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【映画#49】「バトル・ロワイアル」『悪人』より

こんにちは、三太です。

今週、久しぶりに校内の研究授業を行うことになりました。
直前に天候の関係で、あれこればたばたしていたので少し予定が立ちにくく若干困っています。
けれども、一応今回は単発の授業なので、その日さえなんとかなればやり切れそうです。
タブレットのアプリを使って行う初めての試みなのでうまく行くかどうか・・・。
最後まで準備をやり切って臨みたいと思っている今日この頃です。

では、今日は『悪人』に出てきた映画、「バトル・ロワイアル」を見ていきます。
『悪人』に出てくる7作の映画の内の1作目です。

基本情報

監督:深作欣二
出演者:七原秋也(藤原竜也)
    中川典子(前田亜季)
    川田章吾(山本太郎)
    キタノ(北野武)
上映時間:2時間2分
公開:2000年

あらすじ

国力が衰え、少年犯罪も増え、新世紀教育改革法という法律が制定された日本。
その法律の名のもと、無人島で最後の一人になるまで殺し合う理不尽なゲームに強制参加させられた3年B組の42名。
3日間のうちに、生き残った一人にならないと、首につけられた輪っかが爆破してどちらにしても全員死ぬというルールです。
主人公は42名の中の生徒の一人、藤原竜也さん演じる七原秋也
彼は小学校の時に母親が失踪し、中学校の入学式の日に父親が首をつって自殺をしたという過去を持ちます。
ただ、そんな過去を感じさせないほど強く生きていました。

展開自体はそれほど難しくはなく、本当に殺し合いが起こっていきます。
生徒一人一人には色んな背景があります。
いじめられていた生徒、いじめていた生徒、幼い時に性的な暴力を受けそうになった生徒、お互いを思い合っている生徒・・・。
それぞれの背景を抱えつつ、残酷にもゲームは進行するのです。

設定

・クラスメイトで殺し合う
・閉鎖的な空間
・中学生

感想

有名な作品なので、話の展開自体は知っていました。
概ね想定通りという感じだったのですが、結末を含めやはり知らない細部もあったので、その点はより興味深く見ることができました。
ただ、グロテスクな表現も多く出て来るので見る人は選ぶかなとは思います。
銃で撃ち合うシーンが何回かあるのですが、そんなに人間ってしぶとく生きるのかなという疑問はありました。
キャストとして面白かったのは、殺し合いの現場を司る先生役を北野武さんがしていたことです。
生徒同士が互いに殺し合うという非現実的な設定の中、北野さんだけどこか現実感がありました。
もう一つは謎の転校生が二人いるのですが、そのうちの一人を山本太郎さんが演じているということです。
この役は物語の展開上かなり重要な役割を果たしています。
ちなみにもう一人の転校生は桐山和雄という人物で彼が「なぜ人殺しを続けたのか」は自分的には最後まで謎でした。
程度の差こそあれ、誰かが死ぬと仲間だった者同士が殺し合ってしまうのは、コロナ禍でトイレットペーパーを買い占めてしまう心理と共通すると感じました。
個人は頭で分かっていても(トイレットペーパーはなくならないだろうとわかっていても)、集団の心理は止められないというような。(買われる前に買ってしまわないと自分も困るし)
明確な希望はなく、でも全てが全て絶望に覆われているわけでもありません。
観るものに「踏み出せ」というメッセージを感じさせる映画でした。

月冴ゆる孤島の十五武器を持ち

その他

・中学生たちの日常にバスケットボールがけっこう食い込んでいる。
(バスケットボールのクラス対抗戦みたいなシーンが何回も出たり、のぶと呼ばれている生徒が家で読んでいる漫画が『スラムダンク』だったりします)

ウィキペディアより
→第43回ブルーリボン賞作品賞を受賞。
→中学生同士が殺し合いをするという原作の内容から、青少年への悪影響を危惧され、また上映開始年となった2000年は西鉄バスジャック事件を初めとする少年犯罪が社会的注目を集めている時期でもあった。
実は『悪人』にも西鉄バスジャック事件を思わせる記述が出てくる。
吉田修一さんはこの当時少年問題に関心を持っていたかもしれない。

→映画『バトル・ロワイアル』は、西洋の批評家から高い評価を受けた。

『悪人』内の「バトル・ロワイアル」登場シーン

コンビニの外、雨に濡れた街の景色が重かった。さっきまで男との行為を恥ずかしげもなく語っていたくせに、佳乃はレジで会計を済ますと、最近観た「バトル・ロワイアル」という映画の暴力シーンが残酷すぎて気分が悪くなった、と別の話を始めていた。「じゃあ、その人とはもう会う気ないん?」と眞子は訊いた。

『悪人』(上巻 pp.102-103)

これは保険外交員の佳乃が同僚の眞子とコンビニに行って会話をしたときのシーンです。
このシーンの直前に佳乃は眞子に祐一との「破廉恥な話」をしています。
佳乃はすぐに話を切り替えていますが、眞子は少し想像をしてしまいます。
佳乃と眞子の経験の違いがここからは分かってきます。

吉田修一作品とのつながり

・自分を犠牲にして誰かを救うという行動は『悪人』の最後の祐一の行動と通じるものを感じました。

以上で、「バトル・ロワイアル」については終わります。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

画像の出典:映画ドットコム「バトル・ロワイアル」

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