#2 忘れ物を振り返って/及川恵子
「私は今を生きたいなあ」
くろさわさん、泖さん。こんばんは。
梅雨が明けましたね。
夏ですよ? どうですか?
そうそう、実は今日は私の誕生日なんですよ。
38歳。だいぶ大人になりました。
昔から38歳ってなんとなく憧れの年齢だったんです。
この1年、有意義に過ごしたいものです。
さてさて、今回のテーマは「忘れ物を振り返って」、ですね。
「忘れ物」はそんなに多い方ではないのですが、考えてみれば私の人生、何かを“し忘れる”ことだらけだなあと思いました。
買い忘れた、言い忘れた、やり忘れた、書き忘れた、確かめ忘れた、置き忘れた…。
そうして、「なんだよちくしょう!」という思いと、後悔の気持ちを慰めながら、ここまで生き長らえているような気がしています。
そして、「忘れ物を振り返って」というテーマを聞いた時に一番最初に思いついたのが、高校生の時の思い出です。
修学旅行先の京都で見つけたCAMPERの靴を“書い忘れた”ことを、38歳になった今も未だに後悔しているのです。
いや、どう考えてもおかしいんですよ。
修学旅行で京都に行って、八ツ橋を買わずに靴買う高校生います?
しかも高校生にとっては結構なお値段。そりゃ買うのを諦めますよ。
そんなのより、「よーじや」のあぶらとり紙を買うでしょうよ。
(ちなみにロック大好き女子高生だった私は、自由行動で京都にある老舗ライブハウス「磔磔」を見に行きました)
アシンメトリーになったデザインが美しい靴だったんです。
ブルーグレーのスウェードが印象的で、シルエットも綺麗で。
ああ、また会いたいよ。あの時の靴に…。
で、
「カンペール アシンメトリー デザイン」というワードでGoogle検索してみました。
どうやら「Twins」というシリーズらしい。
ちなみに↑これが、現在CAMPERのサイトで購入できる「Twins」シリーズ
「あ!そうそう、こんなデザインだった!」と思ったのも束の間、38歳の私には、なぜだかまったく響かないことに気づいたのです。
どうしてどうして…。
あんなに恋焦がれていたはずだったのに。
年を重ねたからなのか。
好みが変化したからなのか。
と、ここで思いました。
これって、忘れてしまってもいいことだったのかもしれないなって。
他にも思い当たるんですよ。
急に自分の恋愛事情を話しちゃいますけどね、私、昔大好きだった人がいたんですけど、振られまして。
そこからなんだか、人を好きになるってなんだったっけ、と。
「好きになり方を忘れてしまった」のです。
「うるせー!」って感じじゃないですか?
そんなことを悲観してるくらいなら、そんな思いを手放してしまえばいいのに。
さっさと先に行けばいいのに。
でも、なんか忘れられないものって、光って見えるんだよな…。
そこがまた切ないところ…。
でも、私は先に行くぞ、と。
20年前にときめいた靴よりもっとかっこいい靴を探したいし、
大好きだった人よりももっと大好きになれる人を見つけたい。
昔を超えて超えて超えて先に行くぞ、と、
今、静かに、しっかりと思うのでした。
忘れ物を振り返ったら、今が大事に思えてきた、というお話でした。
なんだかセンチメンタルになっちゃって、
うまく消化できなくって、
こんがらがっちゃってごめんね!
でも、私は今と未来に生きていくからね!
頑張るわ!
及川恵子