見出し画像

【作品#27】『空の冒険』

こんにちは、三太です。

最近は詩の授業をしていました。
教科書に3編の詩があって、生徒一人ひとりが語り合いたい詩を選び、グループで語り合うという授業をしました。
普段あまり詩を読まない生徒が多いですが(私も含め)、そんな生徒が詩について熱く語り合う姿は良いなと思った今日この頃です。
 
では、今回は『空の冒険』を読んでいきます。

初出年は2010年(9月)です。

集英社文庫の『空の冒険』で読みました。

あらすじ

ANAグループ機内誌『翼の王国』の連載の文庫化。
旅や上京をテーマにした12本の短編と11本のエッセイからなる作品です。
短編は現在と過去を行き来しつつ、展開するものが多いです。
エッセイはフランス、アメリカ、ブータンなど外国に訪れて感じたことや、『悪人』という作品を巡る旅で出会ったものなどについて述べられます。

公式HPの紹介文も載せておきます。

ANAグループ機内誌『翼の王国』の連載をまとめた『あの空の下で』に続く、“空”シリーズ第二弾。映画のタイトルを冠にしたショートストーリーと、自身の旅の記憶を綴った二部構成。一目惚れした香港人のガールフレンドの帰省に付き合い、一族で食事をいただく『恋人たちの食卓』、同僚に紹介された女性との恋の行方を、気にしたこともなかった星占いにたずねてみる『桜桃の味』。派手でドラマチックな事件などひとつも起こらない。路上や食卓、職場。ありきたりなロケーションで、足を止めたくなる出来事たちを閉じ込める。ブータン、ニューヨーク、台北、自身の旅先での風景も、ショートストーリーと変わらない。双子のようなエッセイと小説がひとつの作品集に収められている。

出てくる映画(ページ数)

①「女が階段を上る時」
②「緑の光線」
③「居酒屋」
④「火まつり」
⑤「オール・アバウト・マイ・マザー」
⑥「山の音」
⑦「恋人たちの食卓」
⑧「ドライ・クリーニング」
⑨「青の稲妻」
⑩「赤い橋の下のぬるい水」
⑪「ほえる犬は噛まない」
⑫「桜桃の味」

全て短篇のタイトルです。

⑬「恋人までの距離」(p.161)

ヨーロッパの電車の座席というのは基本的に向かい合わせである。今回のように一人旅だとどうしても知らない人と向かい合わせになる。正直、気詰まりである。「でも、だからこそ『恋人までの距離』みたいな物語が生まれるんですよー」と、恋愛武闘派のライターT嬢などは簡単に言うが、万が一相手がジュリー・デルピーでも、こちらがまったくイーサン・ホークではないのだから状況は変わらない。

⑭「海角七号」
⑮「タイタニック」(p.202)

年に数回は訪れるほど台湾が好きなのだが、当然、台湾でもたまに映画を見る。一昨年のことになるが、台北で『海角七号』という映画を見た。これは日本の台湾統治時代に起こった日本人男性と台湾人女性の悲恋と、現代の台湾人男性と日本人女性の恋を重ねるように描いた映画で、台湾では『タイタニック』に次ぐ興行収入があったらしい。

⑯「世界」(p.221) 

ますますヒートアップする商談の盗み聞きにも飽きて、ホテルのスタッフが(こちらもやけに)熱心に推薦してくれた『世界の窓」というテーマパークに向かうことにした。
ここは世界中の名所(たとえばエッフェル塔とか、アンコールワット遺跡とか、NYの摩天楼とか)のミニチュア版を見て歩く巨大なテーマパークで、二〇〇四年に公開されたジャ・ジャンクー監督の『世界』(実際には北京郊外の『世界公園』が舞台)でも描かれている。

⑰「悪人」(p.235) 

この道を、僕らよりも先に、(僕らよりも)過酷な状況で進んだ人たちがいる。それは映画『悪人』のスタッフたちで、彼らはすでに一週間もこの灯台に連日通っている。映画撮影用の重い機材を毎朝抱えて運び、撮影後は真っ暗になる山道をやはり重い機材を抱えて戻る。

今回は以上の17作です。
「悪人」はすでに見ているので、これから16作見ていきます。 

感想

まず、短編のタイトルが全て映画のタイトルでもあったことに驚きました。
『あの空の下で』も映画のタイトルが使われていたので、まさかと思って調べてみると見事に全て映画でした。
公式HPのあらすじには載っていたので、隠しているわけではないと思いますが、こちらはそれを知らなかったので気づいたときには「お~マジか・・・すごい・・・」となりました。
映画と短編のつながりは今後映画を見ながら探していきたいです。
短編については一言感想をまとめていきます。

「女が階段を上る時」→しんどい時に心の支えとなった元アイドル
「緑の光線」→素直に生きる人達に背中を押される
「居酒屋」→人生の酸いも甘いも感じる居酒屋でのひととき
「火まつり」→口下手で、でも良い奴な白井にまつりで会おう
「オール・アバウト・マイ・マザー」→母と娘の関係は世代を超えて続く
「山の音」→山でゆっくり過ごし現実を考える
「恋人たちの食卓」→新入生に優しく対応
「ドライ・クリーニング」→弟と似ている俳優志望の米谷くん
「青の稲妻」→順風満帆からの不採用、そして挑戦
「赤い橋の下のぬるい水」→良い雰囲気からの急展開
「ほえる犬は噛まない」→意味深な犬の登場
「桜桃の味」→さくらんぼの味とともにメールも来た

また、エッセイも良かったです。
エッセイにもいくつか映画ネタが出てきました。
行定勲監督との出会いや海外の旅先で映画館に入るエピソードなどです。
言語がわからずとも雰囲気で映画を味わうという方法もあるんだと気づきました。
あと、『悪人』を巡る旅も良かったです。
どちらもやってみたいです。
 
緑青赤君色で染める夏

以上で、『空の冒険』の紹介は終わります。

では、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

この記事が参加している募集

#読書感想文

189,568件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?