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小説好きによる夜の戯言

※なぜだか若干ポエミーです🙃


ある人の書く小説が好きだった。
ある人が描く世界が好きだった。
ある人が言葉を紡ぐ "音" が、私は大好きだった。

小説を書くその人は、
「自分は才能が無いから
    書くことを仕事にはできない。
    だけど、誰かに届くといいなー。」
なんて照れ笑いしながら言ってたね。

すぐそばで
愛読してる人がいることなんて知りもせず。

そして君は、
小説を投稿するサイトへ届いたお便りに、
何度も何度も目を通して、微笑むんだ。

脳内の言葉たちを
キーボードで叩いて形にしていく "音" から、
上手く書けないって頭を掻きむしる姿、
そんな想いがぎゅっと詰まった小説を、
のめり込む様に読んで、現実世界に戻ってくると、
投稿した物語に届くお便りで綻ぶ表情を見る。

そこまでの一連の流れが、
私にとって "ある人" の作品に触れることだった。

あの音はもう聞けないし、
その人はもう書かないと言っていた。

それでも私はあの世界が好きで、
続きは、次は、どんな世界が広がるんだろう。
そう考えるだけで、ワクワクが止まらなかった。

1番そばに居た、私だけの特権。

離れると同時に、その特権は無くなったけど、
作品に触れればいつでもあの世界へ入り込める。

書かなくなったから消えてしまった音。
誰にも言わない、秘密の幸せ。

またあの音が聞きたい。



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