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最近働いたチェーン店の店長がチェーン店じゃなかった話

最近私は「タイミー」というバイトアプリを利用してあるチェーン店にバイトをしに行った。
そのチェーン店は中華料理を提供するレストランで、今回初めてそこで働くこととなった。
お店に着くと陽気な店長さんが対応してくださった。
会って少し話しただけで、その店長さんの人柄の良さを感じた。とにかく気さくに話してくださるし、初めてで身構えていた私をリラックスさせようとしてくれているのがわかった。

色々説明があったあと私の業務が始まった。
働きながらすぐに気づいたことがある。それは、まるでチェーン店とは思えないほど、店長さんとお客様の距離が近いということだ。まるで町中華のお店のような。
その距離の近さは、店長さんの声掛けで生まれていたのだとわかった。
常連であるお客様に対しては、「あ、いつもどうも!!」というような声かけをしたり、お客様が帰られる際には「お気をつけて帰ってください」と、周りが明るくなるような声かけをしていた。

印象的だったのは、高齢の女性のお客様が入店された際に厨房から、「量がちょっと多いけど大丈夫?」とそのお客さんを心配する声かけをしていたことだ。そのお客さんがお会計をしている際には店長さんが「全部食べてくれてありがと〜」とおっしゃっていた。お客様も「おいしくて全部食べたよ〜」と嬉しそうに話されていた。

もう一つ印象的だったのは、手話で会話されるご夫婦の奥さんが会計をされている際のことだった。店長さんがお客様のスマートフォンを使って一生懸命会話されていたのだ。おそらく、お客様も店長さんが一所懸命に何か伝えようとしているのがわかってスマートフォンを取り出したのだろう。

ここまでお客さんと距離の近さを感じるチェーン店はなかなかないのではないかと思う。
店長さんに声をかけられたお客様はみんな笑顔だった。
だから常連さんができるのだろうと思った。僕もお客さんの立場であれば何度も足を運びたいと思う。
この店長さんのお客さんに対する接客の態度はお店の決まりではないだろう。なぜなら以前違う場所の同じ店に訪れたことがあるが、このような接客はされなかったからだ。

ではなぜ、店長さんがお客さんに対してこのような接客をするのか。
おそらく店長さんが本当にお客さんのことを大切に思い、お客さんと関われることが好きだからだと私は感じた。

このお店では、注文はすべて手書きでとっている。そのことに対して僕は、注文をデジタル化すればいいのではと思い、店長さんに聞いてみた。すると「確かに楽にはなるけど、お客さんと関わることができなくなるから俺は手書きで注文を取る方が好きなんだよ。」とおっしゃっていた。そこから、店長さんのお客さんと関わることを何よりも大切に思っていらっしゃることを感じることができた。

僕は今まで、チェーン店で働く従業員の方は全員、お客さんに対して何も思わずに働いていると思っていた。それは僕自身が、前働いていたチェーン店のレストランでそう感じながら働いていたからだ。特にお客さんが来ても嬉しくないし、むしろ来てほしくなかった。それは他の従業員の方も感じていた。
しかし今回、1日だけ違う場所でバイトをしてそうではないことがわかった。
チェーン店でもお客さんを大切にして、働いている人がいるのだ。

お客さんをそこまで大切に思うことは、正直今の僕にはできない。
でもいつか、そう思うことができるようになりたいと思う。


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