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【書評】民法総合・事例演習教材(第3版)

 今回は定番?となっているこの書籍について。おすすめ度は★(三段階評価で)

 民法には、複数の演習書があるが、本問は従前から高難易度な問題、かつ解説が乏しいものとして、有名であった。

 本書は主に京都大学法科大学院での授業で利用するために用いられてきたものである。そのほかの法科大学院でも利用されてはいるため、多くの解答例が出回っていた。それらを利用して学習する方が多い書籍であった。
 今回、2023年9月の改訂は2009年の改訂以来のものであり、債権法・物権法・親族相続法の大改正など、これまでの民法改正に対応したものである。
 

 とはいえ、問題のつくりや解説の薄さは変更がない。むしろ、クエスチョン部分が削除されているため、誘導が少なくなっているため、扱いにくいといえる。
 したがって、独学で司法試験や予備試験の対策としての利用はおススメできない。この点は、会社法事例演習教材と同じである。
※会社法事例演習教材の方は、基本書と並行してすすめていくことで会社法の各制度が立体的に理解できるのでそういう使う方がおススメ。

 仮に本書を、自分で独学で利用するのであれば、問題を読んで構成するレベルは司法試験・予備試験受験でも、本書を利用するなら必要だろう。

 参考答案や解説があればそれを参照して、自分の構成や答案との差異を確認しつつ、どうしたら改善されるか?司法試験・予備試験で出題されるならどのようになるのか?を考える素材として使えると思う。

 参考文献で上がっている判例や論文は、すべて読む必要はない。ゼミの発表や授業で求められている場合でない限り、司法試験との関係ではすべて読んでいるのではオーバースペックであろう。
 とはいえ、有名判例(司法試験や予備試験にも出るもの)が参考判例となっている点は事実である。そのため、参考判例部分記載の年月日をみて、論点からあの判例かな?百選だとこれかな?テキストのこのあたりにのっているか?くらいは、あたりがついているかを確認するべきだろう。

 また、解説などがあれば良問も多いので活用する価値があると思う。やはり、おすすめの使い方としては、優秀な方と一緒にゼミでつぶす、解説や参考答案を入手して参照しながら進める等であろう。

 私自身の受験の時(2011年~16年前半まで)でさえ、これを使っている方は京都大学系の方が多く、周りではあまり使っている人がいなかった。私自身も、民法ゼミ出身ではあったが、本書は使っていなかった。というか、使わなくても司法試験や予備試験の問題で十分と感じていた。

 2017年以降は、そもそも改正法を視野に入れた書籍もたくさん出てきたのでそれもあってあまり利用されている人が少ない印象だった。

 今回の改定を経てどれくらいの方が使うようになるのか?も経過を見ていきたいなと思う。

以上

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