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イギリスの食事はまずいけど羨んでみる

 イギリスの食事はまずいとよく聞く。ほとんどの場合、私もそうだと思う。
 イギリスの友人におすすめを聞くと、カレーに中華にピザだと言い、それはほとんど大英帝国植民地の食だったり、外来のものだったりする。あるいはグレービーソースたっぷりのサンデーローストか。
 みんなよくサンドイッチを食べているようだし、手軽なので何度か買って食べてみたりもした。毎回後悔してばかりでもう手にすることもなくなった。
 日本食の人気は高いのだけど、Japanese FoodだとかSushiだということになっているシロモノを高値で食べているのを見るにつけ、気の毒にすら思えてくる。
 しかも、10年以上賃金は上がらず、安値進行している円が基本通貨である日本人にとって、外食はとてつもなく高い。ファストフードでもハンバーガーとドリンクで1500円、チェーン店の安いコーヒーで一杯500円、レストランなんかに行こうものならざっと日本の倍はかかる。サービス料もとられる。
 だから外食はもちろん、できあいのものを買って食べることからだんだん遠ざかっている。

 ところが。
 果物や野菜、ベーコンをはじめとした肉やチーズ、マッシュルームなども安くておいしい。桃であれ葡萄であれザクロであれ、季節の果物を気軽に堪能できる。野菜はイギリス国内のものがほとんどで新鮮だ。調味料は中華系スーパーで手に入る。
 だから、イギリスは食事がまずいというのは場合による、と言ったほうが正確だと思う。自炊できるなら、美味しいイギリスを体験できる。

 しかも。 
 イギリスでは食料品に消費税がかからない。
 カロリーベースでイギリスの食糧自給率は約7割だ。
 
 これに対して、日本はどんなに生活が苦しくても生命をつなぐ食料であっても「万人に等しく10%」の消費税がかかる。もちろんこれは平等を意味しない。そもそもの持ち分が違うのだから、金持ちと貧者が同じように負担するという時の「同じ」は同じではない。まったくの不平等でしかない。

 日本はとうとう食糧自給率も4割を切った。同じ島国でもイギリスとは大きな違いだ。しかも円安だ。
 じきに輸入品を買えなくなる日が来てもおかしくない。
 6割以上の食べ物を輸入に頼っているのに。
 飢えがまじかに迫ってきている。
 美味しいだの不味いだの言っている場合ではない、かもしれない。
 
 ということで、イギリスの食べ物はおおむね不味かったりもするけど、今の日本の状況を考えたら羨ましいところもあったりするのだった。

写真:Peak Districtの農園に続く道

 


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