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「あたらぼキッズティーチャー」プロジェクト活動報告及び最終報告 ~新しい働き方LAB研究員制度第3期~

自分らしい、新しい働き方について半年間自身が決めたテーマについて実験を行う新しい働き方LAB研究員制度(以下、あたらぼ)。1期、2期に引き続き第3期となる今年は、これまでの活動を踏まえ私らしい働き方を見つけるべく、指定企画「まちづくり実験室」と自主企画の2つの研究に参加しました。こちらは自主企画テーマとして実施した、「あたらぼキッズティーチャープロジェクト」の最終報告書です。

「キッズティーチャープロジェクト」研究の目的と背景

「キッズティーチャー」とは、子ども達の好きや興味関心事を引き出し、得意や不得意も含め自分らしさに気づくことで子ども達の自信につなげていくプロジェクトです。子ども達の「やってみたい!」好奇心を大人のサポートを受けながら、最終目的であるプレゼン発表まで目指します!もう少し簡単に言うと、子ども達が自由研究に取り組み発表する過程を、大人が支えていくということです。

このプロジェクトの発端は、今年3月に私自身が自分の子どもとお友達の2人で実施したキッズティーチャーのリアルイベントがきっかけでした。

▼3月に実施したリアルイベントのレポートはこちら

このとき得られた気づきや周りの反応などから、あたらぼ研究員制度に参加するパパ・ママ研究員生にも是非実践してもらいたい。また、子ども関係の仕事に携わる人や子どもの社会課題に関心がある方にも知っていただきたいと思い、今回の研究テーマとして取り上げることにしました。

そして、研究員生仲間であるヤコナツメさんと、私が運営する市民団体活動「夢チャレンジっ子」メンバーの山田さんの3人でチームを結成。キッズティーチャーとして手を上げて下さった、あたらぼ研究員生のけーやんさんとみね子さんのお子さんのSさんとRさんと一緒に、プロジェクト達成を目指し約3カ月間活動を行ってきました。

この最終報告書では、8月のキックオフ後に実施した活動の記録と、プレゼン発表について内容を振り返ると共に、研究員生と子ども達とのつながりや関わり方の変化や気づきなども、結果として報告します。

大人と子どもの「共育」を目指した活動記録

キッズティーチャーは子どもが主体になるプロジェクトです。そのため、大人も子ども達のサポートをしつつ、一緒に楽しみながら新たな学びを得る「共育」もこのプロジェクトで達成したい目的に加えました。子ども達にとっても、普段関わりのない大人との関わりや触れ合う機会は、学校や友達同士の会話や遊びとは違う知識を得たり視野を広げられたりと、将来役立つ学びや経験につながると考えたからです。そこで私たち運営メンバーやサポーターとして活動に協力してくださった研究員生との交流会を実施や、知識の共有会も行いました。

以下、各会での内容と、キッズティーチャーがどれだけの大人と関わったのかについて数値で表示しています。
*関わった大人の数は運営メンバーも含む。

8/28:第1回目交流会「哲学対話で『好き』を深める」

・参加者11名(うち大人9名)
子ども哲学ファシリテーター資格を有する、あたらぼ研究員であり無駄団団長であり、新しい働き方LAB東京のコミュニティマネージャーであるもんちゃんを講師に招いて「哲学対話」を実施しました。対話では、まず参加者全員で何について話すのか、その問いを決めます。いくつか案が出たなかで今回の問いは”『好き』が生まれるきっかけ”について話すことになりました。「好きになるきっかけ」には人それぞれ違うこと、また一つの「好き」から別の「好き」へと派生していくことがあるなど、それぞれの価値観の共有から新しい発見にもつながりました。

9/6:教えて研究員生!「Googleフォームの作り方」

・参加者6名(うち大人4名)

キッズティーチャーのSさんのリクエストにより、サポーター研究員生のゆすらうめさんにGoogleフォームの使い方について共有いただきました。

最後にZoom機能で遊んでみました

Sさんはその後Googleフォームを使って研究員生向けにアンケートを実施。その集計結果をプレゼン資料に反映するなど、子どもの吸収力や能力の活かし方に大変驚かされる機会となりました。

キッズティーチャー部のslackチャンネルへ投稿


9/28:第2回目交流会「自分のまち自慢で伝わる伝え方の実践」

・参加者7名(うち大人5名)

プレゼン発表では、「伝えたい」ことをちゃんと「伝えられる」かが一番重要です。そこで「伝え方」の練習をしつつ研究員生との交流を深めてもらおうと、「自分が住むまちや訪れたことのあるまちの魅力を自慢し合う」というテーマで伝わる伝え方を実践してみました。このテーマを選んでよかったのは、自分のまちには魅力がないと言っていたキッズティーチャーのRさんが、研究員生からの質問によって以外な魅力に気づきを得られたのと、共通点を見つけられたことだと思います。世代関係なくコミュニケーションの広がりにもつなるため、汎用性の高いテーマだと感じました。
(残念ながらスクショを取り忘れてしまいました。)

10/12:教えて研究員生!「プレゼン発表で大切なこと」

・参加者6名(大人4名)

プレゼンまで約1カ月前になったこの日、キッズティーチャー達が事前に考えきた発表のストーリーについて、マーケターであるテツさんにアドバイスをいただく機会を設定しました。

事前の打ち合わせで「形式に囚われることなくその子らしいプレンゼンをして欲しい」と語っていたテツさん。

“伝えたいことがいろいろあったとしても「一番伝えたい」ことを伝えられなきゃプレゼンは意味がないよ!”
この言葉はキッズティーチャー2人だけでなく、プレゼンが苦手な私にとっても深く心に響いたのを覚えています。

10/23:教えて研究員生!「Canvaを使ったプレゼン資料の作り方」

・参加者8名(うち大人6名)

グラフィックデザイナーのヤコ_オットさんことヤコトモアキさんから、デザインツール「Canva」の基本的な使い方と、スライドは何のために用意するのかについて説明いただきました。
“言葉だけでは伝わりにくいことを伝わりやすくするのがスライド”“プレゼンは聞き手への「プレゼント」!”など、大人でも悩むスライド作りのいろはについてとても参考になりました。

「スライドは上手く作る必要はない。大事なのは楽しんで発表すること!」

11/9:リハーサル1回目

・参加者9人(うち大人7人)

本番10日前になり、初めて通しでリハーサルを実施。ここまで、私たち運営側からは、具体的なプレゼンの仕方や資料の作り方についてなど「教える」ことは一切してこなかっただけに、ドキドキしながら確認したのを覚えています。けれどそんな心配をよそ眼に、Sさんはこの時点で資料をほぼ完ぺきに作成していました。Rさんは、まだ発表内容を悩んでいる様子もありましたが、2人とも「次回までには完成させます!」と力強く答えてくれたことに勇気を分けてもらいました。と、同時に、もう少し具体的にアドバイスをした方が良かったのかと迷いを感じた場面でもありました。

前回ストーリー作りでアドバイスくださったテツさんからは、「上手く発表しなくていい。苦手な発表することに意味があるから」と、再び激励をいただきました。

11/15:リハーサル2回目

・参加者9名(うち大人7名)

いよいよ発表4日前!最後のリハーサルを実施しました。実はこの2日前にRさんからテーマを変えたい!との要望が。お母さんであるけーやさんも私たちも残り数日でどれだけできるのかと心配していましたが、逆に子どもの本気度を見せつけられた日になりました。迷いが吹っ切れたRさんの表情は、以前に比べて表情が明るい。話し方からもその自信が伺えました。Sさんも前回よりも資料をさらにブラッシュアップしていて、2人ともプレゼン発表当日への意気込みを感じました。

子ども達の意気込みには私も背中を押されました。

11/19:キッズティーチャープレゼン発表

・参加者13名(うち大人11名)

告知用のサムネを制作してくださったのはヤコオットさんです。ありがとうございます!

そして、いよいよプレゼン発表当日!発表が終わるまで心配と緊張の連続でしたが、キッズティーチャーの2人は自分の「好き」をテーマに見事なプレゼンを披露してくれました!!
2人のプレゼン内容について全てはお伝え出来ませんが一部ご紹介したいと思います。

発表会には初代キッズティーチャーの「わーちゃん」も視聴参加

<Sさん、小学4年生>

・テーマ:僕の理想のメロンクリームソーダ
・目的:自分が理想とするメロンクリームソーダを見つけること
・概要:メロンクリームソーダを実店舗へ行って実食。各店舗ごとに自分の好みに沿って5段階評価した結果から理想のクリームソーダについて発表。研究員生にアンケートを実施し自分の理想と比較するなど、客観的にまとめられた資料が素晴らしかったです!Chat GPTを使い理想のメロンクリームソーダを生成したものも紹介してくれるなど、大人顔負けのプレゼンでした。

全4店舗+缶ジュースのメロンクリームソーダについて実食、評価。
Googleフォームを使って研究員生へアンケートを実施。
コメダ珈琲には直接店舗へなぜソフトクリームかについて質問したそうです。
ChatGPTで生成した理想のメロンクリームソーダを紹介!

<Rさん、中学3年生>

・テーマ:地雷系の魅力
・目的:地雷系を知らない人のために魅力を伝える
・概要:「地雷系」というファッションやメイク、髪型など主に見た目についての詳しく解説。また地雷系は女性だけでなく男性も一緒に楽しめると参加者の立場に立った発言もありました。地雷系メイクにおすすめのコスメを紹介するシーンでは、商品名や型番、販売店、販売価格なども調べた情報収集力の高さが伺えるプレゼンでした。最後に地雷系に出会ってから自分がどのように変わってきたのかも画像で表されていて、地雷系という言葉に馴染みのない大人世代にもその魅力が十分に伝わってきました。

プレゼン資料はCanvaを使用せずにフォントも全て自作するこだわり。
地雷系とは。ファッションや髪型、色使いについても紹介。
おすすめコスメは発表を聞きながら私もメモしました!
地雷系を目指して自分がどれだけ変化したかを時系列で紹介。

<プレゼン発表参加者の感想>

今回素晴らしい発表をしてくれたキッズティーチャー達のプレゼンを、是非もっとたくさんの研究員生にも見ていただきたい。後日アーカイブの共有とともにプレゼン発表に関するアンケートを研究員生向けに実施。その回答結果についても一部紹介します。

■Sさんの発表を見ての感想
・好きなメロンソーダをテーマに選んだ純粋さに驚きました。私にも好きなドリンクはありますが、このような視点で分析したことがなく、惰性で飲んでいたことに気付きました。次からは、なぜ自分がそれに惹かれるのか考えてみたいなと思います。
・しっかり練習をしてきたのが伝わる、聞かせる発表でした。内容もしっかり調査しているので、興味深く聞くことができました。スライドもわかりやすく作成されていて、プレゼンとして素晴らしい出来だったと思います。
■Sさんの発表の中で特に印象に残っている点
・chatGPTで作ったオリジナルのイラストが印象に残っています。自分の好きな要素を明確にし、ビジュアルを作り出すのはクリエイターだなと感心しました。
・アイスクリームとソフトクリームの視点は好きでないと出てこない切り口だと感じた
■Rさんの発表を見ての感想
・自分自身のやりたいことに、正直に見つめて、やりきる姿、力強さを感じました。プレゼンする聴衆のことも配慮しつつ、自分の伝えたいことを、しっかりとメッセージしてきた素晴らしい発表でした。
・興味を持った人がそのまま行動に移せるように、商品名や値段、使用感を詳しく紹介してくれたところがとてもよかったです。地雷系メイクのイメージもしやすくなりました!
■Rさんの発表の中で特に印象に残っている点
・視聴者目線で情報が網羅されており、そのままテレフォンショッピングにできそうだと感じました。地雷系に出会ったことで自身がどのように変化したかについても触れられており、プレゼンの説得力が高かったです。
・冒頭の方にあったメイクの例が印象に残っています。どんな特徴があるのか説明があり、うやむやにしか知らなかった私にも、地雷メイクがどのようなものか理解できました。
■パパママ研究員の方へ。 もし次回またキッズティーチャーを開催するとしたら、自身のお子さんに挑戦させたいと思われますか?
・興味はあるが難しそう(1名)
・是非やらせてみたい(1名)
・子どもがいたらやらせてみたい(1名)
■上記回答の理由
・機会としては素晴らしいと思うのですが、子供の性格的に自発的に参加することは難しそうかなと感じています。
・今後は、コミュニケーション能力が高い人がより評価される時代になると思う。子供の頃から、人前で発表をすることは、自分を表現するためにもとても大事な経験だと思う。
・大人も子供もたくさんの気づきや学びがある
■発表会全体への感想やご意見
・キッズが大人たちに自分の興味あること、伝えたいことを発表する場は、子供たちだけでなく、ボクたち大人にとっても、学びや気づきを得られる有意義な時間です。ぜひ、これからも継続して欲しいです。
・1回の発表で終わってしまうのはもったいないので、こういった発表をまとめて展示できたりするといいなと思いました!
・かたちにして発表するということはすごくエネルギーが必要なことだと思う。あらためて親とは違う大人が関わることの効果というか意味を考える機会になりました。 二人の変化と親子の関わりにも触れさせてもらい素敵な経験となりました。

キッズティーチャー達の「好き」が伝わったこと、親以外の大人にも影響を与えたことが伺える言葉をたくさんいただき、私たち運営メンバーやキッズティーチャー2人の励みになりました。

キッズティーチャー2名の変化と保護者アンケート

発表後、キッズティーチャーの2人と、保護者として運営メンバーと一緒に子ども達に寄り添ってくださった、けーやんさんとみね子さんに、このプロジェクトに参加したことで起きた変化や感想をアンケートで伺いました。

<キッズティーチャー2名のアンケート結果>

子ども達の可能性を広げるきっかけは保護者の声掛けから始まることをあらためて実感させられた結果となりました。
一つでも楽しい、自信が持てると思ってもらえたことが何よりです。
2名とも自分に厳しい点数をつけているなという印象です。
スライド作成や全体の構成を考えるのは大人でも苦労しますよね。
2人も苦手だと思っていたことを克服できたと回答していました。

<保護者2名の感想>

・けーやんさん
自分の伝えたいことを、どうやったら伝わるか?色々工夫してスライドを作ったり、長い台本を考えたり、全て娘が自分で取り組んでいました。本番までの本人の葛藤と、母としてただ見守るだけでしたが、色んなことを考えさせられました。娘の成長をとても感じる3ヶ月間でした。参加して本当によかったです、ありがとうございました。

・みねこさん
子どもに自分以外の大人の考えに触れて欲しい、子ども自身が得意なことに取り組んで自信を持ってほしいという思いで、子どもを誘ったところ「やりたい」という返事だったので参加させていただきました。人の話を聞いて自分の意見も話したいという積極的な姿勢や苦手なタイピングで一生懸命スライドをつくっている姿など、普段は知らなかった一面を見ることができました。普段はお出かけ=病院ですが、二人で喫茶店を巡ったこと自体も楽しかったです。たくさんの方に支えていただき、見守っていただき、コメントをいただき、最後の発表でとてもうれしそうにしていたのが印象的です。素敵な経験をさせていただき、ありがとうございました。

私自身がキッズティーチャーを実施したときに気づいたように、普段気づかない子どもの一面や成長を間近で見とどけてその変化を感じとっていただく機会になったのだと、嬉しく思います。


その他実測結果

■slackキッズティーチャー部
・部参加人数:24名(運営メンバー2名とキッズティーチャー2名の保護者含む)
・うちサポーターとして交流会や共有会に参加いただいた方:5名(テツさん、ゆすらうめさん、てんこさん、みねともさん、のびるさん)

■このプロジェクトでキッズティーチャーが大人と関わった延べ人数
・全11回で述べ71人(キックオフ、発表会当日含む)

ご自身の研究活動や仕事で忙しいなか、キッズティーチャー達のサポートとして関わって下さりありがとうございました!このプロジェクトを通じてもし何か感じられる変化や気づきがあったのならば、後日でも構いませんので是非共有いただけると嬉しいです!

プロジェクト実施後の考察と今後について

1期から参加してきた研究員制度のなかで、自主企画をチームで取り組んだのは今回が初めての活動でした。あらためて、この実験は一人では最後まで成し遂げられなかったと振り返ります。一緒にこのプロジェクト運営に携わっていただいたヤコナツメさんと山田さんのお陰で、私自身もプレゼンや人前で発表することへの苦手意識を抱えながらの挑戦することができました!

そして見事なプレゼン発表で、私や運営メンバーや研究員生といった大人達に勇気とパワーを与えてくれたキッズティーチャーの2人には、私たちの研究に自分たちを託してくれたことに、心からありがとうを伝えたいと思います。けーやんさん、みねこさんにとっては不安や迷いを抱えながら、普段の親子間のやりとりとは異なる言動に気を使っていただくなど、子ども達のサポートを徹底することにご協力いただいて本当に感謝しかありません。

このプロジェクトの達成は、関わって下さったみなさんが導いて下さったものです!

今後さらに、このキッズティーチャープロジェクトを通じて子どもの社会課題の解決につながり、子ども達が自信を持って自分らしい未来を迎えられるきっかけになれるようできる範囲で継続していきたいと思います。
いつか子ども達にも自分らしい働き方を見つけて欲しいですね!

研究員制度全体のふりかえり

まずは今回もあたらぼ研究員生として参加の機会をいただき、ありがとうございました。思えばあたらぼ1期生として参加したときにも、私は子どもに関するテーマで自主企画に取り組んだことがありました。その当時の活動が今運営している市民活動団体につながっています。今回の活動も、目に見える形ですぐ結果に結びつくものではありませんが、こうしたコツコツとした地道な努力により、自分や自分の周りの人にも「良いご縁」がつながっていく手助けをすることが、今の私らしい生き方であり働き方だと思います。

収入や安定、やりがいを求めた正社員・契約社員・派遣社員時代から、引っ越しや出産・育児環境のなかやむを得ず選択してきたパートやアルバイトといった働き方を経て、今の自分というものが在ります。このあたらぼ研究員制度への参加は、自分を受け入れられた「自己受容」と自分を認められた「自己肯定感」のきっかけにもなりました。

今後はさらに自分らしく、私らしいワークライフバランスを保ちつつ、キッズティーチャーのような自分の「好き」や「やってみたい」という好奇心のアンテナを忘れずに挑戦し続けていきたいと思います!


▼新しい働き方LAB研究員制度第3期についての私の記事はこちらのマガジンにまとめて掲載しています。