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カクテルの名前〜あかり〜

こちらはカクテルの名前〜Eita〜
のスピンオフの物語。

カクテルの名前
『あかり』      tukiyo

あかり『あ!詩郎!おかえりぃ』

詩郎『ただいま』

あかり『、、、今日は、、、遅かったね、、、お店、混んでた?』

詩郎『、、、うん、、、まぁ、、、ね』

あかり『、、、そっかぁ、仕方ないねー、お店が忙しいとマスターとしては、いつもいつも他の人に任せっきりじゃ、、、いけないもんね、、、』

詩郎『、、、ごめん、遅くなって、バタバタしたから電話もできなかった』

あかり『いいんだよ!遅いけど、ちゃんと帰ってきてくれたし、、、あ、そだ!お腹すいてる?今日ねぇ、詩郎が大好きなロールキャベツ!つくったよー、食べるでしょ?』

詩郎『、、、ごめん、、、飯、食ってきた

あかり『、、、そかぁ、、、食べてきたんだ、、、、、、誰と?』

詩郎『え?』

あかり『お店のまかないじゃないよね、食べたの、、、それから、、、1人で食べたんじゃないでしょ、、、誰かと、、、一緒だったよね、、、』

詩郎『あかり、、、どうした?調子、悪いの?、、、とりあえず、座れよ、、、』

あかり『はぐらかさないで!、、、わたし、、、知ってるよ、、、知ってるもん』

詩郎『知ってるって、、、なにを?』

あかり『詩郎、、、他に好きな人がいる、、、今日、その人と夕飯食べた、、、』

詩郎『なんだよ急に、、、なんで、そんなふうに思うの?』

あかり『分かるよ、、、だって、、、詩郎のこと、ずっと見てきたんだから!ずっと、詩郎の隣を歩いて来たんだから!』

詩郎『あかり、、、(ため息)、、、ごめん』

あかり、泣き出す
あかり『、、、嘘、、、ついてもくれないんだね、、、ひどいな、、、詩郎って、、、ほんと、ひどい人』

詩郎『あかり、、、俺は、、、好きだよ、、、あかりのことも、、、』

あかり『はぁ?なーに言ってんのよ、、、そういうのズルいでしょ!子どもじゃあるまいし!あれも欲しい、これも欲しいって、、、ちょっと欲が深すぎるんじゃない?』

詩郎『、、、ごめん、、、あ、、、あかり、どうしたの?どこ行くの!』

あかり『出てくんだよ、、、詩郎の顔見たくないもん』

詩郎『バカだな、いま、真夜中だぞ、こんな時間にどこに行くんだよ』

あかり『、、、でも、、、辛いもん、、、詩郎と一緒にいるのが、辛い、、、苦しい、だから、、、ほっといてよ!』

詩郎『待てよ!ダメだ、行かせない!こんなに泣いて、、、ボロボロなのに、、、どこかに行かせるなんてできない』

あかり『離してよ!!離してってば、、、誰がわたしをボロボロにしたのよ、、、もう、、、なんで、、、なんで、抱きしめたりするの?、、、余計辛くなるでしょ、、、』

詩郎『あかり、、、好きなんだ、、、あかりを愛してる、、、どこにも行かせたくない』

あかり『、、、ひどい人、、、嫌い、、、大っ嫌い、、、もう、やだ、苦しい、、、これ以上あなたと一緒にいたら、、、わたし、頭おかしくなっちゃう、、、だから、、、ね、わたし、、、出てくよ、離して、、、』

詩郎『あかり、、、どうしても?どうしても出ていくの?、、、俺のこと、、、もう愛してないの?嫌いなの?』

あかり『そう!嫌いだよ!大嫌いだよ!、、、顔も見たくない、一緒の空気吸ってるのも嫌!』

詩郎『、、、そぅか、そんなに辛いのか、、わかった、、、じゃ、俺が出てく、、、君はここにいろ、、、あかり、、、すまない、、、こんな俺で、、、ほんとに、、、ごめん、、、じゃ、出てくよ、、、』

詩郎、去る

あかり『、、、泣、、、詩郎、、、詩郎、、、嫌い、、、大っ嫌い、、、、、そんなワケないじゃない、、、好きだよ、、、誰よりも、、、なによりも、、、詩郎、、、でもね、あなたといると、わたし本当に変になっちゃう、、、あなたが好きな、、、わたしじゃなくなる。そしてあなたが好きな誰かさんを、、、わたし、殺しちゃうかもしれない、、、そんなこと、、、できないよ、、、そんなことしたら、、、その人を詩郎は一生忘れない、、、一生、詩郎の中に住み続けるのは、、、わたしだよ、、、詩郎、、、ごめんね、、、わたしも、詩郎も上手な愛し方、、、できないね、、、
詩郎、、、忘れないでね、、、わたしのこと、、、詩郎、死ぬほど愛してる』

しばらく間

詩郎『あかりの側から離れて、、、俺は真夜中の道を行くあてもなくトボトボ歩いた、、、店に戻るか、、、そんなふうに思ったが、、、なんだか、そんな気分でもなくて、ただただ真夜中の街を彷徨い歩いた、、、しばらく、歩きまわり疲れも出てきた頃だった、、、、いきなり電話が鳴った、、、、、もしもし、、、あ、管理人さん、、、どうしたんですか?、、、え、、、にわかに信じられない言葉が耳から脳に駆け巡る、、、あかりが、、、嘘、、、でしょ、、、それはマンションの管理人からの知らせだった、、、あかりが、、、ベランダから、、、飛び降りた、、、、、』

しばらく間

詩郎『店をかたづけて、今日も俺は家路を急ぐ、、、待ってる人がいる、、、俺は勢いよくマンションのドアを開けた!ただいま!』

あかり『詩郎!おかえりなさい!、、、今日も帰ってきてくれたー
嬉しいなぁ、、、ねぇ、ご飯できてるよー食べるよね?、、、あ、そうだ!今日はさぁ、あのカクテル、わたしの為に作ってよー、大好きな人につくる特別のカクテル!カクテルの名前は、、、あ、か、り』

詩郎『そう言って、にこやかに笑う彼女を抱き寄せた、、、抱き寄せた腕の中に、、、彼女は、、、いるはずもないのに、抱きしめる腕に、俺は、虚しく力を入れて、彼女にささやいた。あかり、、、愛してる』

カクテルの名前、あかりおわり。

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