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【映画#50】「処刑人」『悪人』より

こんにちは、三太です。

今回の映画紹介でちょうど50回目となりました。
だからといって、何かあるわけではなく、粛々とこれまで通り映画を見続けていくわけなのですが、やはり50回目は節目とは言えると思います。
というか、やはり吉田修一作品にはたくさんの映画が出てくることがここからもわかります。
まだ作品自体は3分の1程しか進んでいません。
これからもたくさんの映画に出会えるという期待を胸にnoteを続けていこうと思っている今日この頃です。

では、今日は『悪人』に出てきた映画、「処刑人」を見ていきます。
『悪人』に出てくる7作の映画の内の2作目です。

基本情報

監督:トロイ・ダフィー
出演者:コナー・マクマナス(ショーン・パトリック・フラナリー)
    マーフィー・マクマナス(ノーマン・リーダス)
    ポール・スメッカー(ウィレム・デフォー)
    イル・ドゥーチェ(ビリー・コノリー)
上映時間:1時間48分
公開:2000年

あらすじ

サウスボストンの教会に通う二人の男性。
この二人はマクマナス兄弟と言います。
精肉加工場で働く、少しけんかっぱやい、けれども普通の青年でした。
しかし、あるバーでのロシアン・マフィアとのいざこざがもとで、殺し合いの螺旋に巻き込まれていきます。
いや、巻き込まれていくというか自分たちから加わっていったという風にも見えます。
そして、いろんな事件を起こしていきます。
事件が起こるたびに、FBIのスメッカー捜査官が鋭い推理をして、犯人を追い詰めていきます。
ただし、この話はただ犯人を捕まえるというだけではなく、彼らの犯罪の動機が大きく作品のテーマへと関わっていきます。

設定

・まず事件が起こる。そしてそれをスメッカー達が推理する過程で、その事件の全貌がわかっていく(=その映像が流れる)
→この流れが繰り返される。
・犯人側と警察側が完全に敵対しない。
・ただシリアスなだけでなく、少しコメディ要素もある(ロッコというイタリアンマフィアなど)

感想

マクマナス兄弟は信仰の名のもとに、悪事をはたらくもの(例えば、マフィアなど)を殺し続けます。
この光景を見て、正義の名のもとに他国へ戦争をしかける国の構図とつなげて見てしまいました。
マクマナス兄弟は最後の場面でこのような行動をいつまで続けられるか自分達自身に問います。
それを聞いたイル・ドゥーチェという殺し屋は「神を信じていれば続けられる」と答えるのですが、果たしてどうなのでしょうか。
最後に、事件に対する街の人たちの意見が流れるのですが、ノーコメントも含め、賛否両論があふれかえります。
どこかコメディ要素もある映画なのですが、問われているものは深いと感じました。

兄弟はあの国のよう鷹の鈴

その他

・ポール・スメッカー役を演じていたウィレム・デフォーは「ワイルド・アット・ハート」のボビー・ペルー役もしていた。

『悪人』内の「処刑人」登場シーン

大した用件ではなかった。圭吾は来週のゼミの試験が何時からなのかを知りたがっていたはずだ。たしか前の晩、「処刑人」という映画をビデオで観ていた。その話を圭吾にしようと思っていたら、電話が切れてしまった。

『悪人』(上巻 p.122) 

これは増尾圭吾の友達、鶴田公紀が語り手となっているシーンの一節です。
鶴田は将来映画を撮りたいという夢があります。
このような人物が設定されているところからも吉田修一さんと映画とのつながりが見えてきそうです。
このあとも鶴田の語り関連でいくつか映画が出てきます。

吉田修一作品とのつながり

・罪(マフィアをたくさん殺す)
・同性愛(スメッカーは同性愛者の設定)

以上で、「処刑人」については終わります。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

画像の出典:映画ドットコム「処刑人」

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