心からの愛を込めて

こどもにすっかり戻ってしまう私を
幼く我儘な私を 許して下さいね



どうしたって 私は貴方の前では
偽ることができないのです



こんな風に大人ぶった口調な私ですが
本当のところ 少女心は
捨てる気なんて 更々ありません


勘の良い貴方は
とっくに気がついていると思うけれど

春は 芽吹く季節でした



恋する者すべてを
愛しく包む淡紅色でも ありました



始まりの香りを いっぱいに吸い込んで
染まった頬をよせ
ふわりとした風に身を任せた
柔らかな季節



淡い色をのせた植物に見守られて
私達は 共に踊りました

私は あの時
心からの願いをさらけだす
そのことの 真の意味に
気がついたんだと思います

惜しみながら春風を見送り
碧の夏が訪れました



私はむかしから夏が苦手だったんです



息ができない重苦しい空気
不安定でよめない空の機嫌

頭はぼうっとして
取り囲むすべての物事は
気怠くすべてを投げ出したくなります

夏には 夏の良さがあるはずなのに
そういうのも
ぜんぶ
ぜんぶ 嫌になってしまうんです

貴方は
香るシャボン玉の様に 魅惑的であり
また
夜明けに浮かぶ月のように 心地よいひとです

私が孤独感に苛まれていたり
悲しみに暮れていたりするとき
真っ先に駆けつけて
側にいてくれます

日々変わりゆく夕暮れは優しく
道端で見つけた花は 
一日を生きていく道標になる

流れてゆく日常の中にも
信じられる愛の結晶は
そこらじゅうに散りばめられてるのですね

私が暗がりに怯えていると
貴方は 
そのことを思い出してごらん
共に優しいそれらを見届けようよ
と言ってくれる

私はそんな貴方の存在に すっかり救われて
ふたたび心がゆっくりと
灯るのを 感じます

心の機敏さえ愛しく思うことのできる
余白が できるのです
貴方のお陰で

見た目はもうすっかり大人かもしれません
けれど
心の中はいつまでも夢見る少女でいたいんです

そんな私を
やさしく見守ってくれて ありがとう

貴方が私に与えてくれた
あたたかな記憶のベールに包まれて
今日も今日を
生きることができたんです
貴方のお陰です

心からの愛を込めて