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【映画#55】「恋する惑星」『うりずん』より

こんにちは、三太です。

2月もあと2日となりました。
中学校は今3学期なのですが、この3学期は本当に時間が過ぎるのが早いです。
そろそろ卒業式も近づいてきます。
もうそんな時期なんだなとしみじみと実感している今日この頃です。

では、今日は『うりずん』に出てきた映画、「恋する惑星」を見ていきます。
『うりずん』に出てくる2作の映画の内の1作目です。

基本情報

監督:ウォン・カーウァイ
出演者:警官663番(トニー・レオン)
    フェイ(フェイ・ウォン)
    謎の金髪女(ブリジット・リン)
    モウ(金城武)
    CA(チャウ・カーリン)
上映時間:1時間40分
公開:1994年

あらすじ

二つの恋の話。
どちらにも共通するのは男が警察だということ。
そして、あるハンバーガーショップが舞台となること。
一つ目の恋の話。
路地裏をいく金髪、サングラスの女。


               金髪、サングラスの女

その女と「57時間後に恋をした」というナレーションで始まります。
警察の男の名はモウ。
金髪の女は娼婦のようで、知り合った西洋人から麻薬の密輸を手伝わされているような感じです。
けれども、その密輸は失敗します。
モウはメイという女性に失恋をしたあとのようです。
この二人があるバーで出会います。

二つ目の恋の話。
さきほどのモウも頻繁に訪れていたハンバーガーショップで、いとこの伝手によって働きだしたフェイという女性。


                      フェイ

このハンバーガーショップに通う警察官663番。(名前はありません)


                  663番とフェイ

663番はCAの彼女に別れの手紙を突きつけられた直後で、少しずつフェイに興味を持っていきます。
しかし、すぐには恋愛には発展しません。
二人の恋は奇妙な軌跡を描きます。

設定

・奇妙な恋愛
・二つの話
・男は警察官、女は罪を犯している。

感想

わかりやすい話かなと思いつつ見ていたのですが、意外と難しかったなというのが率直な印象です。
二つの話それぞれでタイトルから想像されるように、恋愛が描かれるのですが、それが一般的にイメージするような恋愛からは少し遠いからかもしれません。
少なくとも私はそう感じました。

そして登場人物も一風変わっています。
金城武演じるモウは涙の水分を枯らすために失恋をしたあとはジョギング(猛ダッシュ?)をします。
もう一つ彼はある日付が賞味期限のパイナップルの缶詰を買いまくって、その日が来るとひたすら食べ続けます。
ジョギングの方はわかるのですが、パイナップルのくだりが何を表すのかはなかなか難しいです。
トニー・レオン演じる警察官663番は家にあるものと話します。
例えば飛行機のおもちゃ、他にはぬいぐるみ。
ここらへんが難しさの源かなと思いました。

ただ一つ明確に感じたのは663番が仕事中に屋台で食べるチャーハンがとても美味しそうだということです。
逆にモウが金髪の女と一緒に入ったホテルで食べるサラダやポテトはやたらやけ食いな感じがして、それほど美味しそうには感じなかったですね。

春昼や炒飯かきこむ屋台ごと

その他

ウィキペディアより
→香港の九龍、尖沙咀にある雑居ビル・重慶大厦(チョンキンマンション)を舞台にすれ違う恋愛模様をスタイリッシュに描く。
→舞台となった重慶大厦や中環の名物エスカレーター(中環至半山自動扶梯)周辺は日本人観光客の目的地にまでなった。
→金城武について。デビュー当初は歌手として活動しており、ウォン・カーウァイに見初められ、『恋する惑星』(1994年)に出演したが、ウォン・カーウァイが歌手から俳優に転身するきっかけをつくってくれたと語っている

『うりずん』内の「恋する惑星」登場シーン

高校のころ、『恋する惑星』という香港映画を観た。たしか、ウォン・カーウァイという監督の作品だ。
映画の中で、金城武扮する失恋した警官が、雨の中を走り出すシーンがあった。どこにでもあるようなグラウンドを、大雨にずぶ濡れになった彼が全力疾走するシーンだった。
彼は実際に本気で走っていた。雨でずぶずぶになったグラウンドを蹴るたび、靴についた泥が後ろへ跳ねていた。
ずぶ濡れになったTシャツは、彼の薄い胸にはりついていた。汗が湯気になって、からだから立ち上っていた。映画を観ている俺のほうが、つい息が上がってしまいそうな、そんな迫力のあるシーンだった。
「―泣きたくなったときには、思い切り走ることにしている」
うろ覚えだが、たしかこんな彼のモノローグが、そのシーンには重なっていた。流れるはずの涙が、汗になって出てしまうまで、何も考えずに本気で走り続けるのだ、と。

『うりずん』(p.213)

これは「失恋」という話の一節です。
タイトルからわかるように、まさに映画の内容がこの物語につながっていると思います。
ちなみに物語の中では、ある男性が理沙という女性と知り合うのですが、遠回しに振られていることになかなか気づかず、その状況が「不幸」だというものです。
そして物語のラストにはもう一度映画が出てきます。

高校のころに観た『恋する惑星』という映画では、失恋した男はどしゃ降りの中、本気で走る。走ったところで何が解決するというわけでもないが、なんとなく、あの主人公の気持ちは分かる。

『うりずん』(p.217)

この文章で締めくくられます。
『うりずん』の「失恋」は「恋する惑星」に始まり、「恋する惑星」に終わるのです。

吉田修一作品とのつながり

・罪を犯すところ

以上で、「恋する惑星」については終わります。

それでは、読んでいただき、ありがとうございました。

画像の出典:映画ドットコム「恋する惑星」 

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