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舟編みの人~第8話~

朝倉
「コラムにエッセイ…
 もしくは…
 コラムニストとエッセイストの意味付け・位置付けと言うものが…
 どういうものだか分かるかい…」
伊島
「我が社のISSAやSIKIBUに
 寄稿してくださる方々には…
 コラムニストで…
 エッセイストな方も…
 いらっしゃいますからね。」
朝倉
「一定の枠の中で記事を書いてくれる人はコラムニスト…
 思い思いのネタを書いてくれる人がエッセイストな感じだな…」
伊島
「昔は明確な使い分け・棲み分けがされていたようですが…
 最近…
 その境目が無くなってきているような気もしますね。」
朝倉
「複業化している現代においては特段驚く程の事ではあるまい。」
伊島
「ライターの位置付けも似たようなものがありますね。」
朝倉
「ライターとかコラムニストにエッセイストの境目も…
 今や有って無い様なものだからな…」
「昔は記事書きを俗にライターと言ったものだが…」
「小説家や脚本家も広い意味では書き手…
 ライターだからなあ…」
「流石に出版社の身内が書いているものを…
 コラムニストとかエッセイストとか言うわけにもいかないから…
 私が記事を書く時の肩書きは
 ライターと言う事になる。」
伊島
「フリーライターの方もいらっしゃいますよね…」
朝倉
「事件を追いがちなルポライターもいるな…」
「旅情サスペンスもので有名になった浅見光彦はルポライターだな…」
伊島
「内田康夫さんの人気シリーズになった主人公ですね…」
朝倉
「ルポライターはフランス語で現地報告の意味を持つルポルタージュ(reportage)と英語のライター(writer)を組み合わせた造語だな…」
「皮肉な事にルポライターと名乗る事で…
 事件とかが起きてしまっているのではないかと邪推したくなるのは…
 辞書書きの悲しき性なのかもしれないな…」
「推理サスペンスものを書く中では…
 そうした伏線も必要だったんだろうな…」
「ルポルタージュは古くは探訪と訳された時もあるから…
 彼がルポライターを名乗る事の言語的な齟齬がある訳でもない。」
伊島
「ついでにジャーナリストとかの違いについても聞いておきたいのですが…」
朝倉
「ルポライターもジャーナリストも記事書きである事には変わりはない…」
「客観的事項が多くなるとルポライターとかリポーターとかになるのだが…」
伊島
「よくよく聞いてみると
 今はルポライターとか言わなくてリポーターとかで良くないですか…」
朝倉
「確かにそうなのだけど…
 話の腰を折るなよ…」
「続けるぞ…」
「主観的事項…
 意見・主張・見解なども織り込んで書くのがジャーナリストやアンカーマンになるのかな…」
伊島
「今の時代…
 総ジャーナリスト時代とか言われている感じなのですが…」
朝倉
「本当にSNSは敷居を下げて参入しやすくしたのは良いのだけど…」
「情報受発信交流に対するモラル意識の共有がないままに…
 いがみ合いをしている感じはいただけないよな…」
伊島
「日本が考える教育をしてこなかった弊害が出ている気もしますね…」
朝倉
「それは…
 何も日本だけの風潮ではない…
 中国にロシア等が代表例にはなるが…
 独裁体制国家にはありがちな風潮だと思う…」
伊島
「言われてみれば…
 今の日本も自民党独裁と言っていい様な状態ですからね…」
朝倉
「本当に良い政治とはどういうものなのか…」
「今の世界情勢を観ていると年々分からなくなってくる。」
伊島
「本当に良いジャーナリズムと言うのは…」
「みんなに日々大切なものは何なのかを考えさせる事なのかも…」
朝倉
「確かにな…
 でも…
 ジャーナリズムの役割はそれだけではない…」
「日々している事のプランドゥシーチェックアクションの
 より良いアップデートの為の判断材料を用意して、
 一人一人により良い選択をしてもらい、
 日々良い一日にしてもらう為の手伝い・手助けをする事なのだと思う。」
伊島
「考えるだけではダメで…
 その先の行動にまで繋げないといけないのですね…」
朝倉
「考える事も大切なのだよ…
 でもそれで終わっても…
 もったいないなというだけで…」
伊島
「出来得る限り高みを目指そうという訳ですね…」
朝倉
「そういうことだ…」
「詩歌の世界もある意味ジャーナリズムな気も俺はするけどな…」
伊島
「確かに平和で恙なく暮らしていく事が出来ないと…
 日々良い作品が出来ても…
 失われていく作品も決して少なくは無いですからね…」

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