産声のないお産
2020.07.19
陣痛誘発剤4日目の午後。
急に発熱してしまい、体中が震えるほど寒気を感じました。電気毛布をかけてもらい、なんとか体を温め耐えていると、抗生剤点滴の時間がやってきました。
抗生剤点滴のおかげで、しばらくして体が震えるほどの寒気は収まりました。しかし、発熱してしまったので、そろそろ私の体が危ないな…と感じてました。
そんな私の祈りがお腹の赤ちゃんに届いたのか、少しずつお腹の張りが出てきました。トイレに立った時、歩みを止めるほどの痛みがお腹にやってきました。
私「痛てててて・・・」
点滴器具を支えに、ゆっくりベッドに戻ります。そして、さらに急激に痛みがやってきました。
隣のお部屋でもお産が始まっていて、助産師さんはそちらに入っていたため、ナースコールで呼びました。
私「すみません。トイレから戻りましたが…おそらく陣痛です…すごく痛い…痛い…痛い」
その時、助産師さんが「お産が進みそうだから旦那さんにそろそろ連絡するね!」といったのですが、隣のお部屋のお産もあり、忙しそうで連絡してもらえなそうな気がしたので、「生まれそう。家を出て。」と枕もとのスマホでLINEしました。
痛みの波がまたすぐにやってきます。陣痛の間隔ってこんな短かったっけ?急にこんなになる?と思いながら、痛みに耐えます。しかし、急激な痛みで、額に大量の汗が出てきます。私は、過呼吸気味になってしまいました。
私「手足がしびれてきてますーー」
助「しっかり息を吐こうか。子宮口開いてるね。いっきにお産が進んだねー。」
助産師さんが、他の看護師さんに「○○さん(私の苗字)の旦那さんに、まだ連絡してないよね?」って確認している声が聞こえました。私は心の中で「あっ、やっぱり!苦笑」と思いました。
私「自分で連絡したので大丈夫です。こっちに向ってると思いますー」
助「それならよかった。でも、間に合わなかったらごめんね!」
私「痛いから、先に産みたいです!」
私「そして、再度トイレに行きたい。さっき行ったばかりだけど尿意が…」
助「歩ける?」
私「歩けないです。痛い…痛い…痛い、痛い…痛い…痛い」
助「先生、呼ぶね。」
隣の部屋から医師が駆けつけてくれて、導尿の処置をしようと、私の子宮口をチェックしました。
医「こっちのお産が先!赤ちゃん、降りてきてるー!」
私「トイレ!トイレしたい感じですー!」
医「赤ちゃんが降りてくるのに、膀胱を圧迫してるから、尿意がでてるだけかも」
医「次の痛みで、いきむよー!」
私「うーーー!痛いー痛いー!!!!!」
医「また次の痛みで、いきむよー!」
私「あれ、先生、痛みがやってきません…」
医「痛みこない?赤ちゃん、お尻から降りてきてるね。ちょっとずつ赤ちゃんを出してあげましょうね」
そんな感じのドタバタ感満載のお産で、悲しいお産というよりは、なんだか私らしい、ほんのり笑えるお産でした。陣痛開始からこの間30分ほど。最後はゆっくりと時間をかけて、先生が赤ちゃんを丁寧に出してくだいました。
医「おめでとうー!赤ちゃん生まれましたよ!」
私「生まれたー!生まれてきてくれて、ありがとう。頑張ったね。」
私は、涙と汗でぐちゃぐちゃの笑顔で、赤ちゃんを抱きました。
2020年7月19日(日) 14時34分
私は、第二子となる1317gの女の子を産みました。
産声のないお産。
赤ちゃんのお顔は旦那さん似。色白は私似。
小さな小さな私たちの赤ちゃん、とても可愛い赤ちゃんです。
その後、駆けつけてくれた夫とともに、抱っこして写真をとることができました。手形足形を母子手帳に残すこともできました。
助産師さんが、病院に用意されているピンクと白の不織布を使って、赤ちゃんのベッドとお布団を作って、とても丁寧に棺の中にセットしてくださいました。そして、自分たちで用意したピンクのウサギ柄の産着をきせて、しろくまのぬいぐるみをベッドに一緒に寝かせました。
助産師さんが部屋に入ってくるたびに、「ママに、お洋服きせてもらったの?可愛いね〜」「しろくまさんのぬいぐるみ、いいね〜」って、娘に話しかけてくれるのがとても嬉しかったです。
その日の夜は、母子同室で過ごすことができました。
娘は、きっと私が寂しくないように、もういい加減に出ておいで〜って思えるように、4日間かけて、生まれてきてくれたんだと思います。
とても親孝行の娘。娘にはとうてい敵いません。とてもとても尊い、大切な時間を過ごしました。
私たちを選んでくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
あなたのママになれて、とても幸せです
そして、お別れ…に続きます。
お読みいただき、ありがとうございます。
lily
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