見出し画像

幸せな老後とは

『「幸せな老後」を迎えるための準備
なぜ日本の高齢者は「不幸」なのか。』

医師の諸岡真道氏の提言をもとにした
特集記事を読みました。

⭐︎ アドバンス・ケア・プランニング


東京都医師会が挙げているACP
アドバンス・ケア・プランニング

次の7点にフォーカスして
自分が願う最期のあり方を家族と話し合い記録し
主治医に伝えておく。それの繰り返すことで
「幸せな老後」に備えましょうと提言されています。

○大切にしていること
○自分の生き方(心情)
○病気になった時に望む医療やケア、
 望まない医療やケア
○自分で意思表示ができない時に望む治療
○自分の代わりに判断して欲しい人
○これだけは嫌なこと
○最後まで暮らしていたい場所
週刊新潮2023年3月2日号


ACPの事、父は活字をよく読む人だったので
どこかで読んで知っていたのでしょう。
この提言に沿った彼なりの希望を折にふれ
伝えてくれていたのです。

私たちは家族は彼の願いに沿えるよう
できる限り体制を整えて父の晩年に寄り添いました。

それにまだまだ元気だった頃に戒名もいただき、
写真館で遺影用の写真を撮影し、
依頼する葬儀屋さんも決めていました。

自分の最後を自分で準備できて
「幸せな老後」でそのまま最期の時を
迎えるのだと誰もが思っていました。

⭐︎ 予期せぬできごと


ただまさかの事態が起きたのです。
想定外の重い病気の診断が確定、
彼の人生晩年プランに予期せぬ出来事が。

ステージ的には手術可能、化学療法の効果も
期待できる段階でしたが、大学病院の主治医の
意見はとても現実的でした。

年齢を考慮すると、
手術と治療は体への負担が大き過ぎ
術後のQOLが著しく下がりかねない。
寝たきりになったまま少し長く生きるか、
少しでも長い時間自力歩行しできることをする
生活を選ぶか、になります。
ただ私の親が同じ状況なら私は手術を勧めません。
QOLを落としてまで無理な医療を受けるのは
苦しいだけだからです。

次回の診察までによく考えてと宿題を出され、
身内の医療関係者や長年のかかりつけ医に相談。
父は手術、治療は受けないと決めたのです。

今年の🌸お花見も一緒に行きたかったな

⭐︎ 哲学問答

その頃から父は哲学的なことを言うようになり

生きている意味がわからない。
病と直接戦わない自分は弱く負け犬ではないのか

診察の時哲学問答のような問いかけを医師にして
彼を困らせたりしました。診察室に同席した
私はハラハラしましたが、主治医は偉ぶらず、
忍耐強く向き合い、患者の気持ちを
尊重してくれるドクターで、救われました。

決して敵前逃亡などではなくあなたは勇気ある決断をしたのです。
できるだけ自分で動き人生を全うすること選んだ、強い人ですよ。

この言葉が父にどれだけ響いたのか、
もはや確かめようがありません。

⭐︎ 完璧な「幸せな老後」はないのだろうけれど

「幸せな老後」=「穏やかな最期」を
誰もが望んでいて、その為の事前準備はある程度
出来ます。ただ残念ながら自分の最期の時期も、
その引き金となる原因も自分では選べないのです。

プランを練っていても思う通りにはいかず、
日々試行錯誤の連続の生き方の
延長線上にある逝き方は思い通りに行かない
最たるものかもしれませんね。

「幸せな老後」の完璧な実現はムズカシイネ

⭐︎ 願はくは花の下にて春死なむ その如月の望月の頃

最後になった去年のお花見🌸
車椅子の父を近所の公園に連れて行きました。

まだまだ元気だった頃のお花見の時🌸
西行の歌を引用していたことがありました。

不意打ちを喰らったような病に罹ってしまい、
桜の季節は過ぎていた時に逝ってしまった父。

最後の日々どんな思いでいたのか、
幸せと思えた瞬間はあったのか聞きたいです。
また会いたいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?