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私の本棚~司法試験編~刑法

2023年9月17日更新


第1 はじめに

 私が受験時代に使用していた本や読んだ本,現在指導に際して確認するために使用している本をまとめていこうと思います。利用方法なども一言二言で書いていきますので参考にしてください。また,同じ名称の本も多いので,通称なども使用していきます。

 なお,すべてを私が購入し通読していたわけではなく,図書館で参照していたものも結構記載しております。

 特にこれはというものは別途書評にします。

 なお,引用しているものは最新版をに統一している予定です。当時使用していた版とは異なります。

第2 刑法の書籍の外観

 とにかく本が多い。総論各論で分かれている体系書的な本から共著の教科書まで幅広い。昔は学者によって考えが違うから一貫した理論を抑えるにはひとりに絞って~みたいな言説があったが、現状の試験では判例の理解が最大の目標なのでどれでもいいと思う。学説の理解が問われる科目ではあるが、主要な学説は多くの教科書に記述があり差異があるとは思えないし、その際まで抑えるのは明らかに試験対策を超えている。

 また、判例集や問題集も多いので、判例や問題を通じて事案にたくさんあたり、処理方法を確立することがよい。

第3 書籍紹介

1 基本書・教科書

①『刑法(第3版)』有斐閣 山口厚著 ★

 1冊でまとまっているのでわかりやすい。私が受験のころはよく使われていた。たしか、西口先生の基本書クラスとかで使用していた記憶があります。実際よくまとまっているが若干通説的ではない箇所もあり。。。まぁまとめとしてはよいですが、いまとなっては版が古いのでお勧めできないかあぁ。

②『基本刑法1ー総論(第3版)』『基本刑法2ー各論(第3版)』日本評論社 大塚裕史ほか著 ★★★

  最近定番の大塚先生他による教科書。事例問題をベースにしつつ解説しているものではあるが,全般的に量が多い。もっとも,これくらいはやってほしいという思いもある。判例の引用などがやや短い感じもするのでやはり判例集は必須と思うが,オーソドックスな受験生の理解を知るうえで必要なもの。

上記ののLECの講義を聞くと非常によくわかる。私自身はこれを聴くまではあまり本書を使用するのに消極的でしたが,大塚先生の解説を聞いて本の理解が進みました。誰かの解説があれば最高と思う。

③『刑法I---総論NBS 日評ベーシック・シリーズ 』『刑法Ⅱ---総論NBS 日評ベーシック・シリーズ 』日本評論社 亀井他著 ★★★

 最近読んでよかったと思う本。各論は短めの解説でやや物足りない感じもする。総論もコンパクトなことに変わりないが、体系が個人的に好きな構成要件から検討するもの(構成要件⇒未遂⇒共犯⇒違法性…)この体系を意識しておくと刑法の複雑な問題がわかりやすくなるのでよい。

④『刑法総論講義案 (四訂版)』司法協会 ★

 研修所の本。書記官本といわれるもので、判例の立場で説明されておりわかりやすい。学説などもしっかりまとまっているので一冊で十分な本。各論がないのは残念だが。昔は結構この本を使用している人がいたが、現在は少ないと思う。他の本でも判例ベースの教科書が多いことに影響があると思う。

2 体系書

※体系書というか学部やローで一応参照した程度のも。単著で総論各論と別れているものを中心に。

・『刑法総論(第3版)』『刑法各論(第7版)』弘文堂 西田典之著 橋爪補訂 ★★(各論のみ)

 各論が秀逸な本。正直、体系書はほかにも読んでいたが、あまり試験的には役に立たなかった印象がある。しかし、各論は丁寧にまとまっており非常によかった。西田先生亡きあと補訂がなく陳腐化すると思われたが橋爪先生が補訂してくれいているので法改正や最新判例などをベースに復活している。総論も改定後はまだ読んでいないので読みたいが…

 受験記に読んだことあるものだと、佐久間修、大塚寛、前田雅英等もあるが…ここで紹介する必要性がないので割愛。基本書や体系書よりも教科書かなぁと。

3 演習書

①『刑法演習サブノート210問』弘文堂 井田・大塚ほか著 ★★

 短い問題を解きまくる本。正当防衛だけでも5問以上あり論点の網羅性が半端ない。短い問題を書けるか?処理できるか?を丁寧に分析することが刑法の理解に必須なので、この本は特に使える。解説もコンパクトにまとまっておりよい。もちろん自分の教科書やテキストを使用することは前提であるが。この本を利用することで論点をつぶしきれると思う

※この本の解説講義を出してほしい!というか作りたいのだが。。時間が。。

②『刑法事例演習教材(第3版)』有斐閣 井田・佐伯・橋爪・安田著 ★★★

 新司法試験になってからの定番演習書。問題数も52問程度で程よい上に、総合問題ばかりなので本番を意識して演習ができる。この本で扱われている論点は司法試験によく出るしいつ出てもおかしくない。予備試験レベルの問題がまとまっているので、予備試験の方も70分で答案を作ってもよいレベル。もっとも、解説は薄いので、解説講義や答案例があると勉強が捗ると思う。

③『刑法事例演習ーメソッドから学ぶ』有斐閣 十河太朗著 ★★★

 基本刑法の十河先生の本。この本は近時読んだ本の中でも個人的にすごい好きで衝撃を受けた本。学者の本でここまで答案作成にコミットした本があるとは…という感じ。問題の読み方を丁寧に解説し、刑法的な処理の際にどのあたりを意識すべきかが明確に分かる。文体もわかりやすいし、下線などもふんだんに使用されていて読みやすい。即使えるテクニックや知識のまとめがよい。

④『徹底チェック刑法』有斐閣 嶋矢ほか著 ★★★

 ①と同じような使い方ができる本。問題集なので、こちらも解説や答案例が欲しいが、十分読める。コラムもよいので使い勝手はよいと思う。

※これも解説講義が欲しい。

⑤『実践演習刑法―予備試験問題を素材にして』弘文堂 関根徹著 ★★

 予備試験の過去問を使った演習書。学者の本としてはこのシリーズしかいないと思うので読んでほしいとは思う。答案例もついており参考にはなる(現場でかけれるレベルも意識されている)。

⑥『ロースクール演習刑法(第3版)』法学書院 大塚裕史著 ★★★

 受験新報の連載問題をベースにした本。答案作成のポイントなどが書かれており,かつ当時の最新判例をベースにした問題が多く非常に良かった。現在はさすがに古い印象がぬぐえない…と思いきやまさかの令和4年7月に最新版が!これはもうこれでいいでしょう!!という感じ。

※刑法はとにかく演習書が多いので何かしら決めてつぶしておけばよいと思う。

4 判例集

①『刑法判例百選Ⅰ総論(第8版)』『刑法判例百選Ⅱ各論(第8版)』有斐閣 佐伯・橋爪編著

 判例集といえば!という感じ。個人的にはもっと長めに判決文が掲載されている判例集の方が好きではあるが、、なかなかない。調査官解説ベースは特にないので…

②『刑法総論判例インデックス(第2版)』『刑法各論判例インデックス(第2版)』商事法務 井田・城下編

 各論が古かったが、2023年に更新されたので、この本もおすすめ。図表で説明がありその点がわかりやすい。AGのテキストの図表の元ネタはこれって工藤北斗先生が言ってたな~という印象。

5 そのほか

①『司法試験 体系的問題解析 刑法』成文堂 反町義昭著

 刑法の司法試験の問題を論点ごとにわけ、体系的にまとめた本。刑法の学習をしつつ問題演習と過去問つぶしと判例を読むことが一冊でできるのでよい本。平成30年までとやや古くなりつつあるが、まだまだ使える。

②『刑法総論の悩みどころ』『刑法各論の悩みどころ』有斐閣 橋爪隆著

 神の本。法学教室の連載。刑法の難解な論点はこの本をみて理解できる。理解できないならまぁ一度やめておこうと思える。理論的な説明を受験レベルで求めるならこの本で!という感じ。

③『刑法総論の思考方法(第4版)』『刑法各論の思考方法』早稲田経営出版 大塚裕史著

※古い本のためURLなし

 古めではあるが、よい本。もっとも今となってはほかにもよい事例ぶんせき本があるのでよいかぁ。受験時代は結構使用していた。

④『条解刑法(第4版補訂)』弘文堂 前田編

 もう条文解釈とか論点がわからないなら最後にはこれ!これ見て書いてあるかでいいんじゃないかな?条文がすべてです!

⑤『応用刑法Ⅰ‐総論』日本評論社 大塚裕著

 連載の時から読んでいたいが神本。ここの書き方ってどうするんだろう?満たないことは大抵書いてある。一度刑法のインプットやアウトプットをやって苦手意識がある方が買って読むべき一冊。

第4 さいごに

 以上です!刑法は本がたくさんありますが、その中でもよかったものやよさそうなもの特に絞って選別しています!自分が使った本は古すぎたりする…


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