![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/96193276/rectangle_large_type_2_f6a47f24d2cc178b5dbd82acd002e377.png?width=800)
夢への向き合い方を、物理学に変えられてしまった【勝手にリレーエッセイ2023冬 #3】
〈まえがき〉
こんにちは。
ギア3(ギアスリー)と申します。
普段は、物理の研究をしています。分野は物性理論です。
キツネが好きなので、このアイコンにしています。
前から気になっていたリレーエッセイに、ついに参加しました。
今回のテーマは『夢のみつけかた、あきらめかた』
ちなみにこのテーマは、僕の次の走者である「勇敢なヘラジカ」さんが考案されたものです。難解ですけど、それゆえにいろんな考察ができるテーマですね。
今回の企画は、リレーエッセイの主催者である「イトーダーキ」さんの、「夢はおそらく、偶然と必然の産物【勝手にリレーエッセイ2023冬 #0】」の記事からスタートしました。
僕がいるグループAの第一走者の「よよ」さんから第二走者の「リト」さんへバトンが渡り、今度は僕がバトンを繋ぐ番です。
バトンにみなさんの想いが託されていますね。しっかり届けるぞ!
期待と不安を胸に、今から走ります。
「イトーダーキ」さん、「よよ」さん、「リト」さんの記事はこちらです。
素晴らしい記事になっているので、ぜひ読んでみてください。
〈本編〉
夢は見つけるものじゃなくて。
数ある選択肢の中から、選び取るものだ。
そこに大きいも小さいもない。
なんだっていいんだよ。
この文章を読んで、胸がジーンとなった。
なんて素敵な言葉なんだろう。背中をそっと押してくれるような。
感動したのは、自分もリトさんと似たような経験をしたからだろう。
自分も夢は見つけるものではなくて、その場その場で与えらた選択肢から選んでいくというスタンスだ。
理系院生っぽく、物理のことを絡めながら、夢について書こうと思う。
夢を諦めては負けだと思っていた
『夢』
昔と今とで、考え方がこれほど大きく変わったものはないかもしれない。
昔の自分は、夢を諦めたら負けだと思っていた。
一度見つけた夢は、叶うまで諦めてはならないと。
夢を叶えられない奴は、努力が足りなかった奴だと思っていた。今考えると、かなり痛い奴だった。穴があったら入りたい。
だけど今の自分は、夢は諦めていいし、夢は変わるものだと考えている。
そう考えるようになったのは、物理学の影響が大きい。
この世界は思っているより、ずっと複雑
大学で物理学を勉強するまでは、自分はこの世界を単純化しすぎていた。
自分が頑張れば、思い通りの人生を歩める。
そう。自分のコントロールできる範囲を、過大評価していた。
上手くいかないのは、努力が足りないからだと安直に考えていた。
あと、才能とかセンス。
だけど、物理学に出会って、その考え方が覆された。
物理学が教えてくれたのは、この世界は思っているよりずっとずっと、ずーーーーっと複雑だということ。
物理学を学べば、世界をもっとシンプルに見れるという思惑で、物理学科に入った。
だけど実際はその逆で、身の回りにある一見単純に見えるものですら、人間が簡単に理解できないものであった。
研究で使っている量子力学なんかが、特にそうだ。
他にも、専門ではないが「カオス理論」なんていう分野もある。
〈余談〉
カオス理論の有名な話として、バタフライ効果というものがあります。これは、「非常に小さな出来事が、最終的に予想もしていなかったような大きな出来事につながる」ことを意味する言葉です。
気象学者のエドワード・ローレンツが1972年にアメリカ科学振興協会で行った講演のタイトル「 予測可能性:ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきはテキサスで竜巻を引き起こすか?」に由来しています。
これらのことを勉強していると、この世界は混沌(カオス)に満ちていて、自分がコントロールできることは、かなり少ないのではないかと思うようになった。
いわゆる運とか偶然と呼ばれるものに、人生は大きく左右されるのだと感じた。
思い通りにいかないのが当たり前
すると、夢に対する考え方も必然的に変わった。
自分の思い通りにいかないのが普通だから、夢はどんどん変わるだろうと考えるようになった。
生きていると、自分が想像もしていなかったことがたくさん起こる。
この文章を読んでいる方も、そのような経験が多いんじゃないかな。
もちろん、良い意味で想像していなかったことも起こる。
たまたま出会った人が、後で大きく自分の人生に影響を与えることもある。
このリレーエッセイに参加していることだって、半年前の自分は全く想像していなかった。
たまたまnoteを始めて、たまたま面白い人たちと出会った。
そして、面白そうだからリレーエッセイに参加した。
そう。偶然の連続で、今この文章を書いている。
最後に
思い通りに生きられないことで、
苛立ったり、後悔したり、落ち込んだりする。
自分が間違った道に進んでいるんじゃないかと、不安になる。
正しい道を示していたはずのコンパスの針が、動かなくなる。
でも、迷子になっても大丈夫。
気づけば、また新たな夢が勝手に後ろからついてくる。
もしかしたら、その夢も叶わないかもしれない。
だけど、それでいい。
思い通りにならなくてもいい。
数学や物理の問題と違って、
選んだ道に正解とか間違いとかない。
「選んだ道が正しかった。」
そう思えればいいんだよ。
物理学者になることを諦めて、迷子になっていた当時の自分へ。
これらの言葉を送る。
(1235文字)
引用
https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-20918.html
【勝手にリレーエッセイ2023冬“夢“】
次回は2023年1月29日。
グループA第二走者は…(ここドラムロール入ります)
勇敢なヘラジカさん!!
〈勇敢なヘラジカさんへ〉
物理の話を持ち出しましたが、科学はあくまで仮説なので、思いっきり無視しちゃって構わないです。僕も物理学者ではなく、ただの学生なので、深い専門的な話はできず理解しにくかったかもしれないです。
勇敢なヘラジカさんの達観した視点、格式高い文章によって生み出される記事が、ものすごく楽しみです!リレーエッセイの原案を考案されたのは、勇敢なヘラジカさんなんですよね。本当に天才です。
〈あとがき〉
一度この「あとがき」を書いてみたかったんですよ(イトーダーキさんが始めた)。また夢が一つ叶いました。今回のリレーエッセイに参加するにあたって、正直、どのような方向性で記事を書くかとても迷いました。
最終的に、物理学者になる夢を諦めた、当時の自分へ向けて書くような結びにしました。いろんなパターンがあったけど、これが自分の中で一番しっくりきたからです。(自分に向けてなら、キザな言葉を書いても大丈夫という保険もかけてます。)
物理学者への道を諦めざるをえなくなったけど、その過程で知った物理学によって、自分は助けられました。あの時の自分と同じように夢を失って落ち込んでいる方に、届けば嬉しいです。人生には、良い意味でも悪い意味でも想定外のことがたくさん起こります。その都度、また新たな夢が見つかっていくのだと思います。
イトーダーキさんへ。この企画を進めるために奔走してくださり、本当にありがとうございます。参加してみて、すごく楽しかったです!
【同じ第三走者の方】
みなさんそれぞれ全然違う人生をたどっておられるので、それぞれの視点で描かれる夢の話がすごく楽しみです。
これがリレーエッセイの醍醐味ですね。
お二人が所属されているグループの記事も、ぜひ読んでみてください!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?