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【映画#84】「ほえる犬は噛まない」『空の冒険』より

こんにちは、三太です。

先週、ついにコロナにかかりました。
丸4日間ぐらい熱で寝込んでしまったので、心身ともにけっこうやられました。
そして、未だ味覚が20%ぐらいしか戻っていません…
いつか戻るだろうとは思っていますが、現段階ではそれがいつか分からず、けっこうつらい状況です。
SNSでコロナの注意報・警報について話題になっていますが、確かに天気と同様それも分かれば、危ないときにはもう少し対策もできるのかなと思いました。

では、今日は『空の冒険』に出てきた映画、「ほえる犬は噛まない」を見ていきます。
『空の冒険』に出てくる17作の映画のうちの11作目です。


基本情報

監督:ポン・ジュノ
出演者:ヒョンナム(ペ・ドゥナ)
    ユンジュ(イ・ソンジェ)
    ウンシル(キム・ホジョン)
    チャンミ(コ・スヒ)
    ピョン警備員(ピョン・ヒボン)
上映時間:1時間49分
公開:2000年

あらすじ

韓国のあるマンションが舞台。
そこに住む大学院生のユンジュは教授ポストへの道を探っていますが、なかなか上手くいかずストレスのたまる日々を送ります。
妻のお腹には子どももでき、その妻には生活費を稼いでもらっているということもあって尻に敷かれる毎日。
そのイライラを、マンションのルールでは飼ってはいけない、けれど飼われている犬に向けます。
そして犬を連れ去り屋上から落とそうとします。
結局一匹目は落とせず、マンションの地下に隠します。
そして、また凶行に及びます。

そのマンションの管理人室で働く商業高校卒の女性ヒョンナム
その仕事があまり面白くないのか、何かをきっかけにテレビに出演できないかと夢見る日々。
そんな折に屋上から目撃した犬投げ落としの現場。
犯人を追いかけるヒョンナム。

この二人のある種似たようなイライラとマンションに住む変わった人達、そして社会的問題が混ぜ合わさってこの映画は展開していきます。
そして、なんとあれだけ犬を毛嫌いしていたユンジュの妻が犬を飼い始めたところから、二人の物語は奇妙な形で重なっていきます。

設定

・マンションが舞台
・酒と賄賂とコネの世界
・友達が最強

感想

ユンジュが屋上から犬を落とそうとするシーンは序盤なのですが、その出だしからヤバイ雰囲気がプンプンしていました。
一見ユンジュはそんなことをしなさそうな真面目で優しそうな人に見えるというのもあります。
展開としては、こうじゃないかなと思わせておいて逆を突くというのがいくつかあるなと思いました。
例えば伏線が上手く使われて最後にユンジュが死んだんじゃないかなと思うシーンがあるのですが、実は生きていたりというようなものなどがあり、意表を突くのが上手いなと感じます。

ユンジュは一人と一匹の死に加担します
その罪をどう償うのかは最後のユンジュの顔から読み取るべきなのかなと思いました。
無事教授になって学生に講義する部屋から外を眺めるシーンが最後にあります。
その外の景色はマンションからの景色に似ていて、それは犬を放り投げた場所であり、そこをとても悲しげな眼で見つつ、講義のためカーテンは閉められていくというのは、心の重しとしてあの事実はありつつも、それを強引に閉じているということなのかなと思います。

警備員のおっちゃんがなかなか曲者でした。
地下で勝手に鍋をしてたり、その鍋にはいなくなった犬を入れようとしていたり・・・。
ヒョンナムを演じるペ・ドゥナが主演する映画を見るのは2作目です。
前回はこちらを見ました。

どうでもいいかもしれませんが、こちらは猫ですね・・・。

そのときにも少し調べてはいたのですが、今回話が進むにつれ、どんどん魅力的になっていきました。
ファンの方が多いのもうなずけます。

伏線も丁寧に回収されていき、見応えのある映画だったと思います。

院生の後ろ姿に夏終わる

その他

・韓国映画。

・ウィキペディアより
→映画監督ポン・ジュノの長編映画デビュー作

『空の冒険』内の「ほえる犬は噛まない」登場シーン

短篇のタイトルの一つとして出てきます。
 
吉田修一が書いた「ほえる犬は噛まない」は藤井里佳という語り手が失恋をして、週末二泊三日のソウル旅行に一人で出かける話です。
里佳には大学時代の同級生で七年間東京と福岡で遠距離恋愛をしてきた彼がいました。
結婚の話も出ていましたがお互いのタイミングが合わず、それでもいつかきっとできると思っていました。
それが二ヶ月前、彼に「好きな人ができた」と告白され、彼はそのまま一気にゴールイン。
映画との共通点としては、「舞台が韓国ということ」「物語上、犬が重要な役割を果たしているということ」が挙げられると思います。 

吉田修一作品とのつながり

・色んな要素が盛り込まれた感じが『空の冒険』の次作『平成猿蟹合戦図』につながる、というか似ているように思いました。
 あくまで雰囲気がということですが・・・。
・罪を扱うこと

以上で、「ほえる犬は噛まない」については終わります。
ポン・ジュノ監督のデビュー作を見られて良かったです。
「パラサイト」とは「地下」というモチーフがつながりますね。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

画像の出典:映画ドットコム・Amazon「ほえる犬は噛まない」

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