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兄弟喧嘩勃発!!

僕は、高校生になり、喘息もかなり治まってきていた。

病院の先生に許可を貰いプールに入ろうと決めていた。

何となく少し自信がついてきたのかもしれない。


お母さんは、まだ心配してたけど風邪をひかないように気を付けていれば大丈夫だと思っていた。


クラブの勧誘もあったけど、実はバイトがしたかった。


兄たちがバイトをしてて忙しそうにしてるのを何故か羨ましく思えていた。


なかなか、一緒にご飯を食べることも少なくなっていて、たまに一緒になるとバイトの話で盛り上がる。


そんなことより親に何か買ってあげろよ!って密かに思っていたなぁ~

僕にも!!


特に、5つ離れた1番上の兄には全く会わない・・・

免許もいつの間にか取りに行ってて、お父さんの車を乗り回していた。

いいなぁ~


その日は激しく雨が降っていた。

夜遅くに帰ってきた兄と親が何やら話し声が聞こえてうるさく眠れずに気になった。


何かあったのかと僕はリビングに向かった。

僕は驚いた!!


そこには兄に抱かれたびちゃびちゃの小さな子犬がいた。

「何で?」

「帰ろうと思って、ふと車の下を見たらコイツがいて、気づかなかったら危なく轢くとこやったわぁ~」


僕は無性に腹がたった。

「コロもジローのお世話もしないくせに!!」

「は?」

「もう、犬は飼わないって言ったやろ!」

「お前が世話してたんと違うやろ」


お世話してたのは僕だ。


お前こそ何にもしてないのに勝手なことばかり・・


僕は兄に掴みかかった。

兄は僕を壁まで追い詰め動きを封じた。

お母さんが無理やり引き裂いて止めようと必死になっていたけれど兄は、何で僕が怒っているのか見当もつかずに苛立ちを見せた。

一発蹴りが僕の太ももに当たった。


もう、悲しい思いをするのがイヤなのに何でわからないんだよ!

「お前バカかっ!」

兄は、サッサと子犬を連れて部屋に戻ってしまった。


お父さんも訳が分からず

「お前は、いったい何を怒ってるんや!!」


いつも思う・・

変わりなんてないのに。


お母さんは「子犬には罪はないね」と言った。


だけど

「おさるの気持ちはよくわかる」

「え?」

「人も犬も物じゃないからね」

僕は黙った。


「誰もコロやジローの変わりなんて思ってない」

「お兄ちゃんの車に引かれなくて良かった」

僕は、ずっと黙ったままだった。

つづく


轢かれなくて良かった

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