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Kadeuの新北欧料理レポート


北欧と言えば、サーモンやニシンくらいしか思い浮かばないほど「美食」からはかけ離れたイメージであるが、近年世界中から新北欧料理として注目を集めている。

新北欧料理とは、自然との調和や地元の重視、食べる人の心を動かす食体験といった精神が根底に流れる料理だ。

大将デンマークに降臨!


デンマークに来て5ヶ月目、
京都の料理屋でアルバイトしていた時の大将がデンマークに来てくれた。

まさか、デンマークで大将と会えるなんて。
今思い出すだけでも顔がほころぶ。嬉しくてカレンダーには、大将デンマークに降臨ウィークって書いてある。

会えるだけでも嬉しいのに、
幸運にも、「Kadeu」というレストランに行くことになった。

Kadeuについて

バルト海に浮かぶデンマークの島、ボーンホルム島に「Kadeu」(フィンランド語で「敬意を表す」という意味)レストランがある。島の食材を生かした料理で、北欧の昔ながらの知恵で旬の縛りから解放され、島の味をクリエイティブに表現する。

ボーンホルム島の肉、魚、果実、野菜、ハーブ、キノコなどの食材の豊富さは信じられないほどに豊かである一方、収穫時期は短く、冬は非常に厳しい。シェフらは、1年のリズムと季節のサイクルに従い、それぞれの収穫期にレストランの棚には、島でとれた材料から作ったピクルスや発酵食品が宝物のように並んでおり、それらの保存食品を使って、シェフは冬でも故郷の多様な味と香りを表現する。

シェフらは、ボーンホルム島とその自然を愛し、自分たちでハーブ、野菜、果物、果実も栽培し、地域の生産者とも密接に協力しながら、育て、収穫し、保存し、提供するというサイクルを大切にしている。

情報密度の濃い食体験


レストランは、ボーンホルム島の一番栄えている町から車で20分ほど畑や野原を走り抜けた場所に位置している。
海の目の前にレストランがあり、周りは林に囲まれていた。
店に入ると、既に他のお客様がいてとても楽しそうに食事をし、スタッフもにっこにこで楽しみながら料理をし、サービスしていた。


二皿目に提供された、「Oyster Salad」が一番印象的だった。

軽くお湯に通したGillardeau oysters(フランスの高級牡蠣で肉厚でクリーミーな食感とナッツのような後味が特徴)、Black currant(カシス)の葉、sea aster(花), oyster leaf(和名はハマベンケイソウ), bronze fennel(ブロンズフェンネル), kale flowers(ケールの花), sorrel(スイバ),rape tops(菜の花) , lemon thyme(レモンタイム), courgette flower(ズッキーニの花)が含まれている。これらの材料は、海やKadeuの庭で採れるもので構成されており、常に変化するそうだ。
さらに、塩漬けの緑カシス、塩漬けのコリアンダーシード、カシスの皮、煮込んだ昆布も含まれている。
ソースは、発酵させたグリーンピースジュースに、ムール貝、ホースラディッシュ、spruce wood (クリスマスツリーの松の種類)オイル、カシスの葉オイルで構成されている。

なんだこれは、むむむ…!と毎回口に運ぶたびに驚き感動した。本当に美味しかった…。
ボーンホルム島をすべて理解できるわけではないけど、その土地と季節を知るきっかけとなるお料理。島を冒険しているみたいですごく楽しかった。


目の前は海



目の前の風景と全く継ぎ目のない料理。

Water kefir(ケフィア水という発酵飲料)やSpruce(クリスマスツリーに使われる針葉樹)、Maule's quinceという花(日本のカリン?)など、料理の説明を聞きながら、聞き慣れない単語に戸惑ってたらスタッフの方が丁寧に教えてくれた。
ケフィア水は爽やかな低アルコールのスパークリングだから、発酵した素材にとても合うからよく使うのだそう。Spruceはハーブと酸味の風味を料理に足す役割になっていて、ボーンホルム島には多くの異なる針葉樹があるから、成長サイクルの様々な段階で収穫しているそうだ。

ちょっとでも私が、ちょっとまってよくわかってない、みたいな顔しているとウインクしながら近くに来てくれて、私の携帯を使って画像を見せてくれたり、実際に使われている葉っぱを持ってきてくれたりした。
なんだか、スタッフとの距離を近く感じて、とても温かい気持ちになった。

まとめ


14品のお料理を4時間かけてゆっくりと味わう素敵な時間。

Kadeuは本気のガストロノミーで攻めながらも、カルチャーとして人が集まり、対話をする場になっているなと感じた。


料理から、その土地、そこでの暮らし方、愉しみ方を学んだ。

大将が、「土に近い料理だよね」って言っていたのがずっと心に響いている。土地のエネルギーと自然とのつながりを感じた食体験。

とても特別な時間だった。

ありがとうございました。


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