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「無」の魔王「第五話」

「また新たに魔王を作ったのか?」 「大魔王様も何を考えておられるのか、分からなくなってきた……」 「今までどれほどの新人魔王が亡くなって来た知らんのか」  そんな言葉が色んなところに飛び交う。 それはそうである今まで新しく魔王に就任した魔物たちは軒並み死を遂げている。 当然、そんなことが数多く起こっているのであるのだから、新たに魔王に就任した地域の配属なんて誰も望まないだろう。 そんなことが魔物たちの生活圏である魔物領である出来事が起きていた。 「君、今日から新

    • 「無」の魔王「第四話」

      「ハクシュ」  ムイカが珍しくくしゃみをしていたところをラリルが声をかけました。 「あら風邪かしら? 確かに夜中に空を飛んでいたら……」  そんな心配するような声を出すラリルにムイカは否定した。 「いえ、風邪ではないので安心してください」  ムイカの言葉を聞いたラリルは少し安心そうな声を零した。 「そっか、ならよかった」  だがラリルが安心した理由は一般的に心配している人たちとは少し違う考えを持っていた。 (せっかく偶然手に入れた優良物件なんだから、体調不良だ

      • 「無」の魔王「第三話」

         時が戻して、魔王討伐のために森に入り、そこで予想外のトラブルに見舞われて転移門から彼らを召喚したお城まで逃げて来た3人の勇者パーティーだ。 そうムイカを一人あそこに残して。 一条さんと中井さんはムイカがあちら魔王の領地である森に置き去りにされたことに悲しみを露わにしていた。 それだというのにムイカを置き去りにした張本人であるカムイは何故か達成感に浸っているのかのようにずっとニヤニヤが止まっていなかった。 すると遠くから警備中だった一人の兵士こちらに近づきながら声をか

        • 「無」の魔王「第二話」

           そんなことがあり時が流れて、今もむいかは今も魔王の領地であるこの森に残っている。 しかし彼は自身で考えることは出来ない。 例えお腹が空いていても睡魔が襲われようとも彼は自分で行動しようとしない。だが彼は火を焚き、この森から集めた現地調達したものを使い、調理をしている。 今までの彼なら誰かからの命令がなければ一日をボーと過ごしてしまうような彼のこのような行動は不思議な光景だった。 しかし彼がこのような行動をするのはきっと"この世界に来てから"だった。 するとさっきま

        「無」の魔王「第五話」

          「無」の魔王「第一話」

           彼は待ちました。森の中で焚火を眺めつつ見つけた食料を焼いています。 今日まで待ち続けてどれだけ経過したか彼は覚えていません。もうこの夜も何度拝んだすらも忘れている。 いや覚えようとしていないだけなのかもしれない。 そんなことを説明している間にも周囲には食欲を抑えられずによだれが雨の日に屋根から落ちる雨水の雫のよう流している魔獣たちが私を狙う視線を向けています。 ですが最初の頃に比べれば魔獣たちの動きはマシにはなっている。最初の頃は容赦なく襲い掛かっていた。その都度彼

          「無」の魔王「第一話」