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LILUA
2023年5月20日 17:00
妻 煕子の献身的な看護により、光秀は一命を取り留めた。しかし、末枯れた木の葉舞う杪秋――、今度は 煕子が病に倒れ、流浪時代から力強く支えてくれた愛妻は、天に召された……。 悲しみに暮れる間も無く、年明けには丹波攻めを再開。藤孝と其の息子 忠興の協力もあり、丹波亀山城を落とし拠点とする。 時を同じくして、秀吉も播磨と但馬の平定に尽力。姫路城を拠点とし、西国攻めの足掛かりは着々と作られてい
2023年5月15日 17:25
義昭に降伏を勧告するため、信長は『京の復興に』と朝廷へ黄金を贈り、正親町天皇勅命の講和を得る。しかし義昭はたった三ヶ月で講和を破棄し、炎天の盛夏に槇島城で再挙兵――。残念ながら彼は、頼みの綱の信玄が春に病死した事を知らなかった……。 一方信長は、義昭の再挙兵を見越し動いていた。『義昭が再び挙兵した際には瀬田の辺りで道を塞がれるだろう』と予想。大軍で湖上移動する為、佐和山で過去に例を見
2023年5月7日 17:37
―1570年― 将軍 義昭の亡命を手助けしたにも拘わらず、己の緩慢により見限られてしまった越前の朝倉家は、着々と名を揚げる信長に焦っていた。 そして隣国 若狭の属国化を狙い、若狭大名 元明を拉致。傀儡として間接支配を遂げる――。 だが、元明は“将軍の甥”……。幽閉された過去が重なる義昭は、甥の境遇を不憫に思い、又も信長を頼るのだった。 結局、元明救出を引き受けてしまう信長に、家臣 可
2023年5月5日 17:12
上洛戦の労を慰撫する宴が、東寺で催された。丹念に手入れされた庭園を眺むれば、真朱の粧いを凝らす楓が彩り、月の光に照らされた瓢箪池の水鏡には、五重塔が揺れる。そんな美しく心和む雰囲気に皆、赤く染まった頬を緩める中、家臣 勝家だけは不服顔を崩さない。「将軍 義昭様からの『副将軍に任命したい』との申し出を、信長様は何故断られたのですか!」酒の力を借りて詰め寄る勝家を、信長は冷静に諭す。「権
2023年5月4日 17:12
―1568年― 極めて迅速な動きをみせる信長は、動座僅か二ヶ月で、将軍候補 義昭を奉じ上洛戦を開始する――。 岐阜城を出立し関ケ原を越え、湖東、湖南、山科を抜ければ京だ。しかし湖東には、信長の上洛を妨害したい六角氏が陣取る。信長軍は同盟国 三河の家康と、妹 お市が嫁いだ北近江の浅井を援軍に付け、総勢六万の軍勢で攻戦に入った。 出陣前の軍評定で信長は、六角氏が持つ安土の山城の内、本城