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【閑話休題#15】「ロックンロールミシン」

こんにちは、三太です。
今週は一気に気温が下がり、過ごしやすくなりました。
これからしっかりと秋を堪能していきたいと感じている今日この頃です。

では、今日は閑話休題ということで、行定勲監督、モラトリアム三部作の1作品目である、「ロックンロールミシン」を見ていきます。
この3作品目が映画「パレード」であり、おいおい2作目の「きょうのできごと a day the planet」も見ようと思っています。

基本情報

監督:行定勲
出演者:賢司(加瀬亮)
    凌一(池内博之)
    つばき(りょう)
    かつお(水橋研二)
上映時間:1時間59分
公開:2002年

あらすじ

会社員の賢司はレストランで偶然、高校時代の同級生である凌一に出会います。
凌一はつばきかつおという仲間と、デザイナーズ・ブランドを立ち上げ、夢を追いかけていました。
仕事も恋愛もあまり上手くいっていない賢司は、夢を追いかける凌一たちの生き方に影響されていきます。
そして、賢司はついに会社を無断欠勤し、凌一達と活動をともにします。
まさにここからがモラトリアムになります。

はじめは順調に夢を追いかける賢司と凌一達。
しかし、彼らの活動も金銭面で苦境に立たされます。
服を作れば作るほど、赤字が出てしまうのです。
そして、凌一の前にある謎の男が現れ、凌一を別のデザイン会社に引き抜こうとします。
彼らのモラトリアムはどうなっていくのでしょうか。
そして、賢司の恋愛はどうなるのでしょうか。

設定

・モラトリアム
・デザイナーズ・ブランド
 →少し内容が映画「unzipped」とも重なる面があります。

感想

まさにモラトリアムを扱った作品だと感じました。
そのモラトリアムは順調に進みさえすれば、どこか天国のようです。
けれども、やはりその天国のような生活にはいずれ終わりがきます。
ただし、モラトリアムは終わりますが、最後にそれは美しく結晶したようにも感じました。
それを描くために、ずっと謎であった外国人達の存在が効いていました。

凌一達の仕事場は草に覆われたマンションであり、そこには外国人達がたくさん住んでいました。
凌一達が仕事の休憩時間などに屋上にいると、一緒に踊ったり、宴会をしたりします。
あまり話の本筋とは関係ないのに、なぜこんなシーンが出てくるのだろうと思っていたのですが、ラストに大いに関係していました。

また、この草に覆われたマンションに行くために、賢司や凌一達は下り坂を通っていきます。
このシーンも何度も出てきて、彼らの仕事場、そして夢を追いかけているこのモラトリアムの時期が天国(あるいは俗世間とは遠い場所)だと表す一つの仕掛けだと感じました。

実は最後に、賢司は元いた会社に戻っていきます。
そして、モラトリアムの時期にも彼女とつばきさん、どちらとも曖昧な関係を続けていました。
この点については、少し都合が良すぎるのではないかと感じました。(それがモラトリアムだと言われればそうかもしれませんが・・・)

美しきモラトリアムよ秋夕焼

その他

鈴木清剛『ロックンロールミシン』(第12回三島由紀夫賞受賞作品)が原作。

以上で、「ロックンロールミシン」については終わります。

確かにモラトリアム三部作の1作目ということで、ザ・モラトリアムが描かれていました。
そこは少し「パレード」と違う面かなとも感じました。
2作目も楽しみにしたいと思います。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

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