しい事実である。

結論から言うと、まず二階微分のライプニッツ表記は分数と見なせない。仮に二階微分を分数として扱えたところで嬉しいことが見当たらないから、結局は現状維持される、というオチになる。

1 一階

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点と直線の距離

直線 $${ ax + by + c = 0 }$$と参照点$${ O = (p, q) }$$の距離$${ d }$$は、割と簡単な式で与えられている。

$$
d = \frac{| ap + bq + c |}{\sqrt{a^2 + b^2}}
$$

これの導出は様々な手法があるが、以下では参照点を原点とした座標系に変換した後、三平方と三角形の面積で導てみる。

1. 距離の式

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二次方程式の解の公式の覚え方

二次方程式$${ ax^2 + bx + c = 0 }$$の解を与える公式$${ x = \dfrac{-b \pm \sqrt{b^2 - 4ac\,}\,}{2a} }$$というのがある。これさえ覚えてしまえば二次方程式を解けるようになるので、この公式を有難く覚えようとする人と、覚えさせようとする人が現れる。しかし人並みの記憶力では厳しいと考えた方が良い。

1. 地味な平方完成

平方完成

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tan' x = 1 + tan² x の眺め方

1. 正接微分での錯覚正接関数の微分 $${ (\tan x)' = 1 + \tan^2 x }$$という形をしている。自己完結していて、面白い。

これを$${ (x^n)' = nx^{n-1} }$$と照らし合わせ、微分してるのに$${ \tan }$$の次数が1乗から2乗に上がるという錯覚に陥る。もちろん、微分で次数が下がるのは多項式の性質であり、正接関数は無関係。ただ、次数が上がる理由

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抵抗のある落下運動

抵抗のある落下運動

雨粒の落下運動について、空気抵抗のある自由落下として扱う場合が多い。
その場合の支配方程式は $${ ma = mg - kv }$$となる。

ただし、
 ・$${ m }$$は雨粒の質量
 ・$${ a }$$は雨粒の加速度
 ・$${ g }$$は重力加速度
 ・$${ k }$$は空気抵抗定数
 ・$${ v }$$は雨粒の速度

1. 地道な計算$${ ma = mg - kv }$$

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数式の読み方:常微分

数式の読み方:常微分

微分は連続関数の解析で使える強力な道具である。高校では簡単な1変数関数$${ f(x) }$$に対し、$${ f(x) }$$の常微分を$${ f'(x) = \displaystyle\lim_{h\to0} \frac{f(x+h) - f(x)}{h} }$$と定義して扱う。歴史的に常微分は微分商、微分係数、導関数など複数の呼び方があり、表記法も複数使われている。特にライプニッツの記法$${

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球の体積と表面積の積み上げ方

球の体積と表面積の積み上げ方

中学校数学では球の体積と表面積の公式を学ぶ。困ることに、現行の教科書ではこれらは天下り的に与えれ、実験的手法で説明されても、理論的に導かれることはない。その結果、公式の丸暗記、下手すると語呂合わせによる暗記を助長する有様である。

  $${V=\displaystyle\frac{4}{3}\pi r^3}$$
  $${S=4\pi r^2}$$

球の体積や表面積が既存の知識と繋がらないの

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多項式除法の筆算の長除法と組立除法

多項式除法の筆算の長除法と組立除法

多項式の除法を筆算する際、主に2つの方法が用いられる。1つ目は整数除算の筆算でお馴染みの長除法、2つ目はそれを簡略化した組立除法である。高校数学の教科書では長除法のみを例示し、組立除法は扱ってない。しかし、長除法よりも組立除法の方が記述量が少なく高速であるため、参考書や勉強サイトで扱われることが多い。

ところが、組立除法の計算の仕方を計算して手順の暗記になる場合が多い。組立除法が長除法の簡略化し

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