入院初日と一冊の本
2020.07.15
ラミナリア2回目・3回目の処置をする日、この日から入院です。
処置をする以外は、他に私のスケジュールはありません。することもないし、何かする気力もないので、ベッドに横になり、あの日からあまり寝ることができない頭で、窓から見える曇り空をぼーっと眺め、ただただ悲しみにくれてました。
窓から見える景色は、4年前に息子を産んだときにみた景色と同じ。
あの時は喜びに満ちていたのに、
なんで娘の心臓は止まってしまったんだろう。
私の生活がいけなかったんだろうか。
何がいけなかったんだろうか。
しばらくそんなことをぐるぐると考えてましたが、少し気分転換がしたくなり、助産師さんが「もし、気になったら読んでみて」と置いていった1冊の本を読んでみることにしました。
その本は、『誕生死(著者:流産死産新生児死で子をなくした親の会)』。
私はそこで初めて、「誕生死」という言葉に出会いました。
英語では、おなかの中で亡くなったケースを「STILLBORN」と言うそうです。「それでもなお生まれてきた」という深い含みがあるそうです。このことから「誕生死」は、「命」「生」側から光をあてた言葉で言いかえた造語だそうです。
「それでもなお生まれてきた」という肯定的な言葉に、私の心はすごく救われました。この言葉に、赤ちゃんの意思を感じたからです。そして、本の中には、出産前後にわが子を亡くした13名の体験談が綴られていました。
「私だけに起こったことではなかったんだ」
また、その本に綴られている体験談の中に
「人は生まれてくる前に、神様から、今その親のもとに生まれると○歳までしか生きることができないがそれでもよいか聞かれ、それでも生まれたいと赤ちゃんが願うと、新しい命になる。」
という一節が引用されてました。
私のお腹の中で人生を終えるとわかっているのに、それでもなお生まれたいと、私を母親として選んでくれた。それが娘の願いならば、本当はもっと成長を見続けたかったけど、「私を選んでくれて、ありがとう。」そう感じることができました。
悲しみはなくなることはありませんが、「誕生死」の本に、優しく寄り添ってもらえ、少し救われました。
その日の夕方に3回目ラミナリアの処置を終えて、いよいよ明日が出産なんだなと思うと、「きちんと産んであげたい」という想いと、お腹の中が空っぽになってしまう寂しさゆえに「できることならこのままお腹の中にいさせてあげたい」という複雑な思いが交差していました。
続きます。
お読みいただき、ありがとうございます。
lily
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