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【映画#99】「殺人の追憶」『作家と一日』より

こんにちは、三太です。

最近、漫画をよく読んでいます。
先日も書店で見かけて面白そうだったものをいくつか買って読みました。
いずれも読んでみて面白く、当たりでした。
読んでいて気づいたのは、漫画でも(でもというとちょっと違うのかもしれないですが)参考文献があると信頼感が増すということです。
これまで読んできた『ゴールデンカムイ』『リエゾン』をはじめ、今回読んだ『ENDO』も充実した参考文献リストがあります。
知のリレーを感じられるのが良いんだと思います。

では、今日は『作家と一日』に出てきた「殺人の追憶」を見ていきます。
『作家と一日』に出てくる6作の映画のうちの3作目です。


基本情報

監督:ポン・ジュノ
出演者:パク・トゥマン(ソン・ガンホ)
    ソ・テユン(キム・サンギョン)
    パク・ヒョンギュ(パク・ヘイル)
上映時間:2時間11分
公開:2003年

あらすじ

1986年~1991年にかけて実際に起きた未解決殺人事件をもとにしたサスペンス映画。
韓国のある田舎町で女性が強姦され、殺される事件が続きます。
雨の日、ラジオで流れる同じ曲、そして殺された女性は皆赤い服を着ていたという共通点。
容疑者の自白だけでは事件の解決は難しく、事件の目撃者を探しますが、捜査は難航します。
そんな中ラジオへの投稿者の住所がわかり、一気に事件が動き出すかと思いきや・・・。
捜査の過程で追い詰められていく刑事たちの描写が秀逸でした。


       左がパク・トゥマン、右がソ・テユン

設定

・実話がベース
・主題のずれ
・社会的課題

感想

面白かったです。
何かがすっきり解決するというわけではないのに、面白いなと思える演出となっているのはポン・ジュノ監督さすが!という感じです。
と同時に、重たい感じもとても残りました。
とにかく警察の捜査の仕方がひどい。
事情聴取は半ば拷問のようなものです。
冤罪も平気で起こしますし。
ただ、どことなく暗いだけではない、ユーモラスな感じもあって不思議でした。
この事情聴取などには映画の冒頭のナレーションにもあった「軍事政権のもと民主化運動に揺れる韓国」という韓国のある時代の雰囲気が出ているのだと思いました。

また映画の中では対比の構造も描かれていました。
例えば、田舎と都会、高学歴とそうでないものなどです。
しかし、対比はそのままずっと対比されているわけではなく、ソウルから来たソ刑事は事件が長引くにつれ、ソ・ガンホ演じるパク刑事など田舎警察のやり方に染まっていきます。
そこには警察の追い詰められていく感じが表われているのだと思いました。
またソ・ガンホだけでなくソ刑事を演じるキム・サンギョンのラストの演技もとても胸に迫る良いものだったと思います。

ゴリ押しの田舎警察冬ざるる

その他

・ウィキペディアより
→軍事政権下1980年代後半に発生し、10人の犠牲者を出した華城連続殺人事件を巡る刑事たちを描いている。

→当初未解決であったが、実際の犯人が2019年に判明している。

『作家と一日』内の「殺人の追憶」登場シーン

内容としては、ソン・ガンホ(『殺人の追憶』や『グエムル』の主演俳優)似の、やんちゃなお兄ちゃん風の男性が司会で、若く可愛らしい男女のタレントさんを連れ、毎回韓国の地方を訪ねて、そこで一泊二日するというものだ(と思う)。

『作家と一日』(p.51)

これは「各国のバラエティ番組」というエッセイの一節です。
このエッセイでは吉田さんが旅先でその国のテレビ番組をよく見るという話がされます。
この引用箇所では韓国の番組の紹介がされています。
映画のことは、特に本文の内容とは関係なく、ソン・ガンホ似ということを言いたかっただけかなと思いました。
しかし、どちらもポン・ジュノ監督の作品であり、以前には「ほえる犬は噛まない」というポン・ジュノ監督の長編映画デビュー作も出てきました。

吉田さんはきっとポン・ジュノ監督の作品が好きなんだと思います。

吉田修一作品とのつながり

湖の女たちの警察もこんな感じだったのではないかと思います。
再読して確かめたいと思います。

以上で、「殺人の追憶」については終わります。
次もポン・ジュノ監督の作品が続くので楽しみです。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

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