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「あ〜、あ!」

昨日、はじめての体験をしました。
気持ちのよい体験ではありません。

ダウン症がある次男と一緒に買い物に行ったときのことです。

次男がお弁当を選んで、カートに持ってきました。

直後、別のお弁当が気に入って、今度はそれを持ってきましたが、誤って床に落としてしまいました。

その衝撃で蓋が開いてしまい、中身が床に散らばってしまいました。

この様子を、私のすぐ背後で見ていた親子連れがいました。
お父さん、お母さん、小さな男の子。


するとお父さんが私と次男に向かってこう言い始めたのでした。

「あ〜、あ! あ〜、あ! あ〜、あ!」


子どもが失敗をしたときなど、「あ〜、あ!」と親が言ってしまう場面をよく目にしますが、それと同じトーンでした。


次男は、お弁当を落としてしまったショックや、男の人の「あ〜、あ!」の声に、緊張をして体をこわばらせ、声を発しながら小刻みに体を揺らしたり、ぐるぐると回ったりしていました。


そのお父さんは、次男がお弁当を床に落としてから、私たちがお弁当売り場を立ち去るまでの間、ずーっと「あ〜、あ!」を言い続けていました。


他にもお客さんはいらっしゃったのですが、見て見ぬふり。
少し離れたところから、私と次男がどうするかを観察しているようでした。


お父さんの「あ〜、あ!」という非難の意味を込めたような言い方と、周囲の視線を浴びてしまって、私は少しパニックしていました。


床に散らばったおかずを容器に戻し、蓋をして、私の買い物カゴに入れる作業を淡々と行うようにつとめました。(床に落としたお弁当は購入して持ち帰りました。ご安心ください)

不安になっている次男には、穏やかな声で話しかけ続けました。


周囲には割と多くの方々がいらっしゃったのですが、誰一人として寄り添ってくださるような声かけをしてくださった方はいらっしゃいませんでした。


昨日の体験は、どうやら私の中でショックを受けたようで、いまだにドキドキしてしまいます。

あのお父さんは、なぜ「あ〜、あ!」と言い続けたのか?
隣にいた奥さんも冷ややかな視線をこちらに向けていました。

「あ〜、あ!」と言い続けているお父さんの手を、小さな息子さんがぎゅっと握っていました。


小さな息子さんにとって、この光景が当たり前のものになってしまうのでしょうか?

彼のおともだちが失敗をしたとき、彼も同じように「あ〜、あ!」と言い続けるようになってしまうのでしょうか?

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