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夕暮れを見つめる僕

何か失敗をすると落ち込むけど

それ以上に親に言いたくない。


バイトの失敗も当然だけど言わなかった。

これが思春期なのか恥ずかしいことは言いたくなかった。


「何かあった?」

「別に」


親の直感はするどい。

何かを察知して母親は僕の顔を覗きこんだ。


「タロー行くぞ」


何かあれば、いつもタローを呼んで散歩と言って連れ出す。

何の疑いをもつこともなくタローはいつも嬉しそうについてくる。


夕暮れかぁ~


今まであんまり気にしてなかったけど、こうやって見てると心に重たいものがのしかかってくる。


綺麗な景色も気持ちによってはグレーだな。

よくテレビで見る光景だ。


僕はイヤなことから逃げてばかりいたし今もバイトなんて辞めてゆっくりしょうと気持ちが動いていた。


でも・・・

「何て言おう・・」

今、辞めたら逃げ出したってことになる。

しかも、バイト先は毎日通る道にある。


あぁ~これも失敗だぁ~

辞めることなんて考えてなかった。


「おさる」

「あ・・」


友達が声をかけてきた。

「何、黄昏てんの?」

「タローの散歩」


僕は、素っ気なく言った。

「タローお前は可愛いなぁ~」

タローをしきりに撫でまわしたあとに


「俺、バイト辞めた」

え?

「何で?」

「店長がムカついてそのままブッチ」

「そんなんでいいの?」

「いいって、いいって、別に俺が辞めてもどうってことないし、なぁタロー?」


何タローに聞いてんだ!!


あぁーーー良かった

人の振り見て我が振り直せか・・・

よく言ったもんだ。


もう一度夕暮れの景色を見たら、ちゃんと色づいていた。


「僕はバイト頑張るけど」

「おぉ、おさるは頑張れぇ~」


タローどっちが偉いと思う?

つづく


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