「弊社で出世したくない」人たち
ついこの前、職場の管理職に唐突に呼び出された。
業務で全く接点のないお偉いさんだったので、急に何だとビクビクしていたら、彼はおもむろに口を開きこう尋ねる。
「今、悩んでることある?」
・・え?
何急に。怖い怖い怖い。
「悩み・・ですか?」
ここは彼の顔を立てて感謝の言葉を振りまきながら、悩みをひねり出してそれっぽいことでもぶつけた方がいいのかとパニックになりながら思考を巡らせていると、どうやらこれは女性の働き方改革の一環らしいことがわかった。
女性社員が職場で理不尽な思いをしていないか、働くことに不安を感じていないかをヒアリングし、職場環境の改善につなげる目的らしい。
それでわざわざ面談をしてくれるなんて、ものすごくありがたいけれど管理職というのは四方八方に気をつかわないといけないから大変だなあなんて感心してしまった。
よくネットでは、あまり日本の働き方改革、特に女性の活躍にあたってうまく行っていないニュアンスの記事を目にする。
ちなみに私個人としてはあまり出世に興味がない。もちろんお金は欲しいし、一度きりの人生をムダにしたくない気持ちがあるから、バリバリ楽しんで働くことは好きだ。
けれど、会社の中で偉くなりたいかと聞かれると首を縦にはふれない不思議。
そのヒアリングの場には、私以外に二人の女性社員が同席していたが、彼女たちも私と全く同じようなことを言っていた。
社会はどうやら女性を活躍させたいらしいし、弊社としてもイメージアップのためにたくさんの女性に管理職へとついてほしいようである。
少しずつ日本社会の空気も変わってきているところ、悲しいかな、意欲が低くて大変申し訳ない気持ちにもなった。
でも実際のところ、この社会の中で偉くなりたい女性はどれくらいいるのだろうか?
調べてみると、ネットには以下2つの記事が転がっていた。
・・いやどっちやねん!ってな感じである。
片方の調査では働く女性の半分は管理職が嫌らしく、もう一方の調査では働く女性の85%は管理職を希望するらしい。
もちろん既婚かどうかが結果に大きく影響しているとは思うけれど、そもそも「バリバリキャリアを積んでいきたい」という女性はそこまで多くもないようだ。
ちなみに出世したくないというのは、女性だけに限った話ではなく、若者全体に言えるよう。
面倒な仕事なのに、給料が少ない。
会社で出世したところで大して稼げないというのは、若い世代が持っている共通認識だ。
だったら本業はそこそこにして、副業で収入源を複数持った方がコスパがいいし、今話題のFIREだって視野に入れられる。
こうなってくると、会社自体が人を惹きつける魅力だったり、その会社にいてやれる仕事がものすごくやりがいの感じられるものでないと「この会社で偉くなって、もっと事業を成長させたい!」なんて思わないんだろうなあと思う。
誰だって人生を無駄にしたくない。
会社で働くことの意味とか、やりがいって何だっけとか、就職する側じゃなくて雇用する側が対外的にアピールできていないと、優秀な若手に見向きもされず、企業として成長ストップのまま緩やかに退廃を待つだけなんだろうな…。
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