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産声のないお産、そしてお別れのこと

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出産前処置から産声のないお産、そしてお別れのことまでの回想記です。
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はじめまして

はじめまして

2020.07.19(30週)に原因不明の子宮内胎児死亡で第ニ子となる女児を出産しました。

いのちの経験をして、悲しみの渦に巻き込まれながらも、死産を経験された方のブログからたくさんの勇気をもらいました。

そして、この半年で、いろいろな「ひと」「こと」に出会い、少しずつですが、悲しみとともに今を大切に過ごせるようになりました。

このブログが、誰かの助けになるかもしれないと思い、自分のペースで

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胎動がない

胎動がない

2020.07.13

当時、息子(4歳)の支度と保育園送迎をし、そのまま戻ってきて、バタバタなまま在宅勤務をスタートさせる、そんな毎朝を送ってました。

あと1ヶ月で産休ということもあり、その日は朝から引き継ぎで忙しく、二人目の慣れもあり、お腹の赤ちゃんを気にかけてあげられませんでした。

その日の仕事を終え、息子を迎えにいき、夕飯の支度をしようとした時に、はっ!としました。

「胎動、今日あっ

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ラミナリア

ラミナリア

2020.07.14-15

昨夜の「子宮内胎児死亡」宣告から、一睡もできず、朝を迎えました。
この日から、処置をしなければなりません。

夫は、一番大事な日に休めるようにと出社することにし、息子は実家に預けて、私は産科クリニックへ向かいました。

ある程度は予想してましたが、朝から妊婦さんがたくさん待合室で待っているのが、エントランスから見えました。

「予想どおり…きついな…」

マスクと目深

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入院初日と一冊の本

入院初日と一冊の本

2020.07.15

ラミナリア2回目・3回目の処置をする日、この日から入院です。

処置をする以外は、他に私のスケジュールはありません。することもないし、何かする気力もないので、ベッドに横になり、あの日からあまり寝ることができない頭で、窓から見える曇り空をぼーっと眺め、ただただ悲しみにくれてました。

窓から見える景色は、4年前に息子を産んだときにみた景色と同じ。
あの時は喜びに満ちていたのに

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陣痛誘発剤

陣痛誘発剤

2020.07.16-17

そして、いよいよ陣痛誘発剤の日になりました。予定では、お腹の赤ちゃんに会える日です。

緊急事態宣言は解除されてましたがコロナ禍なので、面会や立ち会いは基本NGとなっていました。ただし、私達夫婦の状況に配慮いただきまして、夫の立ち会いを特別許可していただけました。

夫が来る前に、まずはラミナリアを抜く処置をします。入れるのより、抜く処置のほうが私は痛かったです。悶絶

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転院と医師の言葉

転院と医師の言葉

2020.07.17-19

陣痛誘発剤2日目の午後、急遽、大学病院へ転院が決まり、救急車で搬送ということになりました。

救急車の到着を待つ間、同乗してくださる助産師さんに、不安な気持ちを聞いてもらってました。そしたら、お腹を擦りながら優しい笑顔で、「お腹の赤ちゃんは、ママのお腹が居心地いいんだね〜」って言ってくれて、とても嬉しかったのを憶えてます。

救急車が到着し、大学病院へ向かいました。大

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産声のないお産

産声のないお産

2020.07.19

陣痛誘発剤4日目の午後。

急に発熱してしまい、体中が震えるほど寒気を感じました。電気毛布をかけてもらい、なんとか体を温め耐えていると、抗生剤点滴の時間がやってきました。

抗生剤点滴のおかげで、しばらくして体が震えるほどの寒気は収まりました。しかし、発熱してしまったので、そろそろ私の体が危ないな…と感じてました。

そんな私の祈りがお腹の赤ちゃんに届いたのか、少しずつお腹

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退院とお別れの準備

退院とお別れの準備

2020.07.20

産声のないお産から、翌朝。

この日、退院できるかどうかは、朝の採血の結果次第と言われてました。

毎日、お腹の中にいた娘のことで頭がいっぱいでしたが、同じように毎日、上の子である息子(当時4歳)のことも心配でした。そろそろ帰らなくては…。

そんなことを考えてると、この日は月曜ということで研修医の先生が、朝の回診にやってきました。「体調はどうですかー?うぉぉ!」と私のベッ

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娘がお空へ還った日

娘がお空へ還った日

2020.07.24

お別れの日。息子は実家の両親へ預け、夫婦だけで病院に向かいました。

この日の天気は、晴れ。まだ梅雨明けしてなかった2020年7月下旬。病院へ向かう車の中で、夫と私は「娘は晴れ女だね」とそんな話をしたのを憶えてます。

病院に到着し、病院の端にある救急搬送入り口から霊安室に向かいました。

お部屋にはすでに娘が待ってくれていました。いよいよお別れなんだなと思うと、涙がとめど

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