#5 あらやだ泣いちゃった/及川恵子
ライブに行きたい(切実)**
こんばんは。
暑さが和らいできましたね。
夏生まれの私は、この時期が1年の中で一番切ない。
暑さが落ち着くたびに、「ああ、私の季節が終わる」と思います。
なんせ、かつて占いで“太陽を3つ持っている”と言われたことのある女なので。
さて、先週末YouTubeで放送されていたフジロックの配信はご覧になりましたか?
私は配信されていた3日間、PCの前から離れることができませんでした。
私が世界一愛するバンド・toeはもちろん、YMOやJAMES BLAKE、Superorganism、Cocco、SIA、サンボマスター、The Chemical Brothers、Radiohead、エレファントカシマシ、Red Hot Chili Peppers、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT、BLANKEY JET CITY、平沢進、eastern youth、Ed Sheeran、井上陽水、椎名林檎、toconoma、忌野清志郎、CHVRCHES、Oasis、Beastie Boys……
ああ、もうキリがありません。
たくさんのアーティストの配信を観ました。
「世の中にはこんなに素晴らしい音楽があるのか!」と、改めて、本当に改めて実感した3日間でした。
電気グルーブはやっぱり私に“不可欠”だな、と思ったり、
エゴラッピンのあのリズム感をまた早くライブで味わいたいと思ったり(先日チケットの払い戻しをしたばかりなのです)、
Coldplayが鳴らすメロディの美しさに改めて圧倒されたり、
MISIAののびやかな歌声に吸い込まれそうになったりして、
なんだかこんな言葉を言っちゃうのはこっぱずかしいけど、「音楽の力」をひしひしと、まざまざと、じりじりと、感じたのでした。
私ね、コロナが世界中に広がってきたこの半年くらい、外に出ないことなんて全然平気だ、って思ってたんです。
「外に出ない分、自分の時間が持てるじゃん」って。
「こんな時代だしライブも行けないのもしゃーないしゃーない。まあチケット代戻ってくるし、その分他のことに使っちゃおー」みたいな。
ただ、今回配信されていたサカナクションのライブを観て思ったんです。
それはそれはひたすらに。心から思ったんです。
「あああああああ!!!!ライブに行きたいなあああ!!!!!」
って!!!
そう思って、泣きました。
夜ご飯に作った、「鮭のバター焼き」を食べながら。
母親の横で、静かに泣きました。
ちなみに配信されたのは「夜の踊り子」。素晴らしい曲です。
途中(Bメロって言うの?)、太くて大きくて膨らみを持ったベースの一音一音が積み重なっていって、溜まりに溜まってサビに向かってわーっと広がっていくメロディが本当に大好きな曲です(伝われ)。
ライブだと、相当インパクトがある曲だろうな。
音にこだわり続ける彼らのライブならなおさら。
でも、
こんなに素晴らしいライブに、手が届かないなんて。
こんなに素晴らしい音楽を、体感できない状態が続いているなんて。これからも続くだなんて。
そんな状況が、悔しくて、もどかしくて、泣きました。
「ライブなんてできなくてもしゃーない」
そう思っていたクソバカな自分の奥の奥のさらに奥の方から、「そんな訳ねーだろ!」と怒った自分がむくむくと起きて、助走を付けて殴りに来たような。
シティハンターで香さんが100tのハンマーを持って冴羽獠を追いかけるみたいな。
そんな気持ちにもなりました。
※ちなみに先日、ボーカルの山口さんがミュージシャンにおけるサブスクの現状についてこんな話をしていましたね。こんな素晴らしい才能を持った方々の環境はもっともっとよいものになるべきなのに。
今は仕方ないとはいえ、こうした配信が“新しいライブの形”になってしまうんですかね?
「動画でいいじゃん」「配信があるじゃん」になっていくんですかね?
絶対に嫌なんだが。
ライブに足を運んで、待って、楽しんで、踊って、歌って、足が疲れて、腕が疲れて、耳の中がこもった感じになって、飲み切ったビールのカップを片付けて、あー楽しかったね、って言って、帰る。
そして、泥のように眠る。
そんな日は、いつになったら戻ってくるのでしょう。
待ち続ければいいのでしょうか。
待ち続けていれば、いつかまたそんな楽しみを味わえる日が来るのでしょうか。
そんな、途方もない気持ちになってはまた泣けてきます。
そういえば、「カメラを止めるな!リモート大作戦」を観た時も、私は泣いたのでした。
日常的に映画館に足を運んでいた日々が恋しくなっちゃって。
エンターテインメントの作り手たちの熱量を、適切な環境で、有り余るほどに感じたい。
そうした“これまでの当たり前”を夢見ることは、今やもう、手の届かないところにあるのでしょうか。
切ないね。
あ、忘れていた。
フジロック関連の涙でもうひとつ。
曲に合わせて手を振るお客さんを見て、思わず涙してしまうtoconomaのギター・石橋さん。
いい涙ですよね。(悪い涙ってあるのかしら)
思わずもらい泣きしてしまいました。
そして、いい曲ですよね。
音楽に泣いて、泣かされた週末は、
音楽が好きなんだなあと痛感した週末でした。
1日も早くライブに行ける日が来ることを願って。
及川恵子