武男と愛子(浅野浩二の小説)
ある高校である。その二年B組では三人のワル仲間がいた。玲子と冬夫と夏夫である。玲子の父親は、ある大学病院の消化器科の教授だった。彼は日本で食道胃吻合術の権威で、マキャベリ以上の権謀術数によって教授の地位を得た。妻も同じ大学病院の皮膚科の助教授である。
そもそも医学の世界というのは世襲的なものなのである。政治家と同じように、地盤、看板、カバン、を引き継げるから医者の息子は圧倒的に有利なのである。そのため親は何としても自分の子供を医者にしようとする。
そのため玲子の父親は何とか玲子を医学部に入れようと、家庭教師をつけ、塾へ通わせたりしてスパルタ教育をした。しかし玲子は頭が悪く、高校生になっても未だに分数の足し算、引き算すら出来ない。テストで悪い点を取るたびに、父親は玲子を厳しく叱り、罵った。
そのため、玲子はグレた。金はふんだんにあったので玲子は遊びまくった。類は友を呼ぶ、で、ワルの冬夫と夏夫が玲子に近づいてきて、玲子の子分になった。彼らは学校で、やりたい放題のことをしていた。が、皆、彼らの悪事を見ても、あとの報復を恐れて、見て見ぬ振りをしていた。
しかし、そんな中でクラス委員長の愛子だけは違っていた。愛子は正義感が強く、彼らの校内喫煙やカツアゲや窃盗を堂々と注意した。担任教師にも告げた。が、教師も愛子が、「彼らに注意して下さい」と訴えても聞き流すだけで、腰を上げようとはしなかった。
愛子はクラス一の秀才で勉強熱心で、将来は国立の医学部に入って小児科の医者になろうと思っていた。
玲子の父親は、いつも愛子を引き合いに出して、「お前も少しは彼女を見習え」と言ったり、「彼女のような優秀な子が娘だったらなー」などと嘆息したりした。
そんな事で、玲子の愛子に対する憎悪は激しく煮え立っていた。
クラスに武男という内気な生徒がいた。武男は冬夫と中学が同じだった。武男は内気で友達がいなく、そんな武男に冬夫が声をかけて、二人は付き合うようになった。武男は冬夫に従う子分のような関係になった。冬夫は武男をゲームセンターに連れて行ったり、新宿や渋谷の繁華街に映画を見に連れて行ったりした。もちろん金は全部、武男もちだった。
そんなことで高校になっても、武男は冬夫との縁から、玲子達三人のワル仲間の一員のようになっていた。しかし、武男は用事を言いつけられるだけのこづかいのような存在で、三人の横暴振りにも辟易して、いいかげん三人と縁を切りたいと思っていた。
高校に入って、愛子をはじめて見た時、武男はドキンと心臓が高鳴った。武男の席は愛子の後ろだったが、授業中はいつも愛子を見るようになった。
ある時、愛子と視線がバチンと合った。愛子はニコッと笑った。武男は真っ赤になって、あわてて視線をそらした。武男は孤独で友達がいない。そのため、やることといえば勉強だけで、そのため、中学から学科の成績はよかった。高校でも成績は愛子に次いで良かった。武男は愛子に近づきたいという思いから、いっそう勉強に身を入れるようになった。
ある日の休み時間。愛子が武男の席にやってきた。
物理の教科書とノートを持っている。
「武男君。となり座ってもいい」
愛子はニコッと笑って言った。
「は、はい」
武男は顔を真っ赤にして肯いた。愛子は武男のとなりの席に座って、物理の教科書を開いた。
「ここのところが解からないんだけど、教えてくれない」
そう言って愛子は、あるページを指で指し示した。それは電磁気の問題だった。武男は顔を真っ赤にして、どもり、どもり丁寧に説明した。愛子は笑顔で、ウンウンと肯きながら、武男の説明をノートに写した。
始業のベルが鳴った。
愛子は教科書とノートを閉じた。
「ありがとう。教えてくれて。よくわかったわ」
「い、いえ」
武男は顔を真っ赤にして言った。
「また、解からない事があったら教えてくれる」
「は、はい。でも、愛子さんほど頭のいい人が解からない事で、僕に解かる事なんてまず無いと想います」
「そんな事ないわ。私、そのうち、武男君に抜かれそうな気がするわ。これからは、解からない事は、お互い、教えあいましょう」
「は、はい」
武男は真っ赤になって、小声で答えた。愛子はニコッと笑って、席へ戻っていった。
その日以来、武男と愛子は勉強を教え合うようになった。
武男の愛子に対する想いは、どんどんつのっていった。夜、布団に入ると必ず、愛子の姿が浮かんでくる。しかし、武男の愛子に対する愛し方はノーマルな形ではなかった。先天性倒錯者の武男の愛子に対する愛し方は極めてアブノーマルな形だった。
裸になって、愛子の足元の前にひざまずき、愛子の足をペロペロ舐めたり、顔を踏まれたり、と、徹底的な奴隷になったり、あるいは、その逆で愛子を裸にして、爪先立ちに吊るし、愛子を鞭打って、愛子が泣きながら、「お願い。許して。武男君」と、訴えても無視して、鞭打ちつづける。そんな常人とは、掛け離れた、歪んだ形だった。普通の人の男女の愛の形とは、お互い裸になって、結合して、一体化し、女の体内に射精する。という事は武男は知識としては知っている。
しかし純は、そういう形では女を愛せないのである。それどころか、そういうノーマルな行為を想像すると純は吐き気すら催した。なぜ、そうなるのかは、武男にも解からない。だが、どんなに奇矯な形であっても、愛のボルテージの強さは常人と変わりはなかった。
ある日の昼休み。冬夫が武男に言った。
「おい。武男。今日の放課後に来いよ。玲子さんが愛子を呼び出したのさ」
「ど、どうするの」
「愛子にヤキを入れるのさ。あいつ、俺達の事を先公にチクッたり、俺達にインネンばかりつけるだろう。だから、一度、徹底的にヤキを入れてやるのさ。あいつ、勉強が出来て、クラス委員長で、お高くとまって、生意気じゃんか。お前も愛子が嫌いだろう」
「え、ええ」
武男は心とは裏腹に冬夫に合わせた。
「よし。じゃあ、放課後、体育館に来いよ」
そう言って、冬夫は教室を出て行った。
休み時間、武男は愛子の席に行った。
「あ、あの。愛子さん」
武男は声をかけた。
「なあに。武男君」
愛子は屈託のない笑顔で武男を見た。
武男はしばし、口唇を噛んでいたが、
「いえ。何でもないです」
と言って、自分の席に戻った。
その日の放課後。誰もいない体育館で、愛子と玲子が向き合っている。
「玲子さん。用は何ですか」
愛子は決然とした口調で言った。
「ふふ。楽しい事をするのさ。今まで、さんざん、あんたには世話になったからね。そのお礼さ」
そう言って玲子はタバコを取り出して、火をつけて、おもむろに煙を吐いた。
その時、冬夫と夏夫がドカドカと入ってきた。
「おい。お前も入れよ」
冬夫に呼ばれて武男も入ってきた。武男は彼らの後ろでうつむいている。
「武男君!!」
武男を見るや、愛子は思わず、武男に声をかけた。だが、武男は返事をしない。眉を寄せ、うつむいたまま、じっと拳を握りしめている。
愛子は玲子に向き直った。
「どういう事なの。何をしようっていうの」
愛子は玲子に問いかけた。が、玲子は答えず、ふふ、と笑って後ろを向いて、冬夫と夏夫に目配せした。
「さあ。はじめな」
玲子に言われて、二人はニヤッと笑って愛子の所へ行った。そして二人がかりで愛子を取り押さえた。
「な、何をしようっていうの」
不安げな表情で訴える愛子を無視して、冬夫が愛子の後ろに回って、愛子の両手を背中にねじり上げた。夏夫は身動きのとれない愛子の服を脱がせ始めた。セーラー服を脱がせ、スカートも脱がせた。
「やめてー」
愛子は叫んだが、夏夫は聞く耳など持たない。愛子はセーラー服とスカートを脱がされて、パンティーとブラジャーだけになった。夏夫は愛子のブラジャーをはずした。小高い乳房があらわになった。愛子は恐怖に顔を引きつらせて、全身をプルプル震わせながら、腿をピッチリ閉じている。冬夫は笑いながら、パンティー一枚になって腿をピッチリ閉じて全身をプルプル震わせている愛子を、背中からガッシリと、両手首を重ね合わせて、掴んでいる。玲子は、ふふふ、と笑って、立ち上がって愛子の前へ行き、愛子の前に座り込んだ。
目の前では女の肉をピッチリとおさめた純白のパンティーが、形のいい小さな盛り上がりをつくっている。
「ふふ。こんもり盛り上がって、すごくいい形じゃない」
玲子は笑いながら、しばし、愛子のパンティーの盛り上がった所を指で押してみたり、パンティーの縁のゴムをつまんで、離し、ピチンと音をさせたりした。
「それじゃあ、そろそろこれも脱ぎましょうね」
そう言って、玲子は両手でパンティーをグッとしっかり掴んだ。
「や、やめてー」
愛子は腿をピッチリ閉じて、全身をプルプル震わせながら叫んだ。が、玲子は、かまわず、一気にパンティーをずりおろし、足から抜き取った。覆う物一枚もない丸裸になった愛子は、真っ赤になって、何とか女の最恥の部分を隠そうと、片足を鶴のように曲げて、もう一方の膝の上にピッチリ重ね合わせた。恥部は何とか隠されたが、みじめこの上ない姿である。玲子の後ろでは夏夫が、ニヤニヤ笑って見ている。
「ふふ。恥じらいがあって、とても素敵なポーズね」
玲子は、全身をプルプル震わせている愛子に、そんな揶揄の言葉を言った。
しばし、玲子と夏夫は、冬夫に後ろから取り押さえられて、全裸で顔を赤くしてそむけ、膝をピッチリ重ね合わせて、プルプル体を震わせている愛子を楽しむように眺めていた。武男は二人の後ろで、うつむいている。
「冬夫。お前も疲れただろう。もう、手を離してやんな。お前もこっちに来て愛子の裸をとっくりと楽しみな」
言われて、冬夫は背中で捻り上げていた愛子の手首を離して前に回った。
愛子は両手が自由になると、急いで座り込み、手を胸と秘部に当てがって隠した。
三人は顔を真っ赤にして、胸と秘所に手を当てて、座っている愛子を楽しげに眺めた。
「ほらよ。愛子のセーラー服と下着だよ。好きな物をとって、宝物にするなり、何なりしな」
言われて冬夫はセーラー服とパンティーを取り、夏夫はスカートとブラジャーを取った。
「お前ら、がめついね。武男の分が無いじゃないか。武男にも分けてやんな」
玲子は叱るように冬夫と夏夫に言った。後ろに控えていた武男は、あわてて三人の前に出た。
「ぼ、僕はこれをもらいます」
そう言って武男は床の上にある愛子の靴下を拾った。
「そんなものでいいの」
「は、はい」
武男は小声で言って、拾った靴下を持って、再び隠れるように三人の後ろに回った。
冬夫は愛子のパンティーを裏返して、女の部分に鼻を当てて匂いをかいだり、
「ちゃんとシミがあるぜ」
などと揶揄した。
「オレにも貸せ」
と言って、夏夫は冬夫から愛子のパンティーをとった。夏夫も冬夫と同じように、愛子のパンティーに鼻を当てた。そして、
「あー。いい臭いだ」
などと言った。愛子は真っ赤になってうつむいている。そんな愛子を二人は、楽しむように眺めた。
「ほら。遊んでないで、そろそろ始めな」
玲子に言われて二人は立ち上がって裸で座っている愛子に近づいた。
二人は胸と秘所を隠している愛子を強引に立たせた。
「今度はオレが押さえててるよ」
そう言って夏夫は、愛子の両手を後ろへねじり挙げた。
「あっ。いやっ」
手で隠していた胸が露わになった。夏夫に両手を背中に捻り上げられて無防備になった裸を何とか見られないよう、愛子は腿をピッチリ閉じて全身をプルプル震わせている。冬夫は夏夫に取り押さえられている愛子の胸や尻や太腿を触りまくった。太腿の付け根の所に手を割り込ませると、愛子は、
「ああー」
と叫んで腰を引いた。
「ほら。そんな、お優しいのじゃなく、タコ糸を使って、あれをやりな」
玲子に言われて冬夫は、ニヤリと笑ってポケットからタコ糸を出した。冬夫はタコ糸を愛子の女の谷間に食い込ませた。
「や、やめてー」
愛子は悲鳴を上げたが冬夫は聞く耳を持たない。
タコ糸をゆっくり前に引いてみたり、後ろに引いたりした。タコ糸は、女の柔らかい谷間に食い込んで、埋まってしまっている。前は、閉じられた女の割れ目から、やっと顔を出し。後ろは尻の割れ目の上の方に現れている。前後に擦る度に愛子は、
「あっ。あっ」
と、うめき声を漏らす。
「ふふ。どうだ。気持ちいいだろう」
冬夫が揶揄する。愛子は何とか、恥ずかしい所を隠そうとして、腿をピッタリ閉じている。そのため、結果として、恥部がタコ糸をしっかり挟んでしまっている。手を離しても落ちないほどに。
「どうだ。気持ちいいだろう」
冬夫は、タコ糸の前後に引く運動を続けている。愛子は喘ぎ声を漏らしながら、眉を寄せ、苦しげに、体をプルプル震わせている。愛子がクナクナと座り込みそうになると、冬夫は、そうはさせじ、と、タコ糸の前後に力を入れて上に持ち上げて、その力でそれを阻止する。愛子は、仕方なく、落としかけた腰を上げる。冬夫も、
「座り込むなよ」
と恫喝する。この責めを抜ける方法はない。
「お、お願い。許して」
愛子は半泣きになって訴えた。
武男は彼らの後ろで、憐憫の目で生贄の愛子を眉間に皺を寄せ、拳をギュッと固く握りしめて見ていた。
「もうやめてあげて下さい」
三人の後ろで控えていた武男が耐え切れなくなったように言った。男二人の視線が武男に行った。彼らはニヤッと笑って武男を見た。
「ふふ。お前、本当は愛子が好きなんだろう。俺達と縁を切りたいんだろう。お前が匿名で、俺達の事、先公にチクッた事、知ってるんだぞ」
武男は言い返せない。
「裏切りは、グループの掟でリンチだ。もうお前は俺達の仲間じゃない。徹底的にヤキを入れてやる」
武男は言い返せない。冬夫は愛子の顔を見た。
「ふふ。いい事を思いついたぞ。おい。愛子。責めから開放されたかったら、『武男を私の身代わりにして下さい』と言いな。武男を丸裸の晒し者にする代わりに、お前は放免してやろう」
「で、出来ません。そ、そんな事・・・」
「ふふ。そうだろうな。しかし、言わないなら、いつまでも、お前だけが責めつづけられるだけだ」
「愛子さん。僕を身代わりにすると言って下さい。僕は、喜んで愛子さんの身代わりになります」
「どうだ。ああ言ってるぞ」
冬夫は愛子の顎をグイと掴んだ。愛子はチラと武男を見た。
「で、出来ません。わ、私には、そんな事・・・」
冬夫は、愛子をじっと睨んだ。何としても愛子の良心をおとしめようとしている。
「よし。じゃあ。身代わり、というのじゃあなく、一緒に責められるというのはどうだ。お前への責めも半分になるぞ。少しは手加減もしてやる」
冬夫は、そう言って再び、愛子にタコ糸の責めを始めた。この責めはいつまでつづくのかわからない。愛子は、
「ああー」
と悲鳴を上げて、腿をピッチリ閉じて全身をワナワナ震わせている。
「愛子さん。言って下さい」
愛子は、しばし口唇を噛んでためらっていたが、ついにワナワナと、口を震わせながら言った。
「わ、私だけじゃなく、私と一緒に武男さんも責めて下さい」
愛子は、言ってわっと泣いた。
「おい。武男。着てる物を全部、脱いで素っ裸になりな」
冬夫に言われて武男は、服を脱いだ。ワイシャツとズボンを脱ぎ、Tシャツとパンツも脱いで、丸裸になった。
「よし。愛子と武男を背中合わせに縛りな」
そう言って玲子は縄を二人に渡した。二人はニヤッと笑って、裸の武男と愛子をピッタリと背中合わせにくっつけると、二人をぐるぐる巻きに縛り上げた。
武男は愛子と背中合わせに縛られた。二人の尻が触れ合う。玲子は武男の前に立ってピシャピシャ武男の顔をたたいた。いたく満足げである。
「ゆ、許して。武男君。一人の責めに耐え切れず、武男君をおとしめてしまって」
「い、いいんです。愛子さん。僕はむしろ幸せです。愛子さん一人が責められるのを見ている方がよっぽどつらいです」
「武男。こっちを向きな」
玲子に言われて、武男は玲子のほうを向いた。
「ほら。もっと足を開きな」
武男は足を開いた。丸出しになったペニスが隆隆と勃起している。
「ふふ。どう。いとしい彼女と背中合わせに縛られて。今の気持ちを正直にいいな」
「し、幸せです。僕はこれでも男です。愛子さんは責めないでください。責めはすべて僕が受けます」
「ふふ。愛子と尻を触れ合わせて。どうだ。今の気持ちは。正直にいいな。愛子の尻の感触は」
「柔らかくて、気持ちいいです」
「愛子さん。御免なさい。今日は、愛子さんが虐められる事を知っていましたが、言わなかったんです」
「ふふ。男の恥ずかしい物を丸出しにして勃起させて・・・。玉をブラブラさせて・・・。お前は本当にマゾだねえ。こうやって見られているのも嬉しいんだろう。正直にいいな」
玲子は武男の金玉に洗濯バサミをくっつけた。
「ほら。言わないと、愛子をいじめるよ」
「は、はい。そうです。僕は、今、見られて興奮しています」
「ふふ。お前は正真正銘のマゾだねえ。たっぷりいじめてやるよ。幸せだろう」
玲子はニヤニヤ笑って、武男の金玉につけた洗濯バサミをピンと指で弾いた。
「ご、御免なさい。愛子さん。愛子さんをこんな目にあわせてしまって。ぼ、僕を許して下さい」
「いいのよ。武男君。そんなに私を想っていてくれたなんて。嬉しいわ。私の方こそ御免なさい。武男君を、はっきりと裏切ったわ。一緒に耐えましょう」
愛子と武男は手をしっかり握り合った。
「ふふ。洗濯バサミは仲良く、半分ずつ、二人につけてあげましょう。愛子のアソコにも」
「や、やめろ。愛子さんの責めは、全部僕が受ける」
「あら、そう」
玲子は愛子につける洗濯バサミをどんどん武男の金玉につけていった。武男は洗濯バサミをつけられる度にうっと顔をしかめて、その苦痛に耐えた。
「じゃあ、次は武男に愛子のオシッコを飲ませてやろう」
愛子はギョッとした。玲子は愛子の口を無理矢理、開けてオレンジジュースを三本つづけて飲ませた。
「二人を離しな」
玲子に言われて男二人は武男と愛子を縛っている縄を解いて、二人を離した
「よし。二人とも後ろ手に縛り上げな」
言われて冬夫は愛子を、夏夫は武男を、後ろ手に縛った。
「よし。武男を仰向けに寝かせな」
言われて二人は武男を仰向けに寝かせた。愛子は後ろ手に縛られて困惑した表情で立ち竦んでいる。
「よし。じゃあ、武男の首を縛って、その両端を愛子の足首に結びつけな」
男二人はニヤッと笑って、武男の首を縄で縛った。二人は武男の顔を挟むように愛子を立たせた。そして縄の両端を愛子の足首に結びつけた。武男の真上には愛子の最も恥ずかしい部分が丸見えになっている。隠しようがない。
「ああっ。お願い。武男君。見ないで」
愛子は顔を真っ赤にして言った。武男は目を閉じて顔を横に向けた。
「さあ。愛子。武男にオシッコを飲ましな。そうすれば今日の責めはやめてやるよ」
愛子は尿意を催してきて、腰をモジモジさせ始めた。
愛子は後ろ手に縛められたまま、腰をモジモジさせている。
「ああー。も、もうガマンできない」
愛子は悲鳴に近い声を上げた。が、どうする事もできない。彼らに哀願しても聞くはずがない。愛子の両方の足首は武男の首に結び付けられていて、武男から離れる事は出来ない。
「ほら。武男はお前のオシッコを飲みたくてウズウズしてるよ。武男はお前の便器だよ」
言われて、愛子はそっと足元の武男を見た。
「愛子さん。僕は愛子さんの体から出るものなら、何でも喜んで飲みます。遠慮しないで下さい」
そう言って、武男は口を大きく開いた。
「ほら。ああ言ってるじゃないか。武男にオシッコを飲ませてやりな。しっかり、腰を屈めて。口以外に、一滴でももらしたら容赦しないからね」
愛子はついにガマン出来ずに下の武男をそっと見た。しかし、愛子にどうしてそんな事が出来ようか。
「ああっ。で、出来ない。そんな事」
愛子は顔を真っ赤にして首を振った。玲子は、意地悪げにあるものを取り出した。それはイチジク浣腸だった。三つ、取り出して並べた。
「ふふ。どうしてもオシッコを飲ませたくないというのなら代わりにウンチにするよ。さあ、どうする」
そう言って、玲子は愛子の目の前にイチジク浣腸を突きつけた。愛子は鳥肌が立った。まさか、いくらなんでもウンチをするわけにはいかない。ウンチよりはまだオシッコの方が、という妥協したような表情が愛子に現れだした。
「ほら。早くしな。しないと浣腸するよ」
そう言って、玲子は冬夫にイチジク浣腸をわたした。冬夫は笑いながら、進退きわまっている愛子の尻の穴に茎の先を当てた。愛子は、「あっ」と叫んで尻をギュッと閉じた。愛子の尿意はもう限界に近づいていた。
「愛子さん。早く。早く」
武男が気を使ってせかす。
「ほら。ああ言ってるじゃないか。早く出すもん出して、すっきりしな」
玲子が揶揄する。ついに愛子は覚悟をきめた。愛子は武男の顔を跨ぐと、ゆっくりと腰を屈めだした。
「ご、ごめんね。武男君。許して」
愛子は武男が本当に自分の尿を飲みたいのか、どうかはわからない。とことんまで思いやり、気を使う武男のこと。本当はいくらなんでも尿を本気で飲みたいと思っているのかどうかはわからない。だが、それを知る術はない。愛子の尿意は限界に達した。愛子はガクガク体を震わせながら、尻を武男の顔に近づけた。
「全部しっかり飲まさなければ駄目だからね」
玲子が叱りつける。
「御免なさい。武男君。あとで、十分つぐないます」
そう言って、愛子は大きく開かれた武男の口に狙いを定めた。
愛子の尿意は頂点に達した。
「ああっ。もうガマンできない」
愛子は叫んだ。
「み、見ないで。お願い」
丸裸で足を開き、粗相する姿を見られる。ただでさえ耐えられない屈辱である。しかも、事もあろうに男の顔を跨いで、その口の中にしようというのである。どうしてこんな姿を見られる屈辱に耐えられよう。だが、傍観者達の視線は愛子のそこに今か今かと、待つように釘づけになっている。
「ああっ。もうガマンできない」
愛子は大声で叫んだ。
「ゆ、許して。武男君」
武男は大きく口を開けて準備完了といった状態である。愛子はとうとう我慢に我慢を重ねていた尿道括約筋の力を抜いた。堰を切ったように愛子のそこから激しい水流が流れはじめた。それは武男の顔にかかった。武男はすぐさま水流が自分の口の中に納まるよう、体を動かして、頭を少し上にずらせた。堰を切った水流は、非常な勢いで、噴出し続けた。
「ああっ」
愛子は叫んだ。それは愛子にとって言語に絶する開放感の心地よさの悲鳴だった。いとしい武男に自分の尿をまさに飲ませているという嗜虐的な征服の喜びを、いけない、と思いつつ、愛子は感じていた。武男は咽喉をせわしくゴクゴクいわせながら玲子に言われたように飲みきろうとしている。が、放出されつづける水量があまりに多いので、飲みきれなかった分が口から溢れ出て、床の上に滴った。玲子たち、傍観者は、腹を抱えて笑いながら、この光景を眺めている。膀胱にたまっていたものはもう大部分出て、愛子は苦しみからもう解放されていた。が、毒食らえば皿まで、といった捨て鉢な気持ちが完全な排泄の開放感を得たいという事に、もはやためらいを感じなくなっていた。水流は、もはや弱まっていたが、膀胱にまだ残っているのを感じると、意識して腹筋に力を入れて、それを出した。ついに愛子は膀胱の中にたまっていたものを全て出しきった。愛子はあわてて、倒れるように床に座り込んだ。玲子は笑いながら、
「どう。出し切って気持ちよかっただろう」
などと、揶揄する。
「ほら。どうだったか、正直にいいな」
玲子が愛子の乳首をグイとつねった。
「は、はい。出し切ってスッキリしました」
一同がどっと笑う。
「武男に自分の尿を飲ませたということに加虐的な快感を感じていただろう」
言わなきゃ夏夫と冬夫のションベンも飲ませるよ、と言って玲子は立ち上がって多量の水を飲んで膨れた武男の腹をグイと踏みつけた。
「は、はい。玲子さんの言う通り、私は武男さんにオシッコを飲ませている時に快感を感じていました」
言って愛子はわっと泣き出した。
「よーし。よく言った。じゃあ、今日はこれで終わりにしてやるよ」
玲子は男二人に目配せした。玲子たちは、あーあと大欠伸をして、映画を見終わった観客のようにゾロゾロと引き上げていった。
後にはガランとした体育館に裸の愛子と武男がとり残された。
武男と愛子は、ともに、後ろ手に縛られ、武男は首を縄で縛られ、その両端は愛子の足首に結びつけられているため、身動きがとれない。
武男は顔をねじって愛子の片方の足首に口をもっていき、歯で愛子の足首の縄を解いた。そして顔を反対に向け、同様にもう一方の足首の縄も解いた。二人の結合は無くなって自由になった。
武男は後ろ手に縛められた上半身を起こして立て膝になって、愛子に背を向けた。
「愛子さん。僕の背中の所にきて、背中を合わせて下さい」
言われて愛子は立て膝で、背中を武男の背中にピタッと合わせた。武男は手首を縛られた不自由な手で、愛子の手首の縛めを解いた。自由になった愛子は、
「ありがとう」
と言って、武男の手首の縄を解いた。二人は完全に自由になった。
しかし二人はしばし服を取るのも忘れて、恥ずかしそうに顔を背けて、黙ってうつむいていた。外が暗くなりだした。ためらいがちにじっとしていた愛子は思いたったように武男の正面に行って土下座した。愛子は床に頭を擦りつけて武男に謝った。
「ごめんなさい。武男君」
愛子は何度も繰り返し言った。
「ううん。いいんだよ」
武男は恐縮しきっている愛子の肩を掴んでやさしい口調で慰めた。
「あのね。武男君・・・」
愛子はしばし言いためらっていたが、じっと武男を見つめ、重たい口を開いた。
「あのね。武男君。さっき、言った事、本当なの。私、武男君にオシッコを飲ませているうちに武男君に意地悪な快感を感じてしまっていたの。もう、私たちの付き合いも終わりね」
武男は優しく愛子を抱きしめた。
「ううん。いいんだよ。君の体から出るものを飲めた事は僕にとって本当に嬉しいことなんです。僕は君と完全なつながりをもてた事に、今、最高に幸せを感じているんです」
武男は裸の愛子をいっそう強く抱きしめた。そして二人は接吻した。二人は裸のまま、いつまでも抱き合っていた。