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【映画#101】「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎」『作家と一日』より

こんにちは、三太です。

今週は勤務校でインフルエンザが猛威を振るい、学年閉鎖がありました。
ボチボチ落ち着いてきましたが、これからも気をつけていきたいと思っている今日この頃です。

では、今日は『作家と一日』に出てきた「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎」を見ていきます。
『作家と一日』に出てくる6作の映画のうちの5作目です。
ちなみに6作目は「恋する惑星」で既出なので、『作家と一日』に出てくる映画の紹介は今回がラストになります。


基本情報

監督:山田洋次
出演者:寅さん(渥美清)
    さくら(倍賞千恵子)
    三郎(沢田研二)
    蛍子(田中裕子)
上映時間:1時間46分
公開:1982年

あらすじ

今回の舞台は大分県湯平温泉。
友達と二人で観光に来ていた螢子(けいこ)
母の納骨で大分を訪れていた三郎
二人が温泉で出会い、三郎が螢子に一目惚れします。

                左が螢子、右が三郎


そして、偶然その二人の仲を取り持つことになった寅さんがその流れで恋の指南役を買って出るのですが・・・。
寅さんのキャラがなんとも言えず人間くさく、ステキで良い作品でした。

設定

・大分県
・家にいつかない
・素敵な家族

感想

有名な作品ですが、見るのは今回が初めてでした。
しかも、この作品はシリーズものの30作目で、それをいきなり見て楽しめるかなぁと思っていたのですが、めちゃくちゃ良かったです。
寅さんの言動に周りが笑うシーンは演技というよりも本当に笑っている感じがしました。
寅さんの家族が住む柴又の家の雰囲気もとても癒されます。
強いて言えば、シリーズもののお決まりみたいなものがあれば、それはわからないつらさはあるかなぁというぐらいです。

少し寅さんのキャラは横道世之介に似てるなぁと思いました。
良い人なんだけれど、良い人すぎないというか、どこか抜けていたり、変わっていたりもしつつ、やっぱりトータルでは良い人というような。
このような良いキャラが生まれるとそりゃシリーズ化しますよね。

この作品の一つの主題は「見た目」なのかなと思いました。
沢田研二演じる三郎は二枚目キャラで、寅さんはそうではありません。
途中、螢子の父が勘違いして「こんなの(寅さん)と付き合っているのか」というシーンがありますし、最後三郎と螢子が付き合うとなったときに、寅さんが「二枚目はいいなあ」と寂しげに言うシーンもあります。
若干螢子は寅さんに惚れてるのかな?と思えなくもない演出もあり、より寅さんの悲哀がクローズアップされた形となります。

柴又の家族は笑う冬夕焼

その他

・自家用車でサファリの中に入るシーンがあり、今ではあまり考えられないなと。

・ウィキペディアより
→本作で共演後、田中裕子と既婚者の沢田研二は不倫関係となり、1987年1月に沢田が妻・伊藤エミと離婚し、1989年11月に出雲大社で田中と沢田は式を挙げた。
→【感想】そういう意味で言うと、いわくつきの作品か。

『作家と一日』内の「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎」登場シーン

当時は思春期真っただ中の自分では大人だと思っているれっきとした子供だったので、せっかくの休日に親に連れられ血の池地獄だの海地獄だのを回っている自分がなんとも居心地が悪く、その居心地の悪さが別府という街の印象になっていたのだが、今回改めてれっきとした大人として訪れてみると、血の池地獄や海地獄の鮮やかな自然の色彩に感嘆し、おそらく当時は何の感慨もなかっただろう、鉄輪温泉街(『男はつらいよ』の舞台にもなった)の情緒溢れる風情に、猛暑が過ぎ去った秋の初め、初めて肌寒く感じた夜の毛布のような感触とでもいうのか、そんな肌触りを感じさせられた。

『作家と一日』(P.106)

これは「別府でタイ古式マッサージに開眼」というエッセイの一節です。
別府での思い出を振り返っている中で鉄輪温泉街というのが出てきます。
ただ、映画を見てみて思ったのは、主に出てくるのは湯平温泉だということです。
三郎と蛍子が出会うのが湯平温泉で、鉄輪温泉はエンディングにちょろっと出てくるぐらいでした。
逆に吉田修一さんが「男はつらいよ」の舞台になったと知っておられたのがすごいなと思いました。

吉田修一作品とのつながり

感想にも書いたように、キャラの良さで言うと、寅さんと世之介はつながるなと。

以上で、「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎」については終わります。
寅さんのキャラとそれを支える家族の雰囲気が素敵な作品でした。

ちなみに『作家と一日』に出てくる映画紹介はこれで終わりなのですが、一点気づいたことを指摘しておきたいと思います。
それは6作あるうちの1作目「永遠と一日」という映画と『作家と一日』のタイトルの類似性です。
もしかしてこの映画を参考に『作家と一日』というタイトルはつけられたかもしれないなと思ったので、最後に記しておきます。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

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