秋の空時計【毎週ショートショートnote】
彼女と初めて会ったのはある山中の竹やぶの中。
ボクがタケノコを掘っているときに、ハイキングに来て道に迷った彼女と出会った。
一緒に山を下りて、彼女が僕に礼を言い、自然と僕たちは付き合うようになった。
付き合ってから3ヶ月後の夜、彼女が月を見ながら話し始めた。
「私は、月から来たのです。もう少しすると月からの使者が来て私を月に連れて帰ります。
短い間だったけど、とても幸せでした。
今までありがとう」
僕が呆気に取られていると、突然秋の空に時計が現れた。
23:59:52
よく見るとそれは光を放つ数多くの飛行物体だった。
光る飛行物体が形を変えてカウントダウンを始めた。
5
4
3
2
1
0
月の方から光の道が彼女の方に向かって伸びてきた。たぶん彼女はこの光の道に吸い込まれるように月に帰るのだろう。
彼女が空を見上げると飛行物体が形を変えた。
サヨナラ
彼女は僕の手を握り涙を流しながら、別れの言葉を言った。
「それでは、そろそろドローンしますので」
410文字
たらはかにさんの企画に参加させていただきます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?