iPhone14Proを約3ヶ月使ってみての感想
Appleオンラインストアで購入したiPhone14Proが手元に届いた2022年11月16日から、3ヶ月半が経ちました。
iPhone12から乗り換えた感想を、良い点悪い点どちらも正直に書いていきたいと思います。
細かいことを言えば不満が無いわけではありませんが、基本的には満足しています。買ってよかった製品だと思います。バカ高いけど。
まずはPro Motionディスプレイ。手にとって最初の感動はこれでした。画面のリフレッシュレートを1Hz〜120Hzまで自動で切り替えて最適で滑らかなディスプレイ表示をしてくれるというもの。
正直、前に使っていたiPhone12の60Hzディスプレイでも十分滑らかに動くと感じていたので、自分には過剰なスペックだなと思っていたのですが……120Hzは想像を超えていました。
ホーム画面切り替えのアイコンの滑っていく動きやWebページをスクロールした時のスルスルとした動きなど、60Hzのディスプレイとは明らかに違う見え方をしているのがすぐに分かりました。
特に意味もなくiPhoneのディスプレイをスイスイやってしまうような、中毒性のある気持ち良さです。
ちなみに1Hzまでリフレッシュレートを落とすことによりiPhone14Proではシリーズ初となる画面の常時表示を実現していますが、私の場合スリープ時のiPhoneは大体ポケットに入れているのであまり必要性を感じず、設定でオフにしています。作業中・仕事中にデスクの上にiPhoneを置いて時計代わりにしたりする人には重宝される機能だと思います。
次に、カメラ性能。まだ全然現役として使い続けられるiPhone12からわざわざ機種変更した一番の理由は、進化したカメラを(主に子どもの成長記録用として)使いたいからでした。
その進化は確実に体感できました。めちゃくちゃデカくて出っ張っているカメラレンズは、その見た目を裏切らない性能を秘めていました。
以前はナイトモードが起動していた場面でもナイトモードが不要になってたり、ナイトモードで3秒必要だったのが1秒になってたり……レンズやセンサーの改良により光を多く取り込めるようになったのだろうと推察できます。
スマートHDR4や、iPhone14シリーズから搭載されたPhotonic Engineによる絵作りは見事の一言で、これぞコンピュテーショナルフォトグラフィーの極みといった感じ。とりあえずパシャリと撮った写真でも、逆光を抑えて人物の顔をしっかり捉えてくれたり、白飛びを抑えてくれたり、色彩豊かに表現してくれたり……iPhoneが後から勝手に「いい感じ」に仕上げをしてくれます。
iPhone14Proから搭載された48MPのメインカメラはRAW撮影の際しかその性能を完全に発揮することができず、通常の撮影は12MPの写真となります。Apple Pro RAW撮影はそのデータ容量の巨大さ故にあまり頻繁には使っておらず、つまり48MPの画素数を日頃から活かすことはできていません。ここは少し残念なところ。JPEGやHEIFでも気軽に48MP撮影をしてみたいです。ただ、ここぞという時に48MPのRAWで撮影してみると、細部に至るまで解像度高く描写された写真が撮れて驚かされます。最近では素人ながらLightroomアプリで現像・加工することも増えてきて、こだわりの1枚作りを楽しんでいます。
48MPカメラを利用した2倍ズームの使い勝手は非常に良いです。1倍だと遠い、でも3倍望遠にすると近すぎる……というシチュエーションって結構多いです。そんなときワンタップで2倍ズームに切り替わるのは非常に快適で撮影しやすいです。
3倍望遠レンズは、暗いところの写りはイマイチですが(暗すぎると起動してくれず強制的にメインカメラの3倍デジタルズームで代用されることすらあります)、明るさが十分ある場合は予想以上にクッキリ綺麗に写してくれます。簡単にではありますが、ズーム性能を検証した記事がこちらにありますのでよろしければご覧ください。
ポートレートモードの精度も向上していると思います。より正確に被写体を捉え、背景を綺麗にぼかしてくれます。
ただ、フワフワした髪の毛など境界線が曖昧になりがちな部分についてはやはりボケ処理が不自然になることがあり、このあたりはまだまだ改良の余地があるのかなと感じます。また、iPhone14Proの場合は普通の写真であっても適度かつ自然に背景がボケてくれるので、そこまでポートレートモードにこだわって撮る必要もないのかなと思っています。
iPhoneのカメラは言うまでもなく写真を撮るだけでなく動画撮影もできるのですが、これがまた優秀です。なんなら写真より動画の方が得意なのではと思うほどです。
明暗差が激しい屋外のようなシチュエーションでも写真の時と同様のスマートHDR4に加え、ドルビービジョンにより細部まで色彩豊かにしっかり描写してくれて素晴らしいのですが、それ以上に注目すべきなのは手ぶれ補正が抜群に効くことだと思います。
iPhone14シリーズからは新たにアクションモードという手ぶれ補正に特化した動画撮影モードが備わりましたが、正直まったく使っていません。というのも、日常使いの少々の手ブレであればアクションモードを使わずとも標準で十分抑えてくれるからです。例えば子供やペットを追いかけて激しく動き回る動画を撮るとか、険しい山道を歩きながら動画を撮るとかするようなレベルになれば、アクションモードがその威力を発揮してくれるのかもしれません。
あと、iPhone12からiPhone14Proになって初めて使えるようになった動画機能としてはシネマティックモードがあります。
こちらもあまり多用はしていませんが、子どもなど動き回る被写体もしっかり認識し続けてくれて他を上手にぼかしてくれるので、普通とは一味違った面白い動画を撮影することができます。撮影した後からでもピント位置を調整できるのも面白いです。
このように、カメラ周りに関しては様々な進化が感じられ概ね素晴らしいのですが、一方でイマイチだと感じる点もあります。
ひとつは、レンズやセンサーが変わった影響なのか、近いもののピントが合わなくなったことです。
屋内で子どもを撮影する時や目の前の料理を撮影する時に、今までだとピタッと合っていたピントが合わずボヤボヤになってしまうことが多々あります。一応、マクロ撮影モードで撮ればピントは合うんですが、マクロの場合超広角カメラを使用するため、画質面ではメインカメラより明らかに劣り暗さにも弱いです。マクロ撮影は相当の接写をする時は便利で面白いですが、メインカメラのピントが合わない時の代用にはなり得ないと思います。
この作例のように、動かないものをゆっくり撮る時には2倍ズームの使用によりピント問題は解決するのですが、近くで動き回る子どもを撮る場合、近すぎてピントが合わないから離れて2倍ズームを……としているとシャッターチャンスを逃すことがあったり、離れようとして無理な体勢になったりして苦労することがあります。
もうひとつは、望遠カメラの罠です。正確には罠というより、自分がウッカリして気付いてなかった盲点なのですが……。
iPhone14Proを手に入れる前はiPhone12を使いながら「望遠カメラは画質劣化しない光学ズームだ。だから今iPhone12で撮ってるこの写真が望遠カメラを使えばそのまま3倍まで寄れるようになる感じなんだろう」イメージしていました。しかし、これは半分正解で半分不正解だったのです。
確かに光学ズームは画質の劣化なくズームできる機能です。ですが、iPhoneの場合、メインカメラと望遠カメラは別々のレンズを使って撮影します。そして望遠カメラはメインカメラよりF値などのスペックが劣るのです。
つまり「メインカメラで綺麗に撮れる写真がそのまま劣化なしで3倍までズームできる」というわけではないのです。なぜもっと早く気付かなかったんだろう……。
同じ被写体を同じくらいのサイズになるよう、メインと望遠それぞれのカメラで撮影しました。
パッと見では分かりませんが、望遠の方は細部の色味などがのっぺりと潰れた塗り絵のようになっています。もう少し暗いシチュエーションの写真だと、画質の差はより顕著に現れます。
モノを撮影する場合はそこまで気にしなくていいレベルでしょうが、遠くの人物を望遠で撮ると、目・鼻・口などの細部をアップにしてみた時、ザラザラで明確に画質が落ちていることがわかります。
本当にきちんとした望遠写真を撮りたければ、十分な光量があり撮影環境がしっかり整ってる状況で望遠カメラを使うか、もしくはスマホ付属ではない「カメラ」を別途購入すべきなのだろうと思っています。
あとついでに、せっかくLiDARスキャナが搭載されているんだから普段の写真撮影シーンでももっと活用してビシッとピント合わせできるようにすればいいのになあと思います。
暗いシーンでのピント合わせには一役買ってくれているらしいですけど、明るいシーンでの撮影では多分何も仕事をしてないんじゃないでしょうか。せっかくある機能をフルに活かしてないの、もったいないなぁと思います。
バッテリーを余計に消費してしまうという問題があるのかもしれませんが、そこは設定で「カメラ起動時に常にLiDARを使う」みたいな項目を設けて、使いたい人はオンに・使いたくない人はオフにできるようにすれば問題ない気がします。
カメラ関係のことを長々と書きましたが、その他の項目についても触れてみます。
チップの処理性能については、正直iPhone12でも特段不満があったわけではないので、iPhone14Proにして劇的に良くなったなど体感できる違いはありません。相変わらずサクサク動き優秀です。
また、バッテリーのもちが良くなったのも満足ポイントです。iPhone14Proと比較して「iPhone13Proの方が良かった」とか「iPhone14の方が電池もちがいい」とかの話を聞くことがありますが、iPhone12から変えた身としてはバッテリー切れを心配するシーンがほぼ無くなったので不満はないです。
あと、軽量なiPhone12から重いiPhone14Proに変えるにあたって、重さがストレスにならないかは地味に気になっていた点ですが、結果として特に問題はありませんでした。
個人的には全く許容範囲内の重量で、手に持った時の存在感が適度にアップしたのはむしろ所有欲を満たすのに寄与しているように思います。
iPhone14Proの目玉であり従来シリーズからの最も大きな変更点であるDynamic Islandについては、正直なところ発売から半年経った今でもあまり活かし切れてなくて勿体無いな、という感想です。
インカメラやセンサーが画面の一部を邪魔するというネガティブポイントを、ソフト面のアプローチにより意味合いを与えてポジティブポイントに変えるという発想はAppleらしく大変好感が持てるのですが、普段使ってて「Dynamic Islandがあって便利!」と思えるシーンってほとんどないんです。結局はパンチホール的なものとしてただ存在する時間の方が圧倒的に長い。
もっとApple純正以外のアプリでも活用の幅が広がっていけばいいと思うんですが……このあたりは今後のiPhoneシリーズでDynamic Islandが標準化されていけば、今よりももっと様々な使い道が出てくるのかもしれません。
あと、緊急時の衛星通信システムはあると安心できる良い機能だと思います。電波が届かない大自然の中で仕事やアクティビティをする人にとって、万一の時に頼れる保険として有用と感じます。ただし執筆現時点ではアメリカとカナダのみで利用可能で、日本で対応するのはいつになるやらという状況ですが。こちらも今後の展開に期待といったところで、今は何の恩恵も受けられていません。
最後に本体デザインについて。こればかりは完全に人それぞれ好みによるのですが、個人的には気に入ってます。背面のマットでサラサラなガラスも、側面の艶々ギラギラなステンレスも高級感を演出するには文句なしの質感で、所有欲が満たされます。ただし側面はちょっと触ると指紋で即ベタベタになりますが。まあ普段はケースに入れてるので気になることはありません。ケースに入れてるのにデザイン云々を語るのはおかしいですって?時々ケースを取り外して本体のホコリを拭き拭きする時にじっくり舐め回すように眺めて「はぁ……美しい……」とウットリするのがいいんですよ。
カメラでかすぎ&飛び出しすぎというのは確かに思わなくもないですが、これだけ写真や動画の性能が上がっているのだからトレードオフとしてやむなしかな、といった感じです。いかついカメラを見てると、このカメラでいい写真を撮りたいという気持ちが湧いてくるので、クリエイティブなモチベーションを高めてくれるという意味ではいいデザインなのかも。
ただ、機能どうこうを無視して完全にデザイン性だけで語るのであれば、私の中ではいまだにiPhone5sが堂々の一位ですが。
今まで書いてきたnote記事の中で一番の長文になったかもしれません。ちなみにこれは全てiPhone14Proで書いてます。
冒頭で述べた通り、基本的にはiPhone14Proに満足しており、買って良かったと感じています。
iPhoneとしてこれほどまで成熟してしまうと、今後どう進化していくのか私程度では想像がつきません(精々、ペリスコープレンズ対応くらいしか思い付きません)。
今後のiPhoneシリーズの発展に期待しつつ、当面はこのiPhone14Proをできるだけ長く大事に使い続けたいと思います。
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