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茨城県河内町に移住した国府田 克也さんのLOCAL MATCH STORY~河内の食に秘められたポテンシャルに魅せられて~

 茨城県河内町は、茨城県の南部に位置し、緑と豊かな水源に恵まれた地域です。長閑なまちながら、新しいまちづくりや美しいイルミネーションイベントが注目されるなど、前衛的なまちでもあります。

 2023年、茨城県河内町は初めての地域おこし協力隊を採用しました。その中で河内町の交流施設を拠点に産業振興を担う地域魅力化コーディネーターとして着任したのは、茨城県 龍ケ崎市から移住した国府田 克也(こくふだ・かつや)さん。国府田さんは、もともとご自身で会社を経営しており、保険事業や食品・建築不動産の販路開拓コンサルタントなど、これまでに幅広い事業を手掛けていました。
 現在は河内町産業観光交流拠点施設「かわち夢楽」の運営に携わりながら、地域産品の発掘、商品開発や販路開拓を行っています。今回はそんな国府田さんにお話を伺いました。

令和5年度地域おこし協力隊委嘱式(左から二番目が国府田さん)

元々は出荷者として関わっていた河内町 地域おこし協力隊を意識し始めたきっかけは…?

ー今回、地域おこし協力隊の活動について知ったきっかけを教えていただけますか?

国府田さん(以下、国府田):私はもともと茨城県龍ケ崎市に住んでおり、実は河内町(かわち夢楽)に肉まんを卸している出荷者の立場だったんです。出荷者協議会の加工品部会の部会長としても携わっており、月に1回参加している会議で、まちづくり推進課の渡邉さんが地域おこし協力隊の採用について話していたのが、知ったきっかけでした。

国府田さんが活動の拠点とする河内町産業観光交流拠点施設「かわち夢楽」

ーもともと河内町とお仕事上でのご縁があったのですね。そこからなぜ応募しようと考えたのでしょうか?

国府田:以前、事業者として町役場に町内の空き家の有効活用の相談に伺った際、親切丁寧に対応していただいたことから、河内町役場には好印象を持っていました。また、かわち夢楽の運営についても、町長はじめ担当部署の課長が中心となって、積極的に関わっていたことを出荷者としての立場から知っていたので「その運営に私が関わることで少しでも役に立てるなら良いな」と思ったんです。

私はもともとハウスメーカでの経験が長くて、商品開発というよりも空き家の有効活用や遊休地の活用がメインの仕事でしたが、独立・創業をしたことをきっかけに地域活動に参加するようになり、女性や若者の社会進出・創業支援、商品開発や販路開拓のほか、遊休地・空き家の有効活用・ハウスクリーニングまで、事業が広がりました。男女共同参画委員、JICA地球ひろばボランティア、企業へのプロボノ活動で得た経験を、地域おこし協力隊として皆さんと共創できるなら、と応募を決意したんです。

ただ正直なところ、仕事上での関係があったため「応募したら迷惑かな?断りづらいんじゃないかな?」とも考えていました(笑)

ー地域おこし協力隊としての働き方についてはどう思われていましたか?

国府田:不安や抵抗などはありませんでした。当時は地域おこし協力隊についてよく分からなくて、JICAの海外協力隊の国内版かな?と思っていたくらいでしたね。それよりも、河内町の募集が「委託型」で将来創業や副業ができるところが魅力でした。

家族の理解を得て移住へ 住んでみてわかる面白さ

ー河内町に関してはどういった印象がありましたか?

国府田:もともと住居を構えていた龍ヶ崎市から河内町までは、車で約15分の距離でしたが、当初は成田とか鹿島にいく通過点という印象でしかありませんでした。実際に移住してみて、まちの中に新しい拠点ができたり、面白いイベントがやっていたり、何より役場の皆さんが一生懸命に取り組んでいる姿をみて、とてもポテンシャルの高い地域だと感じるようになりました。地域の産品についても、稲作やレンコンの栽培、廃校を活用したチョウザメの養殖など、面白いことをたくさんやっていて、移住前には知らなかった色々な発見がありました。

ー移住にあたっての不安はありませんでしたか?

国府田:最初は地域になじめるか、溶け込めるかの不安はありました。地域おこし協力隊としても、3年間活動を全うできるか?反対に全うさせてもらえるか?といった不安もありましたね。あとは、自分の会社を起業して7年になるので、現事業の存続のために業務内容の見直しや引継ぎなどが必要になり、ここに関してはスタッフ(特に妻)の理解がなければ応募さえできなかったと思います。

ただ、妻の理解を得られたこと、これまでも成功ばかりではなかったこともあり、そういった不安は「ケ・セラ・セラ」の心情でクリアできました。最初は反対していた妻も、今では河内町内の保育園でパートをしてくれているほどです。

食のポテンシャルが高く「ヤバイ!」河内町で商品開拓 シン・いばらきメシ総選挙2024をきっかけに食の認知度アップが目標!

ー現在はどういった活動をされていますか?

国府田:生産者・製造者・販売者だけでなく、消費者も参加した共創の仕組づくりを始めることで「河内町の新たな特産品をつくり、国内・海外に販路をつくる」きっかけづくり活動を始めました。河内町は、都心まで約50キロの近距離だけでなく、成田空港・高速道路ICなどの陸路・空路の窓口、鹿島や銚子といった漁港も近くにあります。また、利根川には県内で唯一1行政区に3本の橋があるなど、空・陸・川路すべてにおいて有効な販路を形成できます。それに、「米・レンコン・チョウザメと河豚養殖・クリーン農業」など、上質な食材に恵まれている、食のポテンシャルが高く「ヤバイ!」まちなんです。

かわち夢楽から望む田園風景、夏は一面緑の美しい景色が広がるそう

水郷地帯の肥沃な水田で育ったお米が美味しくないわけがないですし、河内町はレンコンの歴史も古く、都内の料亭や豊洲の仲買人にも認められている品質です。そしてチョウザメ。栄養価が高いのでキャビアだけ取って終わりでは勿体ないくらいです。全身が軟骨になっていて出汁もとれるし、刺身やお寿司でも食べれるし、京焼みたいに焼いて食べられるし、フライもできる、捨てるところがない食材なんですよ。

しかし、河内町だけでなく、茨城県には仙台の牛タンや富山の鱒寿司のような、地元に根付いたお土産品やお弁当が少ないんです。そこで、茨城県で新たなご当地グルメ発掘のために開催するグルメフェス「シン・いばらきメシ総選挙2024~市町村対抗いばらき最強グルメ決定戦~」にて、各市町村対抗で「シン・いばらきメシ」の総選挙が行われることになり、私もそれに向けて動いています。

インド大使館の元料理人のレシピ監修を受け、チョウザメをマサラ料理にアレンジした試作品を開発。チョウザメの養殖所にミャンマーの方がいたことが発案のきっかけだったそう。

ー面白そうですね! 茨城県の食が全国的に注目されるきっかけになりそうです。国府田さんの活動の中で、今後の目標や構想はありますか?

国府田:まずは、シン・いばらきメシ2024で大賞を狙い、河内町食材の認知度をアップさせます!スパイス料理ともあって、成功すれば横展開もできると期待しています。河内町の立地は陸路も空路も狙えるため、南の玄関口としての位置づけを流通開発を通して実現していきたいですね。

また、現在拠点としているかわち夢楽は、実は「まちづくり河内株式会社」というまちづくり会社でもあります。物販だけでなく、飲食、観光など、企画の部分から携われるこの環境を活かして、ここを核として動けるような「きっかけ作り」をこの3年間で進めていきたいと思っています。ひいては「まちづくり河内株式会社」を作った町役場の想いを整理して、形にしていきたいです。

地域おこし協力隊は、町民と町民、町民と役人を継続して繋ぐことが重要な役目だと感じています。特に50代協力隊として、経験と人脈を活かしチャレンジをすることで、次の協力隊へ継続させるだけでなく、増員するため工夫し、活動することが3年間の目標です。

ーそんな国府田さんから、これから地域おこし協力隊に挑戦したい方へメッセージをお願いします!

国府田:地域おこし協力隊になるためには、スキルや経験も何もいらないと思っています。その地域の魅力を引き出すこと、探すのが地域おこし協力隊の役割。あくまでも主役は地域住民の方で、新しい何かを入れることは必要ではなくて、その地域が隠し持っている魅力を引き出していくことが役割です。そのため、着任した地域の5年後や10年後を想像できる方が向いているのかもしれません。

また、地域おこし協力隊に関して時にはマイナスの情報もありますが、それを気にしていては何も始まりません。成功だけじゃなく失敗もあり、3年間がうまくいこうが、うまくいかなかろうが関係ないと思います。着任する地域の皆さんが隠し持っている知識や経験を発見し、成長させ、深掘りしていく。どんな直球でも変化球でも、自らチャレンジし試すことができることが「地域おこし協力隊」の魅力だと考えています。

ー河内町の持つ面白さや、地域の魅力をいかに発掘していくかのやりがいが強く伝わってきて、お聞きしていてワクワクしてきました。熱いメッセージをありがとうございました。

(終わり) インタビュー時期:2024年2月

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