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健全な心でSNSを続けたいので、「いいね応答理論」を考えてみた

素晴らしい時代がきた。誰もがSNSで、自由に発信できるようになったのだ。

現代は、一億総クリエイター時代と呼ばれているらしい。

自分の創作物を、手軽に日本中、いや世界中に発表できる。

一部の限られた人しか作品を発表できなかった昔に比べると、何かを表現したい人にとっては恵まれすぎた時代にいる。

自分が作ったものが誰かに届き、その人に何か良い影響を与えられることは、とても嬉しいし、素晴らしいことだ




だけど、問題もある。

それは、周りからの反応が気になるということだ。

SNSは、投稿に対して「いいね」がつくものがほとんどで、このシステムのせいで周りからの反応が気になってしまうのだ。


僕自身、使っているのは主にLINE、note、Twitterだ。InstagramとTikTokはアカウントは一応作ったが、ほとんど使っていない。

発信活動の目的として使っているのは、noteだけ。

僕はこのnoteで、自分の頭にあるものを記事として、自由に投稿している。これまで勉強して身につけた知識とか、実生活で気づいたこととかをアウトプットしている。




アウトプットすること自体は、自分の考えが洗練されるので、とても良いことだと思う。しかし、周りの反応が気になってしまうのが、悩みになっていた時期もあった。


「こんなこと書いちゃったけど、共感してくれるかな」


とか


「頑張って書いたんだけど、この記事を良いと思ってくれるかな」


とかそういった、周りからの評価を気にすることもよくあった。

スキマ時間に、ついつい通知を確認しちゃったり。研究をしている最中に、自分の記事に対する周りの反応が気になって集中できなかったり。

noteを始める前と比べて、心の平穏がなくなっていたことに気づいたのだ。

落ち着いたゆったりとしていた時間が、少なくなっている感覚だった。ちょくちょくスマホを見てしまって、時間が細切れになっているみたいな感覚。




「どう対処しよう」

自分の頭の中にある思考の道具箱を探る。

「自分が物性理論の研究をしていく中で、何か参考になる理論なかったっけ?」

色々探っていく中で、良さそうなものを思い出した。



線形応答理論だ。



「何やねん、それ」

そう思われただろう。名前は難しいそうだけど、簡単に言ってしまえば、外部からの刺激に対する反応を調べる理論だ。

研究でバンバン使っている理論ではないけど、ゼミで習ったので何となく覚えていた。

式はこれ。

$$
\Delta A = \int_{-\infty}^{t}\Phi_{AB}(t-t')F(t')dt'
$$

https://ja.wikipedia.org/wiki/線形応答理論


数式が一つ出ると、読者が一気に減ったかもしれません。でも、大事なのは数式ではなくて考え方なので、もう少し我慢してついていただきたいです。

物理で使うこの式の$${F(t')}$$は外から加えられた力(外力)、$${\Phi_{AB}(t-t')}$$は応答関数、$${\Delta A}$$はある物理量$${A}$$の変化量を表しています。

僕が所属している物性物理の分野では、電場や磁場を外から加えて物質の状態の変化を調べることで、物質の性質を明らかにしようとします。その時に、この線形応答理論を使うのです。




そして、やっとここからが本題。

この線形応答理論を、SNSに対して使ってみる。

これを、「いいね応答理論」と呼ぶことにする。


投稿に対しての周りからの反応は、外力$${F(t')}$$に相当するものと考えられる。外部からの刺激なので。

いいね(noteの場合だとスキ)とかコメントのことだ。


さらに、周りからの評価に対して、自分がどう捉えるかどうかは、応答関数$${\Phi_{AB}(t-t')}$$に相当するものだとみることができる。

「いいね」というものに対して、どう捉えているかということだ。「いいね」の数に過剰に敏感だと、この応答関数は大きいということになる。

そして出力結果の$${\Delta A}$$は、自分の心の中に湧き上がってくる感情だ。「嬉しい」とか「がっかり」とか「もっと認めてほしい(承認欲求)」みたいな、SNSでやっている上で出てくる感情。



SNSを健康的に使っていくには、この$${\Delta A}$$が暴走しないようにすることが、肝要だろう

承認欲求はどんな人間にも備わった欲求なので、ある程度出てくるの仕方がないけど、コントロールできなくなるのはまずい。

心が乱されて、実生活に悪影響が出てしまうのは、避けたい。



この嫌な感情を飼い慣らすための対処法は、「いいね応答理論」を使えば分かる。

方法は2つある。$${F(t')}$$か$${\Phi_{AB}(t-t')}$$を小さくすれば、いいのだ。あるいは、その両方。

感情の大きさ$${\Delta A}$$は、この2つの掛け算で決まるから。




では、対処法を見ていこう。


まず1つ目の、外力$${F(t')}$$を小さくする方法。

これは、SNSの通知を確認する頻度を減らしたりすることだ。外からの情報を少なくする方法なので。

外部からの情報をシャットアウトすれば、反応のしようがないので、心が乱されることも間違いなく減る



僕は最近、「1日の決まったこの時間だけに、確認する」みたいなルールを決めている。

その決めた時間以外には通知を確認せず、放置しておく。一気に大量のコメントが来るということもないので、こまめに確認しなくても大丈夫だと思っている。

スキの数も、いきなり爆増するということもないので、逐一確認するだけもったいない。今日書いた記事も、だいたい平均値に落ち着く。

コメントを返すのが遅くなるけど、そこはご了承ください。次の記事をよくするために、インプットを頑張りますので。あと、ぼーっとする時間も、いいアイデアを思いつくのに重要です。



他にもスマホの電源を切ったりとか、SNSはパソコンでしか使わないとか、そういった対処法もよさげです。

とりあえず一つ目の対処法は、外部からの反応に触れる機会を、そもそも減らしてしまうという方法でした。





そして、2つ目の応答関数$${\Phi_{AB}(t-t')}$$を小さくする方法。

これは、周りからの反応に対する考え方を、変える方法だ。

「周りからのいいねの数は大事かもしれないけど、自分が納得のいくものを作れたかどうかも大事だよね」

みたいに、周りからの評価を過度に重要視しないことだ。

周りからの評価だけを追い求めてしまうと、心が乱されて、自分が創作を楽しめなくなってしまう。

これでは振り回されて、軸がぶれぶれになってしまう。最悪の場合、軽率な行動をとってしまうかもしれない。回転寿司の炎上した動画も、周りから注目されたいというよ欲求が暴走してしまった結果だと思う。



まずは、自分が納得できるものが作れたかどうか」

僕は、このことを大事にしている。

「届く人には届くだろうし、届かない人には届かないぐらい」の気持ちで、自分の理想としている記事を作り続けいくことが、ぶれない芯を持った書き手になれると思っている。

この一貫性って、読み手側にとったら大切だと思う。毎回コロコロ変わっていたら、読み手側も不安になるし。



ちなみに人間に承認欲求が備わっているのは、集団からつまはじきされた人間は、生き残れなかったからです。

私たちは生き残った人間たちの子孫なので、必然的に「集団から認められたい!」という承認欲求があるのです。余談でした。





以上、SNSで創作活動を続けていく中で、嫌な感情に振り回されない方法を、考えてみました

アウトプットは声を大にしたいぐらい重要なものですけど、反応が気になりすぎて心が乱されてしまうのは、もったいないですからね。

自分もまだ反応が気になってしまうこともありますが、この「いいね応答理論」を思い出して、健全な心で創作活動を続けていきたいです。




SNSを全く使わない手段もありますけど、この時代においてSNSを一切使わないのも難しいと思います。なので、いかにSNSとうまく付き合っていくかが、重要かなって感じます。そのための方法として、「いいね応答理論」を使ってみてはいかがでしょうか。それなりに効果があると、自負しています。はい、傲慢です。使ってみるかは、みなさんの自由です。カスな理論だと思ったのなら、無視してください。


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