文字の書かれたトップス #103
ある日。
困っている人がいたので声をかけた。反応が薄い。
詳しくはいえないが、相当なピンチだったはず。
若者は口数が少ないのかなぁと思ってたら、「中国人」と彼は言った。確かに日本語の語数が少なめな訳だ。
彼は、英語も話せなかった。私は中国語がわからない。
日本語で話すには少し意思疎通が難しそうだ。
そうだ。
私の四次元ポケットiPhone。
LINE翻訳！
前に使ったことがある。
なんて便利な文明なんだろう。
彼は私の入力した文字を理解していた。
それで彼のピンチを助けることができた。
私のパートナーも一緒にいた。
助けようと動く彼の優しさ。
そんなもの目を瞑れば素通りできるのに、私たちはそれができないタチだ。
中国の彼のトップスには、luckと書かれていた。
「だからあなたラッキーだったんだよ！」と、親父ギャグのように彼に言い放ってバイバイした。
私はロゴTシャツの意味を解読するのが好きだ。
ブランドロゴじゃなくて、メッセージ系のものは読んでしまう。
今日ほどピッタリのロゴは見た事はない。
luckと書かれたトップスを着た彼は、luckを掴んだんだ。
よかったね。
お節介焼くつもりもないし、偽善ぶりたい訳じゃなく、自然にそういうことができた事が嬉しい。
もし、私たちのうち一方がそういうマインドじゃなければ、おそらく見過ごすだろうし、手伝おうよーって無理に参加させてもそこに愛はないから、おそらく成果も見込めない。
常々、誰かを助けたい気持ちがある。
優しいと言われるけど、本人はそうじゃないことを1番知ってる。
そして、何かの性格診断テストを受けた時に、私に1番強くあるのは「許す心」らしい。
自分のことはともかく、相手のことは許す事ができる。人を責めることはない。
スペックが人を許すことだったとて、仕事にはならないだろう。
人のピンチに駆けつけたいのは、そういうことなのかなぁと思ったけど、繋がっているような繋がっていないような。
写真のビギーのTシャツ欲しいな。可愛すぎ。
空が綺麗なので、これをループしながら見ている。
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