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茨城県河内町に移住した山田 広伸さんのLOCAL MATCH STORY~コロナ禍明けをきっかけに仕事・暮らしの変化を求めて~

 茨城県河内町は、食や観光など新しい魅力価値発見が進んでいるまちです。2023年には町にとって初めての地域おこし協力隊の採用が行われ、新たな地域価値発見の試みが行われています。
 山田 広伸(やまだ・ひろのぶ)さんは、河内町地域おこし協力隊の第一号として、交流施設を拠点に産業振興を担う地域魅力化コーディネーターに着任しました。山田さんご自身は旅行会社に30年以上勤務し、海外専門のホールセラーや旅行会社へのセールスを担いながら、マネジメントも経験されたキャリアの持ち主。現在は、その経験を活かして、河内町の観光交流の促進にむけた企画・運営、情報発信などの活動を行っています。

山田さんが活動の拠点とする河内町産業観光交流拠点施設「かわち夢楽」

コロナ禍明けをきっかけに新たなステージへ 地域に貢献したい気持ちが強く

ー今回、地域おこし協力隊への応募を考えたきっかけは何ですか?

山田さん(以下、山田):きっかけはコロナ禍です。旅行業ということもありコロナ渦の影響を大きく受けました。会社存続のための地域事務所の閉鎖や希望退職など、多くの同僚が会社を去る結果になりましたが、私は「船長が舟を降りるわけにはいかない」と、退職の道を選ばず日々奮闘してきました。ただ、コロナ禍が落ち着き、新しい部署に移ったのをきっかけに今後の人生を考え始め、徐々に「新たなことにチャレンジしてみたい」という気持ちが強くなっていったんです。

ーそこで地方移住についても考え始めたのですか?

山田:そうですね。自分の人生と向き合ったときに、このまま都心でサラリーマンをしていても何も変わらないのかなと思ったんです。移住に関しては国内だけでなく、海外も視野に入れていました。スローライフにも興味があり、都心に住んでいる時も趣味で農園を借りるなど畑いじりも好きだったので、そういった事ができる場所がいいなと。そこで地域に根差して、地域に貢献して生きていきたいと考えていました。 

複数の地域で検討 選考が進む中で「行きたい」という気持ちがより大きくなった

ー移住や地域おこし協力隊についての情報はどうやって集められましたか?

山田:2023年の4月ごろから、「地域移住」「地域貢献」「農業」をキーワードに複数の求人サイトから情報収集を始めました。その中の一つとして、LOCAL MATCHを活用していました。LOCAL MATCHで掲載されていた河内町を含め、いくつかの地域で検討を進めていましたが、調べていくうちに「生活面を考えると都心から近い方がいいかも」と思うようになり、最終的には都心からアクセスしやすいという軸で応募地域を選ぶようになりました。

LOCAL MATCHにて掲載された地域魅力化コーディネーターの募集ページ

ーいくつかの地域で検討を進めていた中で、河内町を選んだのはなぜですか?

山田:複数の地域で事前面談を受けて、その中で自分に興味があり、やりたいことに近いのが河内町でした。書類選考が通り、役場担当者さんとオンラインでの一次面接の後、今後も選考を受けるべきか一度、自分の目で河内町を確かめたく、現地に足を運んでみたんです。

永遠に続く田園風景、近所にお店が無い、病院も無い、友達もいない。車が故障したら…と、考えると不安が押し寄せて来ましたが、同時に、景色も空気もきれいで、人がとにかく温かいなって感じて、河内町の地域おこし協力隊に「受かりたいな」「ここで皆のために地域のために自分のできることをしたいな」と思うことができました。

他の自治体さんの選考を受けていないので比較はできないですが、選考の過程で町役場の担当さんとも話せて、自分としては良いステップを踏むことができたと思っています。先述の通り、移住に不安はありましたが、「受かりたい」という気持ちがあったので乗り越えられました。実際に、人が良く皆さん親切に助けてもらっているので慣れてきたところです。

山田さんとまちづくり推進課 渡邊さん
「オンライン面接で現場の担当の方と話せたのが良かった」と語る

地域おこし協力隊として模索しながらも、可能性を感じて突き進む日々

ー現在はどのような活動を行っていますか?

山田:いくつかのミッションがありますが、観光の力を使って人を呼び込むこと、サイクルステーションの有効活用方法を見出すこと、そして「かわち夢楽(産業観光交拠点施設)」の業務支援が大きな柱です。

観光に関しては、町内の見どころを見つけ、県外向けにSNS発信の準備をしながら、現在は、河内町の産業観光交流施設である『かわち夢楽』の魅力をお伝えできるパンフレットを完成させました。今後は、SNS発信と、近郊の旅行会社にご案内し、ツアー等に組み込んでもらう動きを始めていきます。

かわち夢楽パンフレット

サイクルステーションに関しては、のぼりの作成、サイクルコースの作成とマップの作成を進めています。

山田さんが考案したサイクルステーションののぼり、利用者も徐々に増えてきているそう

 もともと旅行業界にいて、旅行会社との繋がりがあるため、次年度はツアーを売り込んだり、情報発信を通して外からのお客さんをうまく中に呼び込んでくるコンテンツ作りや見せ方を考えたりなどを進めていきたいですね。

そこで課題となるのは、河内町内やかわち夢楽の見どころをどうするかということです。河内町には宿泊施設がなく、どうしても通過地点になってしまうため、消費を生み出す仕組みも考えていく必要があります。しかし実は、河内町は全国イルミネーションランキングで4位を獲得するなど、まだ知られていない魅力も沢山あります。それをどう活かせるか考えていきたいですね。

今後の地域おこし協力隊としての活動に向けても、まずは自分のミッションを進めつつ、やれることを集めている状態です。

ーイルミネーションが全国4位ということは初めて知りました! 掘れば掘るほど魅力が詰まっているまちですね。では、実際に移住してみて直面している課題などはありますか?

山田:生活については意外と、車を走らせれば何でも揃う便利さはありました。都心にも近いため、適度な田舎を求めている方には最適なまちだと思います。あとはまだ住居が安定していないのでそこは課題ですね。もともと物件数が少ないため高かったり、選択肢がないので現在の住まいに決めてしまいましたが、住まいの環境はとても重要だと改めて認識しています。

また、地域おこし協力隊の活動についても「誰にどう支援や協力をお願いすれば、やりたいことを成し遂げられるのか?」「その情報をどのように取っていけばいいのか?」などの課題があり、今も模索中です。一方でやれることは満載であり、可能性は無限にあるなと感じてもいます。

ーありがとうございます。まさに今、新しい環境でのチャレンジを始めた山田さんから、これから地方移住や地域おこし協力隊を目指す方へメッセージをお願いします。

山田:実際に移住してからでないと分からないことはたくさんあると思いますが、待っていては何も変化は起こりません。自分の経験の中の課題でもありますが、自らで考え、工夫し、行動することが大切です。

また、今いる環境で自分をできるだけ筋肉質にしておくと良いと思います。移住後・着任後は、何でも周りにすぐ聞けるような環境ではない場合もありますし、行ってからやろうではなく、そう思うなら今のうちから動いてみる、それが大事だと思います。

最後に、住居を決める際は、役場の方や、できれば地元の方にしっかり確認し、納得してから進めた方が良いと思いますね。環境が不安定だとやりたいことにも影響が出てしまいます。移住体験ができる自治体であれば、ぜひ使ってみることを勧めます。

ーご自身でいかにアクションを起こしていくかがカギになってくるのですね。今回は貴重なお話をありがとうございました!

(終わり) インタビュー時期:2024年2月

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