見出し画像

夢への向き合い方を、物理学に変えられてしまった【勝手にリレーエッセイ2023冬 #3】

〈まえがき〉

こんにちは。
ギア3(ギアスリー)と申します。
普段は、物理の研究をしています。分野は物性理論です。
キツネが好きなので、このアイコンにしています。


前から気になっていたリレーエッセイに、ついに参加しました。
今回のテーマは『夢のみつけかた、あきらめかた』
ちなみにこのテーマは、僕の次の走者である「勇敢なヘラジカ」さんが考案されたものです。難解ですけど、それゆえにいろんな考察ができるテーマですね。

今回の企画は、リレーエッセイの主催者である「イトーダーキ」さんの、「夢はおそらく、偶然と必然の産物【勝手にリレーエッセイ2023冬 #0】」の記事からスタートしました。

僕がいるグループAの第一走者の「よよ」さんから第二走者の「リト」さんへバトンが渡り、今度は僕がバトンを繋ぐ番です。

バトンにみなさんの想いが託されていますね。しっかり届けるぞ!
期待と不安を胸に、今から走ります。

「イトーダーキ」さん、「よよ」さん、「リト」さんの記事はこちらです。
素晴らしい記事になっているので、ぜひ読んでみてください。




〈本編〉

夢は見つけるものじゃなくて。
数ある選択肢の中から、選び取るものだ。

そこに大きいも小さいもない。
なんだっていいんだよ。

「夢が自分を選ぶんじゃない、自分が夢を選ぶんだ」リトさんの記事より

この文章を読んで、胸がジーンとなった。
なんて素敵な言葉なんだろう。背中をそっと押してくれるような。
感動したのは、自分もリトさんと似たような経験をしたからだろう。

自分も夢は見つけるものではなくて、その場その場で与えらた選択肢から選んでいくというスタンスだ。

理系院生っぽく、物理のことをからめながら、夢について書こうと思う。




夢を諦めては負けだと思っていた



『夢』



昔と今とで、考え方がこれほど大きく変わったものはないかもしれない。

昔の自分は、夢を諦めたら負けだと思っていた
一度見つけた夢は、叶うまで諦めてはならないと。

夢を叶えられない奴は、努力が足りなかった奴だと思っていた。今考えると、かなり痛い奴だった。穴があったら入りたい。


だけど今の自分は、夢は諦めていいし、夢は変わるものだと考えている

そう考えるようになったのは、物理学の影響が大きい。




この世界は思っているより、ずっと複雑


大学で物理学を勉強するまでは、自分はこの世界を単純化しすぎていた。

自分が頑張れば、思い通りの人生を歩める。
そう。自分のコントロールできる範囲を、過大評価していた

上手くいかないのは、努力が足りないからだと安直に考えていた。
あと、才能とかセンス。


だけど、物理学に出会って、その考え方が覆された。


物理学が教えてくれたのは、この世界は思っているよりずっとずっと、ずーーーーっと複雑だということ

物理学を学べば、世界をもっとシンプルに見れるという思惑で、物理学科に入った。

だけど実際はその逆で、身の回りにある一見単純に見えるものですら、人間が簡単に理解できないものであった。

研究で使っている量子力学なんかが、特にそうだ。
他にも、専門ではないが「カオス理論」なんていう分野もある。



〈余談〉
カオス理論の有名な話として、バタフライ効果というものがあります。これは、「非常に小さな出来事が、最終的に予想もしていなかったような大きな出来事につながる」ことを意味する言葉です。

気象学者のエドワード・ローレンツが1972年にアメリカ科学振興協会で行った講演のタイトル「 予測可能性:ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきはテキサスで竜巻を引き起こすか?」に由来しています。

気になった方は、ぜひ調べてみてください



これらのことを勉強していると、この世界は混沌(カオス)に満ちていて、自分がコントロールできることは、かなり少ないのではないかと思うようになった

いわゆる運とか偶然と呼ばれるものに、人生は大きく左右されるのだと感じた。




思い通りにいかないのが当たり前


すると、夢に対する考え方も必然的に変わった。

自分の思い通りにいかないのが普通だから、夢はどんどん変わるだろうと考えるようになった



生きていると、自分が想像もしていなかったことがたくさん起こる。

この文章を読んでいる方も、そのような経験が多いんじゃないかな。



もちろん、良い意味で想像していなかったことも起こる。

たまたま出会った人が、後で大きく自分の人生に影響を与えることもある。

このリレーエッセイに参加していることだって、半年前の自分は全く想像していなかった

たまたまnoteを始めて、たまたま面白い人たちと出会った。

そして、面白そうだからリレーエッセイに参加した。

そう。偶然の連続で、今この文章を書いている。




最後に


思い通りに生きられないことで、

苛立ったり、後悔したり、落ち込んだりする。


自分が間違った道に進んでいるんじゃないかと、不安になる。

正しい道を示していたはずのコンパスの針が、動かなくなる。


でも、迷子になっても大丈夫。

気づけば、また新たな夢が勝手に後ろからついてくる。

もしかしたら、その夢も叶わないかもしれない。


だけど、それでいい。

思い通りにならなくてもいい。


数学や物理の問題と違って、

選んだ道に正解とか間違いとかない。


「選んだ道が正しかった。」

そう思えればいいんだよ。




物理学者になることを諦めて、迷子になっていた当時の自分へ。

これらの言葉を送る。


(1235文字)


引用

https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-20918.html




【勝手にリレーエッセイ2023冬“夢“】

次回は2023年1月29日。

グループA第二走者は…(ここドラムロール入ります)

           勇敢なヘラジカさん!!


〈勇敢なヘラジカさんへ〉
物理の話を持ち出しましたが、科学はあくまで仮説なので、思いっきり無視しちゃって構わないです。僕も物理学者ではなく、ただの学生なので、深い専門的な話はできず理解しにくかったかもしれないです。

勇敢なヘラジカさんの達観した視点、格式高い文章によって生み出される記事が、ものすごく楽しみです!リレーエッセイの原案を考案されたのは、勇敢なヘラジカさんなんですよね。本当に天才です。


〈あとがき〉
一度この「あとがき」を書いてみたかったんですよ(イトーダーキさんが始めた)。また夢が一つ叶いました。今回のリレーエッセイに参加するにあたって、正直、どのような方向性で記事を書くかとても迷いました。

最終的に、物理学者になる夢を諦めた、当時の自分へ向けて書くような結びにしました。いろんなパターンがあったけど、これが自分の中で一番しっくりきたからです。(自分に向けてなら、キザな言葉を書いても大丈夫という保険もかけてます。)

物理学者への道を諦めざるをえなくなったけど、その過程で知った物理学によって、自分は助けられました。あの時の自分と同じように夢を失って落ち込んでいる方に、届けば嬉しいです。人生には、良い意味でも悪い意味でも想定外のことがたくさん起こります。その都度、また新たな夢が見つかっていくのだと思います。

イトーダーキさんへ。この企画を進めるために奔走してくださり、本当にありがとうございます。参加してみて、すごく楽しかったです!

「あとがき」初めて書いたので、長くなりすぎました。すみません。

【同じ第三走者の方】

みなさんそれぞれ全然違う人生をたどっておられるので、それぞれの視点で描かれる夢の話がすごく楽しみです。

これがリレーエッセイの醍醐味ですね。

お二人が所属されているグループの記事も、ぜひ読んでみてください!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?