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春のような温かさがいつもある学校に… 挑戦とは、成長とはそういうことだと、君は示してくれた 〜心の宝物179

🌷行進で退場?はぁ?何で…?


山に囲まれた小さな学校
5年生の彼は、外遊びが大好きで元気いっぱいのスポーツマン。他の子より早く思春期に差し掛かり、前向きであることに照れて素っ気ない態度を取り、少し斜めから物を見たりするようなところも出てきましたが、ユーモアあふれる、クラスのムードメーカーでした。

この学校では、定例で行われる全校朝会を「山びこ集会」と呼び、終了後は、学級ごとに行進で退場するという伝統がありました。
低学年は嬉々として行いますが、上級生になればなるほど、そういうことに抵抗が増すのは当然です。倦怠感を隠そうとしない子もいます。
そんな葛藤にも、個や集団の成長のチャンスがきっとあるだろう。そんな思いで、先生方と退場する子どもたちの姿を見守っていました。

🌷挑戦とは、成長とはそういうことだと、君は示してくれた
運動会の入場も学級ごとの行進でした。
練習が始まった当初、最も苦労したのは5年生でした。一人一人の思いがうまくかみ合わず、そのやるせなさに、集中するエネルギーが湧かず、何事にも怯んでしまう意識が、ざわついてまとまりを欠く雰囲気を生み、そんな自分たちにまた自信を無くす。運動会の頃は、そんな悪循環がピークに達していました。

その雰囲気を変えたのが彼でした。

練習から大きな声を張り、指先まで真っ直ぐに伸ばした腕を肩の高さまで振り上げる。低学年の無邪気な懸命さとは、はっきりと趣の異なる、心に抱いた決意が伝わる見事な姿でした。
彼がそうした姿は、そういう自分を選びとった決意は、全校の、とりわけ5年生の仲間の心を大きく揺さぶりました。心にかけていた枷のようなものが取り払われ、前向きな方向に自分を解放すればいいという安心感が少しずつ共有されていきました。

そんな5年生の変化は、全校の喜びとなりました。練習から、一層前向きな明るいトーンに包まれ、その雰囲気のまま、温かな活気に満ちた運動会が実現しました。

その手応えを、彼自身も深く感じていたのでしょう。後期、学級の代表委員に立候補しました。
私は「リーダーに願うこと」と題して、高学年の役員決めの前には、時間をもらってその学年に話をします。弱い立場の仲間にこそ光をあてること、言葉より、行動で語ること、最初の一人になる勇気を行動で示すこと、そんな自分であるかどうかをよくよく自問して立候補すること等、期待と共に、あえて厳しい要求もします。

その内容も十分に踏まえてくれた上で、彼は自分の言葉で立候補を宣言し、全員一致で推されました。

自分の心に兆したものに気づかないふりをするのでなく、がっちりと自分の手で捉え、勇気を奮って行動することが、自分と周囲の多くの人に温もりを届ける。その思いを大切にし、次の挑戦に結び付ける。
無論すんなりいくはずもない。次の挑戦にはきっと山もあれば谷もあるだろう。しかし、今回のように、また別の何かを、君はがっちりと手にするだろう。
挑戦とは、成長とは、そういうことではないだろうか。
君が提示してくれたものに勇気を得て、多くの仲間が挑戦し始めた。
君を誇りに思う。

そんな思いで、お伝えしました。

かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで

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