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【映画#51】「死刑台のエレベーター」『悪人』より

こんにちは、三太です。

先週は天候が乱れていて、学校も色々とバタバタしていました。
ようやく日常を取り戻しつつあります。
そんなことを考えていると、学年末考査が近づいてきました。
ボチボチとテスト問題も作っていこうと思っている今日この頃です。

では、今日は『悪人』に出てきた映画、「死刑台のエレベーター」を見ていきます。
『悪人』に出てくる7作の映画の内の5作目です。
3作目の「夏物語」、4作目の「クレールの膝」はまだ見られていません。

基本情報

監督:ルイ・マル
出演者:ジュリアン(モーリス・ロネ)
         フロランス(ジャンヌ・モロー)
    シェリエ警部( リノ・ヴァンチュラ)
音楽:マイルス・デイヴィス
上映時間:1時間31分
公開:1958年

あらすじ

不倫関係にある男女が待ち合わせの約束をしている電話のシーンから始まります。
男性の名はジュリアン・タベルニエ
女性の名はフロランス・カララ
ジュリアンはカララの夫が社長をしているカララ商会で働いています。
そして、どうやら二人にとって邪魔な社長を殺そうとしていました。
首尾よくジュリアンは自殺に見せかけて社長を殺しました。
そして待ち合わせに向かおうとしていた時、犯行で使った縄がベランダに出たままになっていることに気づきます。
あわてて隠しに戻ったときに使ったエレベーターの中で、タイミング悪く閉じ込められてしまいます。
ここから運命の歯車が狂いだしていきます。

実はもう一組のカップルがこの運命に関わってきます。
花屋の娘ヴェロニカと恋人のチンピラ、ルイです。
二人はジュリアンが乗るはずだったオープンカーを強奪して逃避行を行います。
その逃避行のさなか、ある事件が起こります。
この事件と社長殺害の事件が複雑に絡み合っていくのです。

設定

・ちょっとしたズレで運命が変わる
・恋愛もの
・サスペンス
・タベルニエは大尉だった(もともと軍人だった)=戦争が関わる

感想

二つの事件が複雑に絡み合い、けれども最後にその複雑な絡み合いが見事に解けていく様がすごかったです。
ジュリアンとフロランスはお互いを愛し合っているだけなのに、どうしてこうなってしまうのかなと思いました。
別に社長を殺さなくてもいいのではないかと思ってしまいます。
けれども、殺さざるをえない事情はあったのでしょうが・・・。
確かに社長はちょっと嫌な感じの奴かなと思いましたが、それでも・・・。
死刑台のエレベーターというタイトルを考えたとき、それはジュリアンにとってというよりも、まわりまわってルイに対してだったのかなと思いました。
あのときにエレベーターが動いていれば・・・その前に縄を忘れていなければ・・・他にもたくさんの運命の分岐点があって、人生のままならなさを思い知らされます。

一つよくわからなかったのは、ルイ、ヴェロニカとドイツ人のカップルが近づいていったところです。
高速道路の運転で張り合っているのかなと言うぐらいはわかったのですが、ではなぜそこから一緒にホテルに入るのかなと。
普通仲良くならないですよねと。
ドイツからフランスに来ているから心細くて、話す人が欲しかったのですかね。
そこらへんの細かいニュアンスがもっとくみ取れるようにもなっていきたいです。

運命の岐路は彼方へ雪煙

その他

ウィキペディアより
→フランス映画。
→ルイ・デリュック賞受賞。
→ノエル・カレフのサスペンス小説が原作。
→ヌーヴェル・ヴァーグの初期の作品として有名になるが、マルは『カイエ・デュ・シネマ』誌とは一切関わりを持っておらず、ヌーヴェル・ヴァーグ運動には参加していない独立の作家であるという見方もある。

『悪人』内の「死刑台のエレベーター」登場シーン

仲の良い同級生が女を殺して逃走している。言葉にすると、かなりドラマティックな物語に巻き込まれているのだが、日常は至って平凡で、こうやって大濠公園の見下ろせる部屋にこもり、「死刑台のエレベーター」や「市民ケーン」など好きな映画を観ているだけだ。その上、寝る前には必ずエロビデオに切り替えて、きちんと精を放つ。 

『悪人』(上巻 p.249)

これも前回の「処刑人」と同じく、増尾圭吾の友達、鶴田公紀が語り手となっているシーンの一節です。
この時点では、三瀬峠での事件の容疑者として増尾が警察から捜査されています。
ただ、鶴田はいつも通りの生活を送っているということを説明するくだりで映画が出てきました。
「死刑台のエレベーター」を好きと言っているところからも、鶴田はかなり映画通なことが伝わってきました。
 

吉田修一作品とのつながり

・運命のいたずらが描かれていること。
(『悪人』と通じると思います。)
・罪

以上で、「死刑台のエレベーター」については終わります。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

画像の出典:映画ドットコム「死刑台のエレベーター」

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