ショートショート ケラケラケロリ

「あれ……?」
という感じで急に、
差別的書き込みをしたくなった若手折り紙アーティストの私は、早速、
自分のSNSに、
その溢れる差別意識を書き込んだ。

そうすると、
思っていた以上に批判の声が多く寄せられ、
所謂、
「炎上」
状態になってしまった。
という非常事態なので、
ビビりの私は、
これ以上の炎上を避ける為、
自分のSNSに反省の言葉を書き込んだ。
更には、その反省の言葉に加えて、
暫くの間、SNSを休止するとも書き込んだ。
これでなんとか事態が収まってほしい。
今はただ、それを切に願う。

いや、
まさかこんな事態になってしまうとは……。
想像力が足りなかった。
私って意外にも批判の的になるだけの名はあったんだな。
私のSNSなんて、
何の影響力もないと思っていたから、
この事態にはびっくりした。
こうなっちゃうと、
涙と舌打ちと後悔の言葉しか出ないよ。
全く、私はなんて馬鹿なことをしたんだ。
書き込む前に戻りたい。
あんなことを書き込んでしまったばっかりに書き込みたくもない反省の言葉なんてものを書き込まなきゃいけなくなったんだ。
最悪だよ。
本当は反省なんかしてないのにさ。
反省の言葉を書き込んでいる時は屈辱的だったよ。
胸が苦しくてしょうがなかった。

でも、そうしないと
世間や私の周りにいる人達が許してくれそうになかったからね。
嫌でも苦しくても屈辱的でも、
反省の言葉を出すしかなかったんだよ。
本当、しんどい事態になった。
このストレスは鳥に石を投げつけることで発散したい。

って、
今の私がそんなことをする訳にはいかないか。
激写されちゃうよ。
無難に折り紙を折ることでストレスを和らげるしかないのかな。
結局、
私にはそれが一番のストレス解消方なのかな。
あー、本当にしんどい。
精神的に参った。
こういうことを願うのは、
よくないんだろうけど、
どっかで猟奇的な事件が起きてくんないかな。
全ての話題を持っていってほしい。
そういうことでもないと中々、
批判の声が落ち着かないからね。
批判の声の他に、
悪口もあるし、
さっさと私から
別のことに興味を移してもらいたい。
とにかく早く、
この熱りが冷めてくれることを祈る。

という訳で、四ヶ月後。
私は、熱りが冷めたと思ったので、
しれっとSNSを再開した。

そうすると、
やはり批判の声がすぐに飛んできた。
しかし、
それと同時に応援の声もたくさん飛んできた。
なので、
この感じからして、
私が思った通り、
熱りが冷めたんだと思う。
とりあえず安心した。

早速、
調子に乗った書き込みでもしてやろうかな。
それか、コスプレ写真でも載せてみる?
この前、
「車に轢かれた猫」
のコスプレしたんだよね。
あれは我ながら、
完璧なコスプレだったと思う。
あれを載せちゃう?

いや、動画でもいいね。
この前、気まぐれに動画を撮ったんだよ。
内容は、
世に出回っている赤ちゃんの写真を見て、
その赤ちゃん達がどれくらい可愛いか点数を付けるっていうものだ。
だいぶ、辛口採点をさせてもらったよ。
結構な毒も吐いたね。
それを載せてみる?

……って、なに考えているのさ私は。
冷静に物事を考えろ私。
また怒られるぞ。
もう大人しく生きていけ。
優しい気持ちを大切にするんだ。

とした四ヶ月後。
私は、
「あら……?」
という感じで、
急に邪悪な考えを思いついた。

なので、
私はその思いのまま、
何も考えることなく、
自分のSNSに邪悪な考えを書き込んだ。

その結果……
まぁ、案の定な結果になったのでした。

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