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言葉にできないもの。

2020年9月6日、夕方、明日見に行く縦糸だよ、という連絡と共に一枚の画像が送られてきた。

それが、数色の青色のかすり染と黒と白が並べられた縦糸たち。この写真を見たとき、声を出して驚くぐらい美しくてめちゃくちゃ感動した。

今回、初めて誰かと共同でモノづくりをしたが、それは足し算ではなくて、掛け算になることを知ったのだ。

お互いの足りないところを補うのではなくて、お互いが持っているもので、相手の持っているものを生かすことなんだと。

私がイメージしたデザインとそれを生地にする力。それぞれが持つ力を掛け合わせて、良いところを引き出しあった関係。

それがとても素晴らしかった。1人では決してできない体験だ。人と作るからこそできるモノの可能性に気づけた。イメージを形にできる力に感動した。

自分でデザインしたものが、自分以外の手によって形作られていくことにまだ実感がないまま、次の日、工場を見学させてもらった。

そこにあったのは、これから生み出されるもの。
2800本もの縦糸を結ぶ姿を見て、ここに行き着くまでの時間、関わっている手を思い、ただただ見惚れていた。

その日、「手が違う」という言葉を教えてもらった。作る人(手)が変わると同じものを同じ過程で作っても、出来上がりが異なるということ。
「作る」というのはそれほど繊細で人の手がかかっているということを目の当たりにしたのだ。

人の手や想いが込められているものに無性に惹かれて美しいと思う感情に理由はいるのかと、考えたりもするけれどそれは愚問だったな。

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