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「無」の魔王「第二話」

 そんなことがあり時が流れて、今もむいかは今も魔王の領地であるこの森に残っている。

しかし彼は自身で考えることは出来ない。

例えお腹が空いていても睡魔が襲われようとも彼は自分で行動しようとしない。だが彼は火を焚き、この森から集めた現地調達したものを使い、調理をしている。

今までの彼なら誰かからの命令がなければ一日をボーと過ごしてしまうような彼のこのような行動は不思議な光景だった。

しかし彼がこのような行動をするのはきっと"この世界に来てから"だった。

するとさっきまで焼いていた食料が出来たため彼は焼いた食料をこれまた森で見つけた調味料を使い、味付けをしました。

彼はそれを一口かぶりつき咀嚼音を立てながら飲み込んだ。

当然ながら彼の口から食レポのような言葉は出る訳もなく二口目に行こうとしていた。

すると声が聞こえた。

「あら素敵なお食事会ね。私も混ざってもいいかしら?」

 彼が声の方に視線を向けるとそこには、魔女が被るような三角帽子に身体のラインはっきりと見える服装のした女性が空から声を掛けてきた。

そしてそんな彼女の姿は月と重なって物凄く見た目が分かりやすかった。

彼は先程まで口に運ぼうとしていた料理を再び口に運び、2~3噛みした後飲み込み先程の質問に返事をしました。

「良いですよ。どうぞこちらへ」

 そういうと彼は魔法で石のような物質を椅子の形に形成しました。

それを見た彼女は少し驚いた表情をしたが、ゆっくり形成した椅子の元へ降りた。

「それじゃあお言葉に甘えて座らせてもらうわ」

 その上品のような言葉を述べた彼女はその椅子に腰かけた。

すると彼は右腕を上にあげて魔法の詠唱を始めました。

「アイスクリエイト」

 すると彼の掌から澄んだ光が上に放たれた。

すぐに下へ向き地上に落下し氷を作った。

その行動に驚いて少し身体を丸めていた。

そんな彼女を置いて彼は次の行動をしていた。

「ウィングコントロール」

 その言葉と共に先程作った氷がゴリゴリと削れる音が聞こえた。

その音を聞いた彼女は思わず耳を塞いでしまった。

そしてある程度削った後はその形の変わった氷が宙に浮かしてこちらに運んだ。

先程まで耳を塞いでいた彼女はその運ばれた物を見て思わず質問した。

「ねぇこれって何?」

 彼女の言う"これ"とは氷の中にある謎の物体のことだった。

その質問に理解をした彼はその物体の正体を伝えた。

「ああ、これは叫び貝です」

 その言葉を聞いた彼女は衝撃なことだったのか思いっきり噴き出してしまった。

続けて彼女は驚きな事実を教えてくれた。

「貴方それって食べたら最後、痙攣が止まらず食事が喉を通らずに死に至ると言われている、別名『死の貝』呼ばれてる叫び貝なの!?」

 なぜそう呼ばれているのかというと、一人の学者が自らを犠牲に叫び貝を口にしたのがきっかけだった。

叫び貝の身を口にした学者はまず風味は苦い薬草がさらに凝縮して煮詰めたようで最悪だったそうだ。

さらに味に関しては腐った肉にエグイほどの塩分が襲ってくるほどだった。

それを無理やり飲み込んだ瞬間、一気に喉が渇いてしまう。

だがこれでは終わらなかった。

なんと叫び貝には50種ほどの寄生虫や細菌が生息している。

なので当然のことながら痙攣や発熱、幻覚などの訳20種類ほどの病気を引き起こす。

中でも一番脅威なのは『魔力喰いマジックイーター』という寄生虫は対象が魔力を持っている限り永遠に魔力を貪る恐ろしい寄生虫だ。

大きさは目を凝らして薄っすらとしか見えない。その驚愕してしまうほどにまでの数々に口にした者は死に至ってしまう。

だから叫び貝が『死の貝』と呼ばれる由来だった。

彼は彼女の言葉に「はい」と答えました。その返事を聞いた彼女は頭を抱えました。すると彼女は彼に言葉を掛けました。

「そんな危険物を口にして貴方は何ともないの?」

 彼は彼女の質問に「はい」と答えました。それを聞いた彼女はあることを聞いた。

「じゃあ貴方はこれをどうやって処理したの?」

 その質問に彼はゆっくり語りました。

「まず叫び貝を氷魔法で殺した後に鍋を使い30分程度煮沸消毒してから魔力凝晶を砕いたものを包むようにしてから……」

「ちょっと待って」

 彼の説明中に彼女はどこか引っ掛かるものがあったのか説明を中断させました。

そして引っ掛かていたものついてを聞き始めた。

「煮沸消毒? というのはまあ熱で最近を殺すのだと分かるのだけど、問題は次に言っていたものについてよ。貴方今魔力凝晶マジックストーンって言わなかった?」

 彼女が魔力凝晶について質問したら、彼は「はい」と即答した。そのことを確認が済むと彼女はまた頭を抱えてしまった。

すると彼女は静かに言葉を零してしまった。

「何でここ最上級鉱石の名前が出てくるのよ……」

 そう魔力凝晶とはこの世界における最上級品の鉱石なのだ。

その価値は0.1gであったとしても欲しがる者が世界各地に存在する。

値段としては元の世界で日本全国に百棟近くのタワマン建てられるだろう。

そんな代物の名前が出てきたことで彼女はため息とついてしまった。

「そもそもどうやってそんなものをどうやって見つけるのよ」

 そんな彼女の様子を関係なしに彼は鍋を用意して叫び貝を氷の状態のまま火をつけて温めました。

その後にあることに気づいた彼女は彼に声を掛けました。

「ねぇ、その鍋はどこから出したの?」

 彼は荷物を全て仲間たちの元へ送ったため本来なら持っているはずがない鍋が今ここにあるのは不自然である。

それに気づいた彼女の質問に彼は口を開きました。

「出していません。作り出しました」

 その言葉を聞いた彼女は驚きを通り越して呆れてまたため息をつきました。

そんな彼女を横目に彼は鍋の方に目を向けていました。

すると彼女は先程止めてしまった説明を続けてさせた。

「止めてごめんなさい。さっきの説明の続きをお願い……」

 そういう彼女の姿はどこか疲れたような様子に見える。

彼は鍋を見ながら先程の説明を続けました。

「魔力凝晶を身を包むようにした後は火を通して完成です」

 そして説明を終えると彼はそれ以上喋ることはなかった。

説明を聞いた彼女はまだ気になることがあったのかまた彼に質問した。

「そういえばその魔力凝晶を何処から手に入れるの?」

 魔力凝晶とは最上級品の鉱石なだけあって入手にはとても困難だ。

まず魔力凝晶が生成させるの大地の恵みと共に流れる魔力の流れが循環摩擦によって結晶化するため森や平野、地中などは生き物が行き来するため摩擦が起こることはない。

魔力凝晶が発見しやすい場所は鉱山などが多い。

だがそれでも取れても多くて一年で1g程度だった。

そんな何処にあるのか分からない代物を一体何処から取ってくるのか彼女はそれが気になっていた。

しかし彼は彼女の疑問を打ち壊す一言を発した。

「この下です」

 そう言われて彼女は思わず下を向いた。

だが下には多くの生き物が行き来している。

モグラだろがあるいは昆虫だっているのに魔力凝晶が出来るほどの魔力の流れが発生しているとは思えなかった。

すると彼はまた何かの詠唱を始めた。

「エンチャント・ダイブ」

 そして彼は地面に手を突っ込んだ。

それはまるで水の中に手を突っ込むようにスッと入っていった。

彼女はもう驚きすぎてむしろ何でも出来るのではないかと思い始めていた。

彼女がそう思っていた時、地中から『パキッ』と音がした。

一瞬何の音なのか分からなかったが、それと同時に彼は地面から何かを掴みながら手を外へ出した。

その手に掴んでいたものは夜だというのに我が姿を存分に拝むと良いと言いたそうに輝きを放っていた。

その輝きに彼女は思わず言葉を失っていた。

そして彼女は手を伸ばしてしまった。

しかし彼はそれを両手で覆ってしまった。

その瞬間、両手から閃光弾のような光を辺り一面に発生させた。

彼女は思わず目を瞑りそうなりました。

だがしかしその光は目を奪われてしまい、むしろ眼に収めたくなるほどだった。

その光景はまるで夢に出てくるような輝かしいおとぎ話ようだ。

しかしその輝きも後に薄れていく。

そして視界が現実の世界に戻ってきた。

戻った視界には彼は先程の手に持っていたものを粉々にした後だった。

そして彼女はやっとまともな思考に戻って粉々にした物体について聞いた。

「あ、貴方今のものは一体何なの!?」

 彼女はもはや初対面だったときのクルーさを忘れて好奇心と困惑が混ざった態度になっていた。

彼は変わらず口を動かした。

「魔力凝晶です」

 スッと答える彼の言葉に思わず今更唖然としてしまった彼女は頭を再び抱えることになった。

そうこうしている内に氷は解け、お湯となり沸騰してゆでている叫び貝の身がまるで真珠のように徐々に丸くなっている。


 30分経過後、煮沸消毒が完了しました。

彼は焚火から離して貝殻から身を取り外すためまだお湯が入っている鍋の中に手を突っ込んだ。

それを見た彼女は心配の声をあげた。

「熱くないの!」

 そんな彼女の言葉に彼は素直に「熱いです」と答えた。

彼女も思わず「熱いんかい!」とツッコんでしまった。

そして彼は鍋から身を取り出し、先程粉々にした魔力凝晶が入ったトレーに入れ、揚げ物をする前に衣をつけるように全体に粉々にした魔力凝晶を包みました。

ちなみにトレーも鍋を同じく作りました。

すると粉々にした魔力凝晶の周りに小さな何か周りにうごめいていました。

その光景はまるでうじ虫が食べ物の周りに集まって凄い勢いで食べるときのようだった。

それに耐えられないのか彼女はトレーから視線を逸らしました。

その後彼女は魔力凝晶に食らい付いている何かについて質問しました。

「その魔力凝晶の周りにいる生き物は何?」

 その質問に彼は「魔力喰いです」と変わらない言葉使いで言いました。

彼女は予想していたのか少し勝ち誇っていたような表情をしました。

すると不意にトレーの方を見ると先程まで魔力凝晶に食らいついていた魔力喰いがトレーの底に次々と倒れていることに気づきました。

「何で魔力喰いたちが次々と倒れているの?」

 彼女が吐露した言葉が彼に聞こえたので、説明を始めました。

「魔力凝晶の魔力濃度が高く魔力喰いの許容量を超えたため倒れているんです」

 その説明を聞いた彼女は心の中でこんな考察をしていました。

(確かに粉々にした魔力凝晶は両手で包まれていたのに光が隙間を関係なく辺り一面を照らした。だとしたらアレ一つにどれだけの魔力が込められていたの?)

 なんて考えていると彼は身の中にいた魔力喰いが全て倒れたことを確認すると、その辺に落ちてた枝をウィングコントロールを使って先端を尖らせながらこちらに持ってきた。

そして枝に魔法をかけた。

「クリーン」

 魔法を唱えると枝は不思議な光に包まれた。

数秒後その光は消滅した。

彼女はそれの見てある事を思いました。

「『クリーン』があるならわざわざ煮沸消毒する必要は無いんじゃない?」

 その言葉を聞いた彼の頭から"言葉が流れて"きた。

そして彼はその言葉を彼女に伝えた。

「煮沸消毒することで身の食感が良くなり、叫び貝が持つ余分の塩分を抜くことが出来るため適度な塩加減で味わえます」

 その説明に彼女は彼にお礼を伝えました。

「そうなの? わざわざ説明ありがと……」

 彼女がお礼を言おうとした瞬間、彼は驚きの一言を放ち、彼女は困惑することになる。

「……と加護とお告げを受け取りました」

「……え」

 彼女はその一言に一瞬言葉を失い、頭が混乱していた。

そんな彼女の心境を気に掛けることなく身を串の形になった枝に刺し、焚火に近づけて焼き始めた。

焼かれた身は本来焼き目が付くはずが、実際は時間が経つ度に光沢が浮かび上がり、その姿はまるで本物の真珠のようだった。

すると焼きあがったのか彼は身を刺した枝を焚火から離して彼女の方へ伸ばした。

彼女は出来たのだと思って少し抵抗がありつつもその串を受け取った。

そしてそれを口に運ぼうとした。

しかし口に触れる距離になってピタッと止まった。

(確かに説明を聞いて大丈夫だとなのだと分かったけど、今目の前にあるのは『死の貝』と呼ばれた叫び貝……)

 そんな葛藤が心の中にあるため近づけては離すという行為を2~3回した。

しかしせっかく作ってくれたものを無下に出来ないと思った彼女は勇気を振り絞って叫び貝の身をかぶりついた。

すると彼女は先程までの心配とは裏腹にゆっくり一口身を噛みしめていた。

そして飲み込んだ後数秒顔を上げた後その場に硬直してしまった。

すると彼女はゆっくり食レポを始めた。

「なにこれ……口に含んだ瞬間あっさりとした魚介系スープのような風味が鼻を通過してしまうほどには伝わってくる。さらに身を噛むを丁度良い塩加減と真珠のような見た目とは裏腹に霜降り肉をように消えてしまうほどの柔らかい。さらに喉を通ると身体全体がまるで期待の新人が訪れたかのように喜びに満ち溢れている……」

 すると彼はあるものを出して彼女に声をかけました。

「よろしければこちらをお使いになりますか?」

 そういう彼の持つものを見ると何かの果実を絞った汁のようなものがカップに入っていた。

その中身は薄っすらとした黄緑色だった。

それを見て彼女はその中身が分かったのか彼に質問した。

「もしかしてこれってレモン?」

 それを聞くと彼は「はい」と答えました。

すると答えが当たっていて嬉しかったのか彼女は即座に「使う!」と言いました。

彼は彼女からの命令を聞くとすぐに身全体にレモンの絞り汁をかけました。

彼が中身全てかけ終わるとすぐに彼女は残りを一口で平らげてしまった。

そして彼女はレモンをかけたことによってあまりの美味しさに思わずに椅子から飛び上がってしまった。

彼女は再び食レポを始めた。

「叫び貝の塩分とレモンの酸味が絶妙にマッチしてさらに旨味を増幅している! 最高ー!」

 その喜びの声は静かだった森に妖精の声のように響いた。


「ふうー満足満足……」

 彼女はあの時の叫び貝の串焼きが美味しかったのか椅子に横たわり、喜びが口から漏れていた。

その間彼は焚火の方に視線を向けていました。

すると彼女はあることを思い出した。

なので彼にそれについて聞いてみた。

「そういえば貴方私が調理方法について聞いたとき、貴方確か『加護とお告げを受け取った』って言ってたけどそれってどういうことなの?」

 彼はその質問に今までと変わらないしゃべり方で説明しました。

しかしその内容はあまりにも驚きのものだったのです。

「その発言した理由は私には色んな神の加護と祝福が与えられているからです。その時の発言は『料理の神』と『健康の神』と『処理の神』と『貝の神』と……」

「ちょっと待って」

 彼女も流石の神の名前の数々に収集が出来なくなったため説明を中断させた。

彼もその命令を聞いて「分かりました」と答えました。

まず彼女は先に整理しておきたい情報について質問しました。

「まず何故貴方にそんなにも神の加護や祝福が与えられているの?」

 その質問に彼は先程と同じテンションで答えました。

「神の方々は私に『暇つぶしになる』と言っていました」

 その回答に彼女は心の中で『神様は自由過ぎるだろ』と思っていました。

しかし彼女はこれはチャンスだと思っていました。

(でもこんなにも優良物件がこんなところに置いてけぼりになっているなら好都合ね!)

 すると彼女は彼に魔王を討伐に向かおうとしていた人間に対してとんでもない思いついていた。

彼女は彼について確認したいことを聞いてみた。

「貴方は今一人よね?」

 彼は即座に「はい」と答えました。

返事を聞くと彼女は続けて質問をした。

「じゃあ今は仲間を待っているの?」

 すると彼は先程をは違い「いいえ」と否定の返事をしました。

それを知ると彼女は徐々にここに来る前の調子に戻っていた。

「そう……仲間を待っていないのね。だとすれば相当お仲間さんたちは非情なのね」

 彼女は彼の前に立ち、今ようやく自己紹介を始めた。

「自己紹介が遅れたわね。私はラリル・スカーレット・ピレック。貴方は知っているかもしれないけれど私は貴方たちは討伐しようとしている魔王『紅蓮の魔王クリムゾンクイーン』よ!」

 なんと先程まで食事を楽しんでいた相手はなんと勇者でかむいと共に討ち取ろうとしていた魔王本人だった。

本来ならこの状況に陥ったら間違いなく戦闘態勢になるだろう。

だが彼は無表情で立ち上がることなく時が止まったように動じていなかった。すると彼は口を開いた。

「こちらも自己紹介がまだでした。初めまして自分は上家むいかと言います。ニックネームは『ポンコツ』や『出来損ない』など言われていました。今後ともお付き合いいただけると有難いです」

 まさかの彼も自己紹介をしたのだ。それを聞いた彼女は理解しつつも苦言を呈した。

「まあ貴方ならそう言うって思ってたけど、なんか調子が狂うわ。あとニックネームについてはただの悪口よ」

 彼女は少し流れとは違いがあったとしてすぐに切り替えた。

そしてついに彼に魔王を討伐を目的とした者にはとんでもない提案をしてきた。

「なら貴方に紅蓮の魔王である私が命ずる、私に忠誠を誓い、私の手足となり、私に貢献しなさい!」

 そう倒そうしている魔王からまさかの部下になれと言われたのだ。

普通ならそんな提案なんて断ってすぐに刃を向けるだろう。

しかし彼の口から出た言葉は魔王を討とうとする人間からは想像も出来ないものだった。

「分かりました。不束者ですが、ラリルさんのお役に立てるように頑張りたいと思います。これからよろしくお願いします」

 まさかのその提案に了承したのだ。

もしこれが誰かが聞いていたのであればその場で仲間たちから罵詈雑言が飛び交いあったり、引き止めたりするだろう。

しかしここには提案と持ちかけた彼女とそれを了承した彼しかいないため、彼の行動を止める人がいないことでこの提案は確実に成立することになる。

だが彼女は理解しつつも何処か気になる部分があるのか彼に質問した。

「貴方は抵抗とか、迷いはないの?」

 それついて彼は「ないです」と何とも思いませんよと言ったように答えた。

彼の返事を聞いて彼女は思わず歯切れの悪い「そう……」と言葉が零れてしまった。

すると彼が続けて言葉を付け加えました。

「私がどちらに味方をしようが、私を必要としてくれる方がいるのではあればその方の味方になります」

 そんな予想外の言葉を聞いた彼女は驚きつつも少し嬉しさが顔で出てしまいました。

それに続いて彼女「ありがとう……」と言葉が発しようとした瞬間、その空気を崩す一言を放ってしまった。

「……と『従者の神』のお告げを受け取りました」

 その言葉に先程まで嬉しさを隠せていなかった彼女も流石に脱力してしまった。しかしこれが彼なのだと思うこと彼女は納得することにした。

「まあだとしてもこの提案は成立したということでこれからもよろしく」

 それと同時に右手を彼の方に向けた。

彼はその意図を理解すると同じく右手を出し、握手をした。

「はい。私からもお願いします」

 そう言葉を交わすと彼らは握手をした手を離した。

すると彼女はある魔法を唱えた。

「『フライ』」

 その魔法の詠唱が終わると彼女は宙に浮かび空に上がった。

そして彼の方を向きついて来るように呼びかけた。

「ほら、ついて来なさい。私の街まで案内するわよ」

 その言葉を聞いた彼は「はい」と返事をして彼女と同じ魔法と唱えて空へ飛んだ。

そして彼女の所有する街まで行きました。

だが彼らは知らなかった。

この行動が後の長きに渡る魔物と人間の戦いの歴史を大きく揺るがす出来事のトリガーになることに……


初めての方はこちら
第一話:https://note.com/like_ibis5119/n/n86da0cbcda3e

続きはこちら
第三話:https://note.com/like_ibis5119/n/nd476f7374d7d

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