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【映画#70】「アウグスト・ザンダー」『キャンセルされた街の案内』より

こんにちは、三太です。

暑い日が続いていますね。
黒色の車に乗っているのですが、昼間に乗り降りするとそれだけで汗をかき、とんでもなく暑かったです。
5月中旬でこの暑さだと、このあとどうなっていくのかなと少し不安な今日この頃です。

では、今日は『キャンセルされた街の案内』に出てきた映画、「アウグスト・ザンダー」を見ていきます。
『キャンセルされた街の案内』に出てくる2作の映画のうちの2作目、ラストです。

基本情報

監督:ライナー・ホルツェマー
上映時間:44分
公開:2002年

今回は特にこの人が出演者という人はいません。
もちろんアウグスト・ザンダーのドキュメンタリーなので、本人が出演しているとはいえると思います。
また、ザンダーが収めた多くの写真に写っていた人々も出演者の一人と言えるかもしれません。

あらすじ

ドイツの偉大な写真家、アウグスト・ザンダーのドキュメンタリー映画。
ザンダーは1876年生まれで1964年に亡くなりました。
つまり、二度の世界大戦を経験しています。
父親は鉱山技師で、ザンダーはそれほど裕福ではない家庭に育ちました。
15歳で学校を卒業し、自らも鉱山で働いていたときに、偶然鉱山に来たプロの写真家に魅せられ、写真家を目指すようになりました。
ザンダーには人をレンズに向ける才能がありました。
戦争、特にナチスの影響を大きく受けながらも、ザンダーは市井の人たちを撮り続けていきます

設定

・ドキュメンタリー
・写真家
・戦争の影響

感想

ザンダーの写真に特徴的なのは、人物をメインに撮るということです。
それも笑顔ではなく、真剣な表情を撮りました。
その写真からは一人一人の人生が浮き上がってくるようです。
このドキュメンタリーでは、そのような写真が何枚も写されます。
そして、それは本当にいわゆる普通の人です。

ザンダーの写真、そして人生には戦争の影響が色濃く反映されています。
例えば、戦時には第三帝国にいないことにされていた社会的弱者も写真に収めていました。
また、ザンダー自身、息子を牢獄に入れられ、そこで獄死させてしまったという大変つらい出来事も起こっています。
ただ、そのような出来事がありつつも、自分の信念を貫き、生涯写真を撮り続けたのがザンダーだったのです。

真剣な人・人・人と夏の空

その他

・ウィキペディアより
→ザンダーの写真には風景、自然、建築、街角を撮った写真もあるが、最も有名なものは、『Menschen des 20. Jahrhunderts』シリーズによって実証される「人物写真」である。

『キャンセルされた街の案内』内の「アウグスト・ザンダー」登場シーン

今日、六本木でDVDを買った。アウグスト・ザンダーという写真家を扱ったドキュメント映画だ。特に好きな写真家というわけでもなかったが、レジ脇の棚にぽつんと展示してあったので、なんとなく棚から手にとると、裏にこんな説明が書いてあった。

『キャンセルされた街の案内』(p.181)

これは前回の映画「カポーティ」と同じく「灯台」という短編の一節です。
ちなみに、説明には次のように書かれています。

「1910年代より、自分が出逢ったあらゆるタイプの人間の個性や特徴を記録しようと、ヴェスターヴァルト地方で人々の肖像を撮り始めたドイツ人写真家アウグスト・ザンダー。1929年、『時代の顔』という写真集がまとめられ、大きな評判となるが、『第三帝国には美しい人間しか存在しない』とするナチは、この写真集も印刷原版を廃棄・・・」

『キャンセルされた街の案内』(pp.181-182)

短編ではこの説明のあと、DVDについての思考はプツンと切れ、連れとの会話に戻ります。
それこそこの映画の内容が、短編に写真のように差し挟まれます。

吉田修一作品とのつながり

・世之介の職業(『キャンセルされた街の案内』の次に書かれた作品が『横道世之介』)
→きっとつながっていると思います。

・人間に注目するということ(吉田修一さんの小説に対する姿勢)

以上で、「アウグスト・ザンダー」については終わります。
今回は吉田修一作品との深いつながりのあると考えられる映画でした。
そのつながりを感じられて良かったです。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

画像の出典:ウィキペディア・august sander photographs  

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