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良ちゃんの頭の中

良ちゃんは言葉を話せません。
なので、今日もスキンシップで良ちゃんと遊びます。横腹をこちょこちょすると、良ちゃんはもうニッコニコです。そしてしばらくすると、そのまま走り出して、2階へいってしまいました。おーい、と読んでも戻ってはこなくて、しばらく経って見に行きますと、絵本の角を前歯にコツコツ当てるという、アバンギャルドな遊びを延々とやっておりました。
大丈夫です。
いつもの良ちゃんですよ。

普段はまあ、こういった感じなのですが、まったく意思の疎通ができないかと言うと、そうではなくって、おやつを食べた後のゴミを「これポイしてきて」と渡すと、ちゃんとゴミ箱にポイしてくれますし、空のコップを持ってきて、喉が渇いたことを伝えたり、冷蔵庫から納豆パックを持ちだしてきて、お腹が空いた、と訴えたりします。
突然、パニックになってしまう時もありますが。

ここで僕が疑問に思っている事は、良ちゃんの頭の中の事です。

果たして良ちゃんは僕たちが思考するように、喉が渇いたな、とか、お腹が空いたな、などを、言葉で考えているのでしょうか。
それとも、言葉という概念はそもそもなくって、感覚だけで、何かを訴えたりしているのでしょうか。

これは以前書いた、大学病院での出来事のnoteですが、https://note.com/lily_howabout/n/n4a5640702be5
こちらでも書いたように、僕はどうにも前者のような気がしてならないのです。
言葉は理解しているけれども、それを自分で発する事ができないのじゃないかなあ、と思っています。
「出力不全」
これが、良ちゃんにはピタッとくる気がします。
伝えられない辛さが爆発するとパニックになるんじゃないのかな、と。

まあ、こればっかりは良ちゃんになってみないと、わからない話ですし、僕が勝手に思っているだけなのですが。
結局、どちらにせよ、僕らができる事は、良ちゃんがわかっていようがいまいが、言葉をかけ続ける事だけなんだなあ、と思います。

アバンギャルドな絵本の使い方に飽きた良ちゃんが二階から降りてきたので、
「どうだい?もう一回パパとこちょこちょするかい?」
と聞くと、良ちゃんは目も合わせずに、今度はタブレットを前歯にコンコンする前衛的な遊びを始めました。
大丈夫です。
いつもの良ちゃんですよ。

多分これ、あれだな。
歯の生え変わりの異物感だな、とパパは思いましたが、本当のところは良ちゃんにしかわかりません。

そしてそれは、僕には別にわからなくていい事なんだろうなと、今は思っています。

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